最終局面を迎えたアベノミクス

トランプ米大統領の北朝鮮への
“この小僧がっ!!”型の「口撃」が断続的に続いている。
米国が本当に軍事作戦にカジを切るのか。
北朝鮮の軍事能力の増強が確実になる中で、
トランプVS北朝鮮のTV画面上での激しい応酬が、
世界の市場を揺さぶっている。

今回の事態と唯一比較できる事象は“キューバ危機”だろう。
1962年10月、旧ソ連によるキューバでの核ミサイル基地の建設を
きっかけに米ソは核戦争手前までいった。
今回の事象も、背後にロシア&中国がいるのも間違いなく、
結局は同じ構図だ。

そうした中でNYダウが22000㌦近辺の高値に張り付いている。
AI中心の世の中に移行する中で株式市場は、
米IT・ハイテク業界の好調が続き、
「人手不足が2050年まで続き、省力化やITへの投資を促す」との
(安直な)期待感に浸っている。

当然ながら、ITバブル崩壊のリスクは健在である。
来るべきAI全盛時代に勝ち残るのは、
従業員1人あたりの企業価値や収益が大きいなど、
賃金上昇の圧力に屈しない体質を持つ企業に限られる。
従って「何でもかでも、買っておけばいい」という論理にはならない。

市場では「ビッグ・ショート」という単語が使われ始めた。
米ベストセラーの「ザ・ビッグ・ショート(邦題:世紀の空売り)」
から採られた言い回しだが、
「市場の平穏がいつまでも続くはずがない」
との懐疑心が潜んでいるのもまた事実である。

コンピュター化が強烈に進捗した結果、
世界の金融がAI任せへとカジを切って久しい。
結果的にAIは、従来の現場担当者=人間を金融機関から徐々に駆逐し、
市場の「マーケット・メーキング機能」が顕著に低下した。
現在のAI中心の(人間の介在しない)金融市場は、
行くときは情け容赦なく、(地獄の果てまで)トコトン行く。

8月3日、改造内閣を発足させた安倍晋三首相は
「4年間のアベノミクスで雇用は200万人近く増え、
正社員の有効求人倍率は1倍を超えた」
「しかしまだまだすべきことがある」
とアベノミクス加速を訴えた。

だが、繰り出した政策と成果の関係は判然としていない。
3本の矢、新3本の矢、1億総活躍、働き方改革、そして人づくり革命。
どの政策がいつ、何に、どう効いたのか。
政治の世界では、過去も現在もそして未来も
「結果良ければれば全てよし」との安直な論理が先行する。
現在置かれた大きな問題は、AIの起こすであろう未曽有の大混乱に、
「如何に冷静沈着に、的確に対応するか」である。
一国の大将は、平穏な時には、いるのかいないのか、
大石内蔵助型昼行燈(ひるあんどん)でも構わないのだ。

戦後の日本で宰相の供給源は、
吉田茂、岸信介、池田勇人、佐藤栄作などの官僚機構だった。
やがて自民党が力をつけ、田中角栄や竹下登などの派閥の領袖が
内閣を率いるようになった。
近年は安倍晋三、福田康夫、麻生太郎など「世襲宰相」でしのいでいる。

トランプVS北朝鮮の対立が発端となり、
理想論・机上の空論が機能しない大混乱が起きる可能性は高い。
大異変が起きた時、何が、そして誰が必要なのかが分かる気がする。