野球が廃る!? -来年100回を迎える夏の高校野球-

日本の夏の風物詩、高校野球の熱闘甲子園。今年は99回目。
今年は、目玉の清宮幸太郎の早実が西東京決勝で敗退、
折からの不安定な天候もあって、注目度が低かった(!?)と思う。

自分の場合、ゴルフ・松山英樹が、日本時間4日から14日の約2週間、
ブリジストン招待→全米プロで熾烈な優勝争いをしたから、
早朝からのTV観戦で疲れ果て、高校野球を見る気力も体力もなかった。

しかし、さすがに準決勝あたりから注目せざるを得なくなった。
平成の怪物と言われた横浜高・松坂大輔投手を育てた渡辺元智前監督をして
「こりゃ(打者として)怪物だわ!」と言わしめた(BS朝日実況解説)、
広島・広陵高校の中村奨成捕手の活躍があったからである。
28打数19安打・打率6割7分9厘、6本塁打(新)、6二塁打(新)、17打点、
43塁打(新)等など、 劇画でもこうはいくまいと思われる記録づくめの大爆発。

PL学園・清原和博がそれまでの記録5本塁打を放った67回大会(85年)では、
実況アナに「甲子園は清原のためにあるのか~!!」と絶叫せしめたが、
今年の夏の甲子園は、「広陵・中村奨成のためのもの」になった。
100回目直前の大会の記録に残る活躍は、後世に残る伝説となるに違いない。

今年の観客は10年連続で80万人を突破。
しかし熱狂甲子園はこのまま続いていくのか。
日本高野連に拠ると、
「やまびこ打線」の徳島・池田高校や、桑田・清原のKKコンビの大阪PL学園の
活躍に沸いた1980年代は80万人で推移し、
90年には過去最高の92万9千人を記録する。

だが、サッカーJリーグが開幕した93年以降は徐々に減少、
96年には64万5千人まで減少する。
再び人気が上昇するのは2000年以降。
早実・斉藤祐樹と駒大苫小牧・田中将大両投手の決勝での投げ合い(06年)
などがあり、08年から今年まで10年連続で80万人を超えた。
統計が残る58年以降、初めてのことである。

だが一方で厳しい現実も待ち受ける。
日本の6歳から14歳の人口が2011年から2016年の間に6%減少。
同じ年齢層の競技人口は全日本野球協会の推計に拠ると、
約63万8千人から約49万2000人と激減している。

原因はスポーツが多様化したことによる、野球をする機会の減少。
そして野球をできるスペースの減少である。
確かに狭いスペースで楽しめるスポーツは数えたらキリがない。
グローブやバットなどの用具の改良と共に値段の高騰もあり、
野球じゃなきゃダメだと言う論理は成り立たない。

今回の全国大会で初優勝した埼玉・花咲徳栄高校は、
同じレベルの投手二人を仕上げることから始まり、
同等の力量を持つハイレベルの20人の集団を創り上げていた。
結果、1番であろうが、9番であろうがどこからもチャンスを作れるのだ。
私学だからできる、高校3年間=実質900日、ひたすら野球だけに打ち込む世界。
それが昨今の高校野球の実態である。
と言えば、反対論もあろう。
だが、学生野球の祖・故飛田穂洲の掲げた文武両道の球道精神は、
既に建前の理想論になっている。

最近、松山英樹を使った一面広告(なぜか、あのガリバー・野村証券)のキャッチ
「目指すのは、今まで以上の未来」が鮮烈で心に響いている。
果たして野球に未来があるのか?
自分が小学生の頃の実家方面では、各町内で野球チームが編成され、
夏には20チーム超が覇を競った。9人どころか、補欠も2~3人はいた。
最近では、蝉の声は聞こえても、子供の声は聞こえない。

来年は100回を記念して深紅の大優勝旗が新調される。
要は高校野球も新しい時代に入るということである。
9人が集まらないと始まらないゲーム、野球。
確かに団塊の世代がいてこれまでの野球が成り立っていたのかもしれない。

野球が廃る!?
あり得ない!!と言いたいが、反論し切れない。
時代の流れを受け止めざるを得ない、残念ながら。