2017年05月27日

なぜ日経平均は2万円超えをためらう?

米NYダウ株価が21,000㌦近辺に張り付き、
日本の日経平均が20,000円寸前で上げ止まるなど、
金融市場全体が迷走・気迷い状態になっている。

そんな中、最近の金融市場で注目されているのが
「恐怖指数」と呼ばれる変動性指数(VIX)である。
余り馴染のない指数だが、
VIXとは米S&P500種株価指数を対象としたオプション価格から算出した
ボラティリティ(予想変動率)を指数化したもの。
ちなみに株価が底堅く、投資家心理が落ち着いていればVIXは下がる。

しかし「その状態が行き過ぎると反動が起きる」という経験値も、
市場は共有し、熟知している。
当該VIXが8日に9.77と、
1993年12月以来、23年振りの水準に落ち込んだ。
過去10を割り込んだのは同上1993年と2007年。
いずれも1年後にメキシコ通貨危機や、リーマンショックが起きている。
つまりは激動の“前触れ”というわけである。

相場の世界では、こうした状況を「嵐の前の静けさ」と表現をする。
かくゆう自分も、NYダウ相場のテクニカル分析で、
1年超前から「嵐の前の静けさ」という表現を使ってきた。
2009年3月の6,469㌦を底とする株高は8年にわたる長期になっており、
しかも6,469㌦×3=19,407㌦を突破し、21,000㌦に到達している。
確かに月足のチャートは完璧な右肩上がりの理想的な形態となっており、
「余りに完璧なのが難点」で、「それが逆に怖い」との論述をしてきた。

相場の世界は奇数倍が基本。
3倍を超えたから次は5倍。6,469㌦×5=32,345㌦となる。
過去では99年8月には90年10月の安値2,344㌦×5=11,720㌦を超えたが、
2009年に向け6,469㌦まで下落している。
いずれにしても底値から3倍以上は“神の領域”であり、
その領域を超えれば暴落がある。

昨今のアルゴリズム(自動)取引や超高速取引(HTP)等の
コンピュータ売買は、典型的な薄利多売方式であり、
株価の歪みを狙う一般投資家を市場から締め出した。
それが益々利ざやを小さくし、ボラティリティの低下をもたらしている。
現状の環境が正常な状況ではないのに、である。

ロシア疑惑を巡る捜査を進めた米連邦捜査局(FBI)長官の解任は、
同様の決定をして辞任に至ったニクソン政権を想起させる。
疑い深く、逆らう者には怒りに任せて罰を与えようとする。
政治の世界は、実業界のようなディール(取引)の世界、
つまりは「ユー・ア・ファイアード=お前はクビだ!」で済む世界ではない。

思い起こせばニクソン大統領は1971年7月(日本に知らせないまま)訪中し、
8月には金・ドルの交換停止や10%の輸入課徴金を決めた。
いわゆるニクソンショックである。
現状のトランプ政権はTPP離脱から始まって、中国の空前の絵空事「一帯一路」、
世界の最狂国・北朝鮮問題を抱え、そして「ロシアゲート」である。

“何か”が起きるための要因満載。
金融市場は、読めぬ米国を前に“ダルマさん=手出し無用”の状態が続く。
市場はトランプ退陣を前提に動いているとの見方もある。
が、従来通り同盟国・米国と歩調を合わせていればことが済むのか。

なぜか2万円超えを躊躇する日経平均。
コンピュータには真似のできない“第六感”の世界ではある。
つまるところ「嵐の前の静けさ」と表現するしかないのである。

2017年05月20日

ラジオの時間

大相撲5月場所が始まった。
浅草の三社祭りに重なるこの時期は、梅雨前の暑くもなく寒くもなく、
隅田川に吹く風に新緑の匂いがする、年内最高の時期である。
だが大相撲の予約は半年前に完売で、当日券が発売される午前8時には
長い行列ができ、両国国技館は連日札止めの盛況である。
19年振りの日本人横綱誕生による人気に違いないが、この相撲人気、
世相を反映しているようにも思う。

最近のTV番組の低俗振りは異常である。
地上波とBSに分別された結果、地上波はお笑い芸人を中心として、
エログロを売り物にする2時間程度の番組に席捲されている。
CMをランダムに乱打し、ただひたすら下品な笑いを狙う番組の中で、
無為に時間が流れていく。
この傾向は、今年のNHKの大河ドラマの大不作によって決定的になった。
毎週日曜日の大事な時間だった。
どうしてくれるんだっ、って気分である。

スポーツ中継番組も、民放が大事な局面でCMを乱打することによって
スポーツそのものの面白さも消すようになった。
金看板の巨人戦が冴えないのも、ゴルフ番組が不人気なのも、
全てはランダムなCMが原因である。
特に最近の女子プロゴルフの中継に至っては、
若い女子プロのボディコンシャスな姿を中心に映し出す番組となり、
地上波のエログロ路線を踏襲している。

振り返って日本古来の相撲はあくまで「儀式の世界」であり、
時代を超えて頑にルールを守っている。
土俵という“土&俵”が舞台になり、和装の呼び出しがいて、行司がいて、
大銀杏(おおいちょう=ちょんまげ)+褌という前時代的な格好から始まり、
20秒前後で勝負がつく前に、仕切りや塩撒きなどと、
全く無駄と思える所作を淡々と続ける。
こうした“伝統の(先を急がない)ゆったり感”が見る者を安心させるのである。

現代人がなぜ以前に増して全てに急ぐようになったのか。
それは21世紀に入って爆発的に進捗したIT(情報技術)が要因だろう。
日々進歩する人工知能(AI)が全てをリードし始めている。
その尖兵がスマホ。ある意味「スマホ万能時代」である。

2020年は東京五輪の年。
スマホの怒涛の勢いのまま、2020年まで突き進んでいくようだ。
大きな変化としてはまず自動運転車の定着。
自動運転と言っても以下の「レベル3」程度あたりか。
「レベル1」加減速やハンドル操作のいずれかをコンピュターに任せる。
「レベル2」加減速+ハンドル操作をコンピュータが行う。
「レベル3」主としてAIが運転する。但し状況に応じて手動可能。
「レベル4」条件限定版だが人が運転に関与しない。
「レベル5」全て自動運転。

次に大きなテーマはフィンテック=金融とITの融合。
スマホに専用アプリを搭載すれば「金融窓口」を持って歩いているようなもの。
つまりは支店不要の時代が来る。
金融機関に「装置産業」から「技術産業」への転換が求められる。
果たしていくつの銀行が残れるか。

好むと好まざると、これまで以上に即断即決の時代がくる。
油断すれば時代に置いていかれる。確かに焦りはある。
だがこうした時代だから尚更、ゆっくり時代を眺めてみたい。

最近BGM代わりor時計代わりにつけていたTV画面を消し、
ラジオを流すようにした。
音量を絞っても、キーキー声が耳障りになるからである。

最近都内では、TBS、文化放送、ニッポン放送等の主要局がFM併用にし始めた。
さすがに音質が違う。
「オールナイトニッポン=ANN」や「走れ歌謡曲」など懐かしの番組を流してる。 
アナログと笑って下さい。
でも予想外にゆったりできますよ。


2017年05月13日

悲喜こもごも、仏&韓大統領選挙

日本の黄金週間明けを待っていたかのような仏&韓国の大統領選挙だった。
まず仏では
中道系独立候補のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相と、
極右・国民戦線(FN)を率いるマリーヌ・ルペン氏の決選投票。
事前の予想通り親EUのマクロン氏の大勝。

ただ今回の仏選挙では棄権・白票・無効票の多さが目立ち、
棄権にいたっては25.4%とポンピドー大統領が選ばれた1969年以来の高水準。
またマクロン氏への投票は2000万票超だが、全有権者(4700万人)の半分未満。
マスコミが「消去法の勝利」と報道したのも至極当たり前だった。

マクロン氏は39歳。
そして議員経験のない同氏が率いる政治団体「前進」が結成されたのは昨年4月。
基盤の脆弱さは明白。従って今後の仏国政リスクもまた明白。
EU存続のために仏のEU離脱とならなかったのが唯一の救い。
24歳年上の高校時代の教師が奥方で、マザコンの匂い(!?)のする新仏大統領の、
欧州の肝っ玉おばさん・独メルケル首相におんぶにだっこのイメージは拭えない。

マクロン氏は元々が投資銀行出身で、ミクロ経済学専門。
またルペン氏に関しては日本語の字面(じずら)で「ルンペン」に見え、
パッと見は「ミクロVSルンペン」。
そして、おまけは新大統領の64歳の奥方の「金髪+ミニスカ+ピンヒールの美脚」。
注目を浴びないわけがない。
かくして選挙よりも、別の意味でも世界の話題になった。

次が韓国。
これまた事前の予想通り文在寅(ムン・ジェイン)氏の当選となったが、
「寅」の字は「渥美清・男はつらいよ」の「車寅次郎=寅さん」を想起させる。
少々不謹慎だが、仏では「ミクロVSルンペン+α」、韓国では「寅さん」かよと、
全く無責任に、興味半分に、仏&韓双方の大統領選挙の経過を眺めていた。

文在寅氏は自他ともに認める「親北・反日」派。
日本のマスコミでは
「同じ弁護士出身の福島みずほ(社民)の男版」と言われる人物。
選挙公約では「慰安婦問題白紙撤回と竹島領土問題をドッキングした反日主義」を
大きな旗印のひとつにしていた。
いつまで続くか慰安婦問題….

韓国には「国民情緒法」なる言葉があるそうな。
韓国紙「中央日報」は以下のように説明している。
「韓国では罪刑法定主義を否定する『国民情緒法』という妙な論理がある。
実体はなく、文字で記録されているわけでもない。
長期にわたって蓄積された慣習法でもない。
だが国民情緒に合うという条件を満たせば、実定法に束縛されない不文律であり、
憲法よりも上位である」

かくして韓国では、この国民情緒法によって、
“ゴールポストを勝手に動かす体質=約束を守らない体質”
が堅持されるというわけである。
そして、
1965年の日韓基本条約、
1995年のアジア女性基金、
15年12月の日韓合意(10億円基金)をことごとく反故にする。

慰安婦像は1体300万円という。
2011年末の「ソウル像」から1年に10体ずつ増加し100体突破間近。
そして慰安婦像のブレスレット・バッグ・バッジ・ペンダント等が発売され、
収益は支援団体に寄付、またネットで大々的な募金など、
無限増殖の「ビジネスモデル」も出来上がっている。
真面目に付き合うのに疲れる国ではある。

一般社会でも隣人との仲違いは多いが、格差特権が罷り通り、
一般国民の不満が渦巻き、瞬間湯沸かしの隣国とどうお付き合いする??
安倍さんのご苦労が偲ばれる。

2017年05月06日

閑話休題(むだばなし)

9連休も可能だった黄金週間も、今日をいれて2日。
今週の土日を普通の週末と考えれば、実質的には黄金週間も終わり。
過ぎてしまえばアッという間ですが、如何でしたか???

ここ1週間、真夏日あり、日本の最高気温が北海道という珍現象ありで、
何かちぐはぐ。
最近の世の中、狂っているしか思えません。

で、今週は、趣向を変えて、“喝!!”のシーリズ。
あくまで自分の気分本意ですので、ご気分が悪い場合はあしからず。

●ママチャリ暴走族
ここ2年、都内では電動アシスト自転車が大流行。
特に30代の若いママさんの場合、10人中9人がそれ。
昔の乳母車のような幌をバックに、前は大きな荷台。
で、双方を満載にして疾走なさる。

そこのけそこのけ、ママチャリが通るとばかり、かなりのスピード。
電動アシストであるからにして、坂道でも息切れなし。
後ろから猛スピードで追い抜かれると、ドキッとする。
一触即発、大怪我のリスク大。

百歩譲って「若葉マークの若いママは大変なのよ」は解る。
だが無茶をするのは大概が小太りで、ジャージ姿。
髪振り乱し、最新技術を使っての疾走は
「我、スーパーマン(ウーマン!?)」との錯覚ありあり。

女は弱し、されど母は強し…
あんなに神経質だった昔のように、“オンナの部分”を少しだけ戻そうよ。
番茶の出がらしじゃ、しゃ~ないしょ。
居直った暴走族ってホント怖い。
旦那の顔が見てみたい!?

●禁煙原理主義
なんか最近、禁煙モードが異常である。
現厚労大臣が禁煙派なのもモードに拍車がかかっている。
「先進国では全域禁煙が常識」だそうで、
高らかに「首都東京全面禁煙目標 2020年!!」を宣言されている。

20年来のお友達の、近所の酒屋兼タバコ屋の、
佃大祭のおみこし担ぎ40年のベテランにして
頑固にハイライト(タール17度)を固守する江戸前のおじさんは、
「ふふん、やるならやってみな!!」の全面戦争(!?)の構え。

現在吸ってるタバコ、マルボロ・ミディアムを買う度に言われる。
「あんたも気弱だねぇ~、オトコのハイライトを捨てちまってさぁ」…

禁煙原理主義の皆様、
禁煙だ、分煙だの論議も、ここまできたら実に面倒なので、
いっそのこと禁煙法などをおつくりになったら如何ですか?

●中田英寿
昔サッカー選手、今は文化人(!?)
サッカーやってるでもなし、芸能人でもなし。
いわゆるコウモリさん。
つまりはサッカーに関わる(優雅な)文化人???

あのキツネ顔で、したり顔がどうにも好きになれない。
TV画面に出てくると、チャンネルを変える。

あの方の上から目線の言動が昔からムカついていた。
21歳にして「中田語録」などという、大それた本を出版。
21歳ですよ、21歳!?
弱冠21歳が人生観を語るかねぇ....

で、最近では妻夫木聡とプレミアムビールのCMにご出演。
めでたく40歳になられたそうで、
「40歳になって初めて大人の味が分かる」とのたまう。
誰のチョイスかしらないけど、中田で売り上げ伸びるかねぇ?

ま、ビールでも日本酒でも、洋酒でも、お好きなものを存分にどうぞ!!


自分本位の“喝”シリーズこの程度でおしまいにします。
多々のご無礼、ご容赦下さい。
機会があればまた、ということで。

来週からは普通に戻ります。
よろしくアクセスのほどお願い申し上げます。


2017年04月29日

ロボットに勝てますか?

桜散り、青葉・若葉の季節の到来と共に、
男女を問わず、街中には「紺のスーツ+白いシャツ」姿が目立つ。
入社試験シーズンの到来、というより最っ盛り。

そしてマスコミでは、学生人気ランキングなどといった、
百年一日の、興味半分(!?)の報道を繰り広げる。
相も変わらず商社、航空会社、大手金融、マスコミ関連等の企業が連なる。
転職が当たり前の時代。
ひとつの会社に骨を埋めるという考えもないようだが、
名前の知れた有名企業から、どれだけ内定をゲットできるかが若者のテーマ。
10年後はどうなるかは全く考えないまま、ゲーム感覚の日々ではある。

本ブログで繰り返して申し上げてきたが、
まず考えなければならないのは、文系理系の区分けが無意味になり、
理系有利の時代になっているという点である。
ここから先は人工知能(AI)を使ったロボットが主役になり、
理系思考が優先される時代だからである。

米マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によれば、
820種の職業に含まれる2069業務の710(34%)の業務が
ロボットに置き換え可能という。
19世紀の産業革命に始まる製造業の歴史は自動化への挑戦だった。
従って、モノ作りに関しては既に7割超がロボットに任しても
大丈夫な時代になった。

旧文系の宝箱だった事務職系の職場にも自動化の波は押し寄せる。
顧客の注文の文書化やデータ抽出や数値計算に関し、
人間はロボットに勝てない時代になっている。
特筆すべきは法律関係で膨大な資料から証拠を見つけ出す作業にAIを
使おうとする動きである。

ホワイトカラーの象徴とも言える金融でも自動化が進んでいる。
事務職では65%がロボットにとって代わられ、
相場売買の自動化システムの普及によって、外資系大手で100人単位で
存在した専門トレーダーが、いまや10人未満という場合が少なくない。

自分はここ25年超、ギャン理論のサイクル理論を研究してきた。
相場の変化するタイミングを類推するのがサイクル理論の根幹だが、
ここ3年のうちに、主要通貨、株式指標、主要商品の日足(日毎の動き)が
全て“10日サイクル”になった。
従来の相場の世界ではあり得ないことだが、これは自動売買システム、
すなわちコンピュータのなせる仕業なのだ。
週足や月足にはバラつきがあるが、これも時間の問題と思われる。

同上マッキンゼーの試算では、自動化が可能な業務の割合は日本が55%で、
米国の46%欧州の47%も上回る。
農業や製造業など、人手に頼る職業の比重が大きい中国(51%)や
インド(52%)をもさえ上回る結果となった。

一部の職場ではすでに雇用が失われ始めるなど、
ロボット化には負の側面も確かにあり、
「ロボット税」を取ろうとする議論も出始めている。
笑い話ではなく、「大量の失業に備え、新税制を考える時期」には違いない。
特に従来の文系が、このまま(営業中心の)文系スタイルを踏襲すれば、
“使い捨て”の運命が待っている。少々きつい言い方かもしれないが。

昨今、宅配クライシスが大きな問題になってはいるが、
宅配分野のトラブルは「AI時代前夜」の単なる一過性の一コマだろう。
世の中は大きな時代の激流の中にいる。

2017年04月22日

宅配クライシス

現在の住まいから徒歩30秒の距離(約80メートル)に
ヤマト運輸(ヤマトホールディングズ=通称・クロネコ)の支店がある。
現住所に移ってから20年超が経過したので、20年超の付き合いとなる。
従って従業員の方々とはごくごく自然に馴染みになる。
出来高制給与体制とはいえ、彼らは実によく働く。
朝は8時前から夜は10時過ぎまで。
飲みに出かける際に「チワー」と挨拶を交わし、
ほろ酔いで帰った時にまた「お休み~」といったパターンもよくある。
特に決められた休日もないようだし、いつ休んでるんだ? って状態。
その宅配システムが、過剰サービス(!?)にギブアップ状態になっている。

日本の21世紀に向けての流通革命の尖兵はコンビニと宅配だった。
1980年代後半あたりから拡大し始めたコンビニと宅配だったが、
両者の大々的な拡大・進出により、日本の小売が壊滅状態になっていった。
徹底的に、完膚なきまで小売りを地方経済から駆逐してしまった。

双方とも24時間営業。
食料品から日用雑貨まで大凡が賄えるコンビニという小売システムと、
TVの通販番組等で好みの商品を選択・配送してくれる流通システムは、
間違いなく画期的であり、“歴史的な”流通革命に違いなかった。

かくしてコンビニが日々の生活の中心になり、
ネット通販市場が爆発的に拡大していく中で、
商品内容や価格での差異化が難しくなり、
行き着いた先が「当日配送」だった。
「注文から最短2時間半で届ける」という極端なサービスが恒常化し始めている。

確かに「配送の時間帯サービス」は便利である。
「午前中」から始まり、午後は2時間おきに5時間帯に区分されている。
だが日本の宅配システムは
「相手に直接手渡してサインをもらう」ことで完了する。
結局は希望の時間帯に不在の場合も多く、
配達する方は何度も足を運ぶことを余儀なくされる。

最近ではコンビニや一部ファストフードが
調理品、端的に言えば“(昔の)出前”サービスも始めている。
食品には「鮮度のリスク」がある。特に夏場は怖い。
すしやラーメンやピザなどはともかく、
セブンイレブンやデーニーズに出前を頼むかねぇ??とは思うが、
高齢化社会で、結構需要があるらしい。

ヤマト運輸の場合、年間の取扱荷物は19億個。
そしてそのうちのアマゾン関係の「当日配送」の荷物が3億個(約2割)。
アマゾンの当日配送は夕方の便で大量に持ち込まれる。
午後5時に仕分けされれば配達の残り時間は4時間を切る。
そしてクロネコの平均単価が570円台に対し、
アマゾンは300円を切ると言われている。
かくして人手不足は深刻化し、ヤマトは未払い残業代200億円を払い、
営業益の5割減(580億円→300億円)となり、アマゾンから全面撤退した。

高齢者向けの食品を中心とした“ソフト商品”の即日配送は致し方ないにしても、
電化製品や家具などを中心とした“ハード商品 ”に「即日配送」は本当に必要か。
日本は“おもてなし”を“売り”にする国ではある。
だが、どんなに時代が変わろうとも
「過剰なサービスを無理押ししない」という日本的なやさしさが必要であろう。

米国ではロボットやドローンに置き換える計画が進んでいる。
「盗難補償より再配達の時間の方がコストがかかる」との論理である。
要は、相手が在宅しようがしまいが、基本は玄関先でOKというスタイルである。
かくして多少のトラブルがあっても宅配サービスは、
ドローンを基本にした米国式に集約される気配である。

結局、最近の動きは全て、好むと好まざると本格的に到来する、
「ドローン+自動運転車の時代」に向けてのプロローグなのかもしれない。

2017年04月15日

永過ぎた春!?戦後第3位「アベノミクス景気」

春爛漫。サクラ咲く日本の春。そんなさなかの4月10日。
突然のタイミングで「浅田真央引退」の報が流れた。
そして12日、都内での引退記者会見。
元来が欧米のスポーツ、日本には縁がないと思われていた女子フィギュアを
ごくごく身近なスポーツに仕上げた国民的人気スケーターの、さわやか会見。
“散るサクラ”はいつもはかなげで、ことの他ウツクシイ。
うざったい会見が続いていただけに、洗われるような清廉な姿に魅入られた。

その一方で“サクラ満開”を告げる報道もあった。
2012年12月に始まった「アベノミクス景気」が戦後3番目の長さになった、と。
第二次安倍政権が発足した12年12月に始まった景気回復は、
17年3月までで52カ月となり、
86年12月~91年2月の51カ月間のバブル経済期を抜き、戦後3番目になった。
今年9月まで続けば、65年11月~70年7月の57カ月間に及んだ「いざなぎ景気」
をも抜き去ることになる。

ただ戦後最長となった00年代の輸出は8割伸びたが今回は2割増。
設備投資も1割増と00年代の半分。
賃金の伸びは乏しく、個人消費は横ばい。
総合して考えれば、「緩やかな」あるいは「低温」と表現するのが妥当なようだ。

ともあれ“満開のサクラ”を謳歌する安倍政権だが、
「アベノミクス」という短期志向の格好だけの中身の薄い政策を、
手を変え、品を変え、積み重ねて継続する中で、
国民はそのシナリオに慣れ、近未来に控える「リスク」に鈍感になっている。
例えば2020年には3つの「2020年問題」が控える。

第1は「高齢化の圧力」。
20年前半には戦後のベービーブーム生まれの「団塊の世代」が75歳以上に達し、
社会保障の支出が急速に膨らむ。

第2は「東京五輪の波」。
消費や建設需要の反動減に加え、日本を取り巻く高揚感の後退で、
海外投資家が日本離れを起こし易くなる。
ギリシャの長い苦境は04年の夏の五輪を境に始まった。

第3は黒田東彦総裁のもとで日銀が始めた異次元緩和の「手仕舞い」を
考えなければならない点である。
発行残高の4割の国債を保有する日銀は、
年70~80兆円のペースで国債を買い続けている。
欧米で金利が上昇し、その圧力が日本に及べば、ゼロ金利を維持するためには
更なる強力な買取を迫られる。
「長期金利をゼロに留めておけば金利負担は軽い」。
従って「借金が巨額でも財政は悪化しない」との論理だが、
17年夏にも買い入れの限界を迎えるとの試算もあり、予断は許さない。

黒田総裁は
「物価が上がると思えば企業の資金は設備投資に、家計の資金は消費に回る」
との考え方が基本だった。
しかし最近では
「予想物価上昇率の引き上げには不確実性があり、時間がかかる」と、
ギブアップ状態になっている。
日銀の繰り出す金融政策は、論理に論理をかぶせる結果、分かり難くなる一方。

元来、経済学者の論理は実際の金融市場あるいは実世界にはそぐわない。
何故なら「基本数値を不変なものとする」論理だからである。
「コンピュータが描く理想的な美人と、生身の女性は全く別物」なのである。

森友学園事件から以降、絶対安泰かに見えた安倍長期政権に陰りが見え始めた。
確かに安倍首相本人の責任ではないかもしれない。
だが“満開のサクラ”に安心し過ぎた感もする。
散るサクラ 残るサクラも 散るサクラ 

“世界最狂”の北朝鮮を巡る緊張が高まっている。
本当に戦争が起きるのか?まさかな…


2017年04月08日

カルロス・ゴーンの流儀

ルノー・日産アライアンスの総帥、カルロス・ゴーン。
1954年3月9日生まれ63歳。レバノン系ブラジル人。
フランスで教育を受け、欧州・米国、
そして日本の自動車産業で成功を収めたことはご存じの通りである。

当初、あの見るからに濃ゆい顔は日本には馴染まないと思わせた。
年間給与が10億という超破格な待遇も、日本企業から猛反発を食らった。
だが、その腕前は年毎に見直されている。
CM上で、成り上がりを“売り”にする、うるさ型のロック歌手・矢沢永吉に
“やるな!!ニッサン”と代弁させ、納得させてしまった。

巷間では同氏は、
日々の業務管理や、キャッシュフロー経営に厳格と言われている。
一方で、その燦然と輝く成果から、同氏の掲げる長期投資や事業戦略が
欧米のビジネス界で研究対象になっている。
根幹の方針にブレがなく的確だからである。
社内の猛反発の中で進めた「中国進出と成功」や、
リーマンショックでも止めなかった「電気自動車開発」がその代表例である。

車には「移動価値」「体感価値」「所有価値」の3つの価値があるとされてきた。
だが、グーグルやアップル等のIT企業の新規参入で、
「(複数で保有する)カーシェアリング」や
「ライドシェアリング(乗合い)」の普及拡大は必至で、
従来から掲げてきたテーマが徐々に陳腐化し始めた。
結果的に自動車業界は、限られた販売台数をテーマにせざるを得なくなった。

最近のカルロス・ゴーンの最大のアジェンダ(論点)は、
「IT(情報技術)と自動車融合」。
IT技術の進捗により、
世界の自動車需要は現在の6割程度まで減少すると予想され、
また大型車が得意の米の自動車生産が半分以下に減少する予想されている。

産業界全体をみても、人工知能(AI)の進歩を背景に、
既存産業(=既得権益)を揺るがす破壊的技術(ディスラプション)が
生まれ易い状況にある。
自動車業界に関しても、自動運転車が中心になれば、
自動車産業から多分野に流出するのは止めようがない。
自動車産業もやはり100年に一度の転換期を迎えているのである。

今年1月、カルロス・ゴーンが仕事始めに向かった先は
恒例のデトロイトの自動車ショーではなく、シリンコンバレーだった。
日産が米航空宇宙局(NASA)と進める自動運転の共同実験の視察だった。

米大統領に就任したドナルド・トランプが、
日本の自動車市場が閉鎖的との議論をし、為替問題を蒸し返し、
大型車の多い米国自動車メーカーに配慮した燃費規制の緩和策まで
検討している中で、カルロス・ゴーンは、
「政権が変われば政策も変わる。それだけのことだ」と、
泰然自若としていたのは当然といえば当然の姿だった。
国内回帰を志向し、アナログな車の生産や、反グローバルを叫んだりしても、
結局は失敗するとの確信があるのだ。

16世紀以降の大航海時代を経て、東インド会社、蒸気機関などを中心と
したグローバル化やイノベーションの潮流は誰も止められなかった。
「国内回帰」を最大のテーマに、時代に逆流するトランプ流儀の運命は
言わずもがなであろう。

日本では巨象・東芝の行く末が憂慮され、連日の大報道である。
だが内実が明確になればなるほど見えてきたのは
戦後の日本を力強く支えた弱電の雄・東芝の姿ではなく、
あるのは原発事業で大きな損失を出した準国営企業・東芝の姿だった。
過去の栄光にすがる経営陣の、既得権保持に汲々としている姿だった。
ここまできたら潰すに潰せないだろうと居直る、慢心満々の姿だった。

「従来の常識が非常識」の時代。
新時代を生きる私企業は、時代の大きな潮流を見定めて先に進むしかない。
好むと好まざると、カルロス・ゴーンの流儀に学ばざるを得ない。
軍門に下る感は否めないが、それも時代の要請なのだろう。


2017年04月01日

ポスト真実(Post Truth)

現在の住まいから両国国技館まではチャリで15分ばかり。
国技館近辺には昼から営業している飲み屋が多数あり、昼食兼ねて軽く飲って、
末席も末席の最安価な最上段で、ほろ酔い気分で幕下あたりから相撲観戦する。
桜が散った後の青葉の季節の、隅田川を吹く五月の風が江戸前で実に心地よく、
酔いを醒ましつつゆったり帰る、というのが密かな楽しみだった。

その大相撲がいつの間にか超人気になって、満員札止めが続くようになった。
相撲はもはや日本ばかりでなく、国際的な人気である。
予約も即日完売とかで、当日券も手に入らない。
格段構えることなく、散歩がてらに国技館に寄り、相撲を観戦するという
“芸当”ができなくなった。

大阪での春場所。
表彰式で君が代の大合唱の途中から、稀勢の里は涙でくしゃくしゃになった。
13日目の日馬富士戦で左肩を痛打し、怪我には強いと定評のある稀勢の里の、
苦痛にゆがむ表情を初めて見た。
強行出場した14日目は鶴竜になすすべもなく寄り切られた。
まともな相撲を取れる状況ではなかった。
それが千秋楽に、怪物大関・照ノ富士に、本割と決定戦で2度勝利した。
紛れもない奇跡だった。

2001年夏場所、膝の大怪我を押して強硬出場し、優勝した貴乃花は、
その後7場所連続休場に追い込まれ、再び賜杯を抱くことはなかった。
優勝した事実をもって今回の稀勢の里の強行出場を「正しい選択だった」
とは言い難い。だが感動は、往々にして「正誤を超えたところ」で生まれる。
それもまた真実ではある。

最近、英オックスフォード大出版局が2016年の「今年の言葉」に選んだ単語、
「ポスト真実」が盛んに言われ始めた。
客観的な事実よりも、
「感情や個人的信条への訴えかけの方が世論形成に影響がある」ことを指すという。
英国の欧州連合(EU)離脱の国民投票と米大統領選挙で、英国民が離脱を選び、
米国民がトランプ大統領を誕生させ、その後双方間違いだったと考え始めている、
という状況を「ポスト真実」と位置付けるのである。

「死なばモロトモ?」と揶揄される日本を騒がす森友学園事件。
野党は、
「安倍昭恵首相夫人が名誉校長の小学校の開校を延長したら、
役所は首相に恥をかかせることになると考える」と指摘し、
一方安倍首相は、
「忖度(そんたく)の事実がないのにまるで事実かのように言うのは
典型的な印象操作だ」と反論する。

忖度。広辞苑は「他人の心中をおしはかること」とする。
しかし実際に使われる際には
「力を持つ上の者の気持ちを先取りし、機嫌を損ねぬよう処置すること」
になる。
今回の森友学園事件は
「重層的な忖度メカニズムが」働いたと見るのが順当だろう。

29日付の日刊スポーツは、
新横綱稀勢の里をモチーフにした錦絵版画がベネチア芸術展に出品され、
好評だと伝えた。なぜ白鵬でなく稀勢の里なのだろう。
19年振りの日本人横綱という意味もあろうが、
ある意味常識をはずれた無謀とも言える稀勢の里の一連の行動が
純日本的に映ったのだろう。
だが「横綱だから何がなんでも勝つしかない」とする、
単純明快なメカニズム=一途な必死感が、海外でも評価を得たと思われる。

日本中がどす黒い欲望をテーマにする「籠池劇場」に右往左往する中で、
救われるような、清々しい気持ちでいる。

【追伸】
全く蛇足ながら、チャリで7~8分の至近距離(=江東区清澄)に所在する
錣山(しころやま)部屋の阿炎(あび=元十両・現幕下=春場所全勝優勝)
の隠れファンである。
当初は堀切洸助という本名のしこ名が何気に可愛くて注目・応援していたが、
十両昇進時に、こともあろうに、阿炎政虎という、
聞いたら笑ってしまうような、ギャグっぽい、いかついしこ名にされてしまった。
だが本人は、187㌢の長身で、ジーンズが似合いそうなジャニーズ系美形。
力士にしては細身で不必要に足が長く、腰高で、なかなかメジャーになり切れない…
そんな隠れた魅力のある力士の成長を見守るのも大相撲の醍醐味と思うが…


2017年03月25日

平成才女・女傑考

暑さ・寒さも彼岸まで。
春分の日を見計らったように東京に開花宣言が出た。
そして“春はセンバツから”とばかり高校野球が始まり、
WBCで侍ジャパンとMLBオールスターズの死闘があり、
サッカーW杯のUAEでのアウエー最終予選があり、
新横綱・稀勢の里に沸き、連日満員札止めの大相撲ありと、
もはや“豪華絢爛・花見用・幕の内弁当”の様相を呈した。

こうした溌剌とした爛漫のスポーツの世界の一方で、
都議会では豊洲市場移転問題に関する百条委員会開催、
一方国会では森友学園問題に関して証人喚問があり、世の中がザワついた。

最近の政治の世界の特徴として女性が絡む点が上げられる。
現代は男女平等、女性の機会均等という大原則があるが、
これほどまでに女性が表舞台や裏舞台で活躍or暗躍する時期があったろうか。
気が付けば平成という時代も約30年。
ここで(後世まで語られると思われる)平成の才女・女傑について考えてみたい。

表舞台で活躍が際立つのは小池百合子東京都知事だろう。
その存在を決定的にするのは、1988年、
テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト=通称WBS」の
初代メインキャスターになった時からだった。
当時は経済専門番組、特に相場情報番組が極端に少なかった時代であり、
携帯電話等の通信機器も貧弱で、
金融関係者ならずともその番組を見ざるを得なかった。
最近では「年増の厚化粧」と揶揄されているが、登場した当時はスタイル抜群で、
それなりの熟女オーラーを醸し出す“新時代の容色兼備の才女”に映った。
1990年には日本女性放送者懇談会賞を受賞する。

その後は名声を駆って1992年の参院選挙に日本新党から出馬し当選。
以降は1993年兵庫2区から衆院総選挙に出馬・当選
→1994年新進党結党に参加→1997年自由党結党に参加
→2000年の保守党結党に参加→2002年自由民主党に入党。
以降は環境大臣、内閣府特命大臣、防衛大臣等を歴任する華々しい活躍で、
巷間ではしぶとい政界の不死鳥渡り鳥と称される。
そのキャリアを活かして2016年に東京都知事に当選。
最終的には日本初の女性首相に駆け上がらんとする小池百合子女史の活躍は
戦国時代の太閤・豊臣秀吉の如くの勢いである。

そうした小池百合子女史の活躍を表舞台とすれば、
裏舞台で際立っているのが
アッキーの愛称で親しまれている安倍晋三首相の昭恵夫人。

歴代の首相は概ね3つのタイプ分類される。
第一が良妻賢母型。
地元の後援会や家庭をしっかり守り、3歩下がって夫に従う。
「妻であり母である」ことを徹底する。
日本の明治・大正・昭和の日本のファーストレディの基本形。
代表例が故橋本龍太郎首相の久美子夫人。

第二は夫も顔負けの政治家型。
代表例が、故三木武夫首相の睦子夫人。
改憲に反対する「9条の会」を立ち上げるなどリベラルな政治活動展開した。
菅直人元首相の伸子夫人もこのタイプ。政治好きで演説も上手いと評判だった。

第三が平成になって出現した自由奔放型。
政治家の“妻の枠”を超え「私らしさ」を追求し、夫も妻の行動を放任する。
元タカラジェンヌの鳩山由紀夫元首相の幸夫人がさきがけ。
人目を引くパフォーマンスを連発し、何かにつけ「風変りのファーストレディ」
と報じられた。
昭恵夫人もこの型に分類される。
「家庭内野党」を宣言し、政権と真っ向反対する主張や活動を展開する。
日本全国からの名誉職招致も拒まず、居酒屋も開店したりする。

森友学園問題に関する証人喚問の翌日の3月24日の参院予算員会。
アッキード事件は始まったばかり、これからが本番と、
ここを先途の野党の猛烈・熾烈な安倍降ろし作戦。防戦一方の安倍首相。
不沈艦と見られていた安倍政権が沈むのか!?まさかな…

「国政に携わる者を送り出すためには、自分の身を捨てても無我夢中でやる」。
故岸信介首相の長女で、政界のゴッドマザーと呼ばれる安倍首相の母・洋子氏の
言葉である。
何が正しくて、何が悪いかは歴史が証明してくれることにはなろう。
ただ自由奔放型ファーストレディなど、昭和の時代には考えられなかった。

「咲くサクラ、昭和は遠くなりにけり…」

2017年03月18日

「金融業の聖域」の消滅と文系金融の終焉

センター一極集中と人口減で地域経済が縮む中、地銀の再編が相次いでいる。
と言っても最近では、近場の銀行だけでなく“飛び地”の吸収合併もあり、
また(国際金融を目指す意味を込め!?)横文字のネーミングをつけることが
多いこともあって、“どことどこが合併してどうなった”ということは
全く興味を持たなくなっている。
銀行抜き、ましてや地銀抜きの生活が普通だからである。

最近金融庁は、地銀に対し運用部門に焦点を当てた特別検査を実施している。
マイナス金利政策の導入で投資し難くなった国債に代わり、
少しでも高い利回りを求め、外債や複雑な仕組みの運用商品の投資を
増大させたからである。
そして昨今の米金利上昇で、多額の含み損を抱えたり、
損失を計上している地銀が多いのが現実だからである。

また一方で、保険商品の銀行窓販が急減も目立つ。
2016年度の販売額は前年同期比4割減で、09年以来の低水準になる見通し。
金融庁が窓販の商慣行に厳しい視線を向け始めたことも響いている。
全面解禁から今年で10年。
専門知識が欠如した銀行の窓販が“全くのお門違い”が明確になり、
窓販は曲がり角に差し掛かっている。

こうした環境の中で、監督官庁たる金融庁の言い分。
「再編はあくまで経営手段であり、再編を促しているわけではない」
「ただ再編でムダなコストを削って経営を合理化すれば、
人口減で地方経済が疲弊しても銀行が仲介機能を発揮し易い」
「再編で生じた資金や人材、情報などの経営資源を地域経済に振り向けられる」

美辞麗句の建前はともかく、金融庁の本音は以下のようになろう。
「今後、能力のない銀行は生き残れない。特に地銀の生き残りは厳しい」
「少数精鋭体制にすることが急務。更なる吸収合併を勧奨する」
「不要な人材は極力出向させ、コスト削減・体質改善を指導していく」

金融とIT(情報技術)が融合した「フィンテックの時代」を迎え、
銀行業という業態自体が大きな曲がり角に差し掛かっている。
膨大な顧客データ、本人確認などの技術のノウハウ、社会的な信用力、
優秀な人材力など、銀行が抱えていた(orあったはずの)従来の銀行の武器を、
守りでなく、攻めに使えるか。

だが現状は、銀行の主業務の一つであった決済業務さえ、
必ずしも銀行である必要がなくなり始めている。
モバイル市場が急拡大し、
電子商取引のアリババやテンセントが急拡大する時代となった。
モノやサービスと結んだ自動決済や、顧客データを使った新たなビジネスを
切り拓く能力・資本力が、今の銀行、特に地銀にあるとは思えない。

戦後生まれの団塊の世代は「文系」「理系」に大別され、
またその主たる就職先は文系は金融、理系はモノ作りと進んでいった。
当時の文系・金融に「何かを創る」との発想は皆無だった。
「変化するもの」を極力避け、
「与えられた規則を完璧に習得し、準拠するための知識を会得する」ことが
最優先された。
株式・為替相場などの基本的な相場さえも忌避された。

地銀レベルでは未だに団塊の世代、あるいはそれに近い世代の文系の人間が
トップに張り付き、なんとかなるともがいている。
どうもがいても、もうどうにもならない。
何故なら、時代が金融に理系の先端技術を求めているからである。

「文系金融の終焉」。
「老兵は消え去るのみ」。
残念ながら。

2017年03月11日

安倍1強時代。だが一寸先は闇!?

2月5日の自由民主党大会。
何ら異論がないまま、自民党総裁任期の「3選9年まで延長」が認められた。
かくして安倍晋三首相の3選への道が開かれ、
2021年9月まで、約9年の歴史的な長期政権が可能になった。

安倍内閣の支持率は12年12月の政権発足後と13年4月の76%をピークに、
15年7月には38%まで下落する。
そのまま下落すればこれまでの政権と同じだった。
だが15年後半から再び上昇し、今年の2月でも60%台を維持している。
全体でみると「U字」に近い。

ではこの「U字型」回復の要因は何か。
支持政党なしの「無党派層」で高い支持率があるからである。
「U字の底」だった15年下半期の無党派層の支持率は10%台。
これが16年8月以降は30~40%に回復し、17年1月には43%に達している。

この支持率の高さの要因は何か。
まずは「やってる感」。
何かあれば即座に官僚に検討を指示する。
成果はともかく、その素早い姿勢が国民に「やってる感」を与える。
例えば、アベノミクス、1億総活躍、働き方改革など、
“途切れないスローガン”が有権者に期待感を与え続けた。
端的に言えば「実際の成果より、期待を先行させる」手法である。

もうひとつの理由。「よりマシ感」。
民主党ができなかったことを、安倍政権がどれだけやっているか、
分かりやすく伝えた。
考えてみれば、鳩山・菅・野田と続いた民主党政権は
史上最悪のパターンではあった。
まぁましか!?と思うしかなかった。

そして安倍長期政権は、外交面でも海外諸国に安心感を与えている。
「継続は力なり」。
考えてみれば、安倍政権が特別いいわけではない。
が、他が余りにひどかったし、各々の在任期間が余りに短時間に過ぎた。

かくして安倍晋三政権は、このままめでたく東京五輪を迎えそうな気配だった。
だが大阪・森友学園に関する“アッキード”事件が勃発して以降、
ごたつき始めている。
最初は“単なる軽い笑い話”だった。
だが、早々に完全鎮火しないと大火事にもなりかねない様相である。

2月の参院予算委員会はほぼ「森友学園問題」に終始した。
300回を超えたと言われる財務省・佐川宣寿理財局長の連日の答弁、
エリート然とした端正な顔立ちの高級官僚の、余りに必死の形相が印象的。
終いには名前も顔も覚えてしまった。

今回の森友学園問題、まず発端が異常だった。
突然目の前で教育勅語の大合唱が起きればビックリもするし感動もする。
だが、冷静になって考えてみれば、
幼稚園に通う幼児に教育勅語を無理矢理暗記させ、大合唱させる教育など
誰が何を弁明しようと、異常と言うしかないだろう。

安倍昭恵夫人は日本のファーストレディ。
全国から幾多の“お呼ばれ”や名誉職招致は致し方ない。
だが地元・山口や、東京・神田で飲み屋を開業したり、
(間髪の抑え込みで揉み消された)ロックギター奏者とのスキャンダルやらと、
天真爛漫・菓子屋の社長のご令嬢だから仕様がないという理由では
看過できない場面が多くなっている。“脇が甘い”と言われても致し方ない。
(*以降、その有名ロックギター奏者THは表舞台から消えた!?)

森友学園問題は次々と欠陥が露見しており、結局は完全に抑え込まれるだろう。
だが更に大きな問題は、飛び火して、「大疑獄」事件が飛び出す気配もあることだ。
長期安定に多少の油断があったのは否めない。

政界は一寸先は闇。
ここを先途の野党の方々の熱気が凄い。
もっと凄いのが「安倍ネクスト」を虎視眈々と狙う、いわば身内の自民党内の蠢き。

政界は相変わらず魑魅魍魎、常人が近づけないホントに怖い世界である。

2017年03月04日

共産主義王朝の断末魔のあがき

先代・金正日総書記の誕生日を祝う「光明星節」を16日に控えた2月13日、
北朝鮮がまたぞろ世界を騒がす事件を起こした。
マレーシアの首都クアラルンプール国際空港での金正男暗殺事件。
よりにもよって“監視カメラ天国”の国際空港での犯行であり、
素人を雇って猛毒VXで暗殺という、安直なドラマ仕立ての殺人行為だった。

北朝鮮は世界初の共産主義王朝であり、従って血縁者は後継者になりうる。
金正男氏は王族や大富豪の子息ばかりが集まるスイスの名門「ル・ロゼ」の
寄宿舎で英才教育を受けており、長男としても後継者たりうる存在だった。
ただ権力に恋々とせず、
ひたすら世界のテーマパークを放浪する“男はつらいよ・寅さん”スタイルが、
世界のマスコミに面白おかしく、頻繁に取り上げられていた。
そして特筆すべきは、「現北朝鮮の国家システムに批判的だった」ことである。

金正恩現委員長は、金正男氏と腹違いの兄弟であり、
母親が在日朝鮮人というハンディキャップがあった。
後継者争いでは、長男の金正男氏が一番手であり、勝ち目が薄かった。
ただ長男の放浪癖が災いして、後継者の地位が転がり込んだ格好となったが、
強力なライバルを排除し、権力基盤を強固なものしようと画策したに相違ない。

だが今回の暗殺が、世界中に根堀り葉堀り報道されるような舞台での決行であり、
あまりに杜撰だった。
金正恩委員長の若さゆえのあせりか….

今回の事件が起きて、
昨年の晩夏に完読した故船戸与一氏の遺作となる大作「満洲国演義」の
ポイントを読み返してみた。
現北朝鮮に、満洲国を立ち上げた当時の日本と同様の“狂気やあせり”を
感じたからである。

同「満洲国演義」では、登場人物にゲーテの「ファウスト」から
「国家を創り上げるのは男の最高の浪漫だ」と述べさせる。
正常な国家経営の経験不足と掲げた理想と現実の乖離。
世界に伍する手段もなく、また手段を模索することもなく、
核やミサイルを最大の外交手段とする北朝鮮。
世界は「暴挙」や「暴走」と非難を浴び続けている。

北朝鮮の場合、根源の原因は明確になっている。
国境が直線で引かれている場合に紛争は起こり易い。
それは民族のありようを無視して、
統治する国の都合で直線が引かれるからである。
国境をまたいで同じ部族が存在する、二重国家になっている。
結果的に民族意識が政治的な思想に昇華され、
権力との抗争を必然的にさせるからである。

今後、北朝鮮問題解決にはどうしたらいいのか。
答えは単純明快である。
現体制を転覆させ、穏健な安全保障政策を持つ政権に移せばいい。
ではどう実現するのか。
巷間では「ロシア」が鍵を握るやに噂されている。
ドサクサまぎれのM&A(乗っ取り)が伝統的に得意のロシアの、
国際スパイ上がりのプーチンならやるだろう、との見方ではある。

金日成国家主席体制が誕生して70年が経過し、三代目の時代となり、
組織に金属疲労が目立ち、金一族の血を血で洗う争いが始まった。
北朝鮮は断末魔のあがきをしているようにしか見えない。

これまでの世界の歴史を考えれば「北朝鮮のリセットの時期は近い」。
それも「ある日突然のリセット(=崩壊)近し」と思わざるを得ない。

2017年02月25日

「日本政府は為替管理をしていない」のか?

トランプ新政権になって1カ月が経過した。
人事問題・外交問題・経済問題など、難問山積、今後はどうなっていくのか、
全く見えていない。
但し巷間で注目されている為替問題については、短期はともかく、
長期的にはある程度は方向を判断することが可能である。

よい機会なので、チャートをベースにした為替分析について復習してみたい。
為替のチャートには、日足・週足・月足そして年足が存在する。
チャートとは、日毎・週毎・月毎、そして年毎に出てくる高値・安値の
データを組成してできる“図面”である。

年足???と言われるかもしれない。
実はこれが重要なポイントである。
勝率9割を誇った伝説の相場師・W.D.ギャンは
「見過ごされがちだが、年足が特に重要である」と言っている。
そして「最低100本の足が必要である」と。

為替が変動相場制に移行するのは1973年。
つまりは「100本の足ができるのは2073年」ということになる。
為替の動向が今一つ明確に分析できないのは、
為替の年足が40本を超えたばかりの“未熟な相場である”からに相違ない。

日本にとっての基本の為替は何と言ってもドル・円。
米国が世界経済の中心にいる限り、その重要性は不変である。
創刊して20年超になった「週刊・びー・だぶりゅー・れぽーと」で
毎週分析を繰り返してきたが、総体的に言えば
「360円から始まったドル円は5分の1の72円(実際は75円)にほぼ到達し、
3分の1戻しの120円になった」
なんのかのと言いつつ、まずは理詰めな動きをしていることになる。

別にトランプ大統領の肩を持つわけでない。
が、日本の為替政策は「ドル円為替を円安誘導してきた」歴史を持つ。
安倍首相や麻生財務相を中心に頑強に否定しているが、
アベノミクスの大きな柱は「異次元緩和をベースにした円安誘導」だったのは
ご存じの通りである。

これもギャンの言い様だが、
「相場という大自然を人間の力で抑え込むことはできない」のであって、
「円安だと日本が有利(国益)、円高だと日本が不利(国損)」だから
「何がなんでも円安」という論理は、
輸出と輸入で成り立つ現在の世界経済環境において、
完全に時代遅れのアナクロな考えだと思う。
たとえ日本が輸出立国であったとしても。

参考程度にドル円の理論値を申し上げれば、
日米長期金利差とドル円の妥当値は2001年以降では106円。
購買力平価(生産者物価ベース、1973年基準)は97円。
市場が期待している米国の巨額の財政出動が期待外れになったり、
欧州の政治リスクが高まったりすれば、円の急騰=100円割れは十分にあり得る。

中期的な状況を申し上げれば、
昨年9月の安値100.09円からトランプ当選直後の高値118.65円の
3分の1戻しが112.47円。
現状は113円を中心にした「111.50~115.00円」のレンジでの膠着状態。

トランプ政権が不安定な中、
大枠の節目の値段を抑えた上でコスト計算をしておけば、
とりあえずリスクは軽減できる。
為替管理は近代経営の基本中の基本。
まことに厄介だが、世界統一通貨がない現状では致し方ない。


2017年02月18日

作・演出・自演“トランプ劇場”の今後は如何に?

2月14日、衆院予算委員会。
金田勝年法務大臣と稲田朋美防衛大臣の“火だるま”劇が繰り広げられた。
専門知識欠如が明白な、田舎の町会議員風(!?)のオロオロの法務大臣と、
日本初の女性首相候補最右翼と言われた“涙目連発”(!?)の”防衛大臣の、
ノーガードで滅多打ちされる姿。
野党のここを先途の“弱い者いじめ”の感の強い展開ではあった。
特に民進党・辻本清美議員の“つぼにはまった”時の弁舌は強烈で鋭く、
冷徹でサディスティック。“涙目”にもなりまする…

そんな中、アシストに動き回る安倍首相の疲れた様相も再々写し出された。
2泊4日の過密スケジュールの米国旅行を敢行し、
休日もとらずに走る回る安倍首相が少し可哀そうになった。
確かに任命責任はある。が、時差ボケもあろうし、さぞやお疲れだろうに…

世界が注目した日米首脳会談だった。
いきなりのハグに19秒も続く固い握手。
過激派トランプ大統領からどんな無理難題が持ち込まれるのかと、
日本政府ならずとも国民さえも戦々恐々としていた(と思う)。
ところが蓋を開ければ、同窓会で旧友に再会したごときの厚遇だった。
少々わざとらしい、過度と思えるくらいの演出ではあった。

日本時間11日の午前2時頃から始まった共同記者会見。
ライブで観ていたが、なんかむずがゆくなるような、予想外の展開。
だが結果的には(表面的には)世界に向け日米の親密度をアーピルした。
その実、安全保障で強固な同盟を確認はしたものの、
通商や為替での摩擦等、一連の“爆弾問題”をスルーした”胡散臭さ満載”
の会見だった。

極めつけは“ワンハーフ=27ホール”5時間のゴルフ。
うち最後の9ホールは両首脳だけだったという。
今回の訪米前、安倍首脳の祖父・故岸信介首相が、
当時のアイゼンハワー大統領とゴルフ外交をした様子が再三放映された。
“世界の舞台での外交”という一族の宿願が適ったことにはなったものの、
今後の成り行きは多数の「?」がつく。

自著で「私は全ての人々を喜ばせる外交官ではない。勝つまで戦い続ける」。
そんな「ゼロサム」の思考方法。
そしてレーガン政権の自由貿易を標榜しながら、
自動車や半導体の保護、ドル高の是正に動いた「「1980年代への懐古」を
標榜するトランプ大統領。

「日米摩擦の続きをやりたがる人たちが集う」トランプ政権の流通商政策は、
やはり危うい。
グローバ化や市場化が加速し、経済の相互依存関係が深まる現在の世界で、
超大国がゼロサムゲームに走れば、世界経済はたちどころに崩壊する。

一連のゴルフ外交をみながら自分が社会人になった当時を思い出していた。
事あるごとに言われたのは
「麻雀はできるか?」「即刻ゴルフの練習を始めよ!」だった。
まずは相手と親しい友人となる。基本中の基本ではある。
安倍首相の一連の対応は間違っていたとは思わない。
だが、「トランプと最も近い首脳」と張られたレッテルは今後にどう響くか。

フリン大統領補佐官から始まる側近の不祥事ドミノが続くトランプ政権。
正式な大統領就任からまだ1カ月も経過していない。
「米大統領選挙は完全に終わったわけではなく、
まだ途中ぐらいに考えた方がいい」。
月刊・文藝春秋での立花隆氏の指摘である。

さて何が起きるか。
大変動はこれからである。

2017年02月11日

政局混迷尻目に、粛々と進む「プロ化」の流れ

TBSラジオ・月~金のニュース番組「Dayキャッチ」の水曜日、
聴視者参加の川柳コーナーがあり、毎週楽しみに欠かさず聞いている。
ご存じのように川柳とは、
5・7・5の17文字の短詩で、生活や世態を風刺の立場から描写、
いわゆる「クスッ」とした笑いを狙うものである。
で、同番組の1月の大ヒットと評価が高かった作品は
「気がかりは トランプ小池 稀勢の里」。

稀勢の里は念願の横綱になり“気がかり”の中から消えていったが、
「トランプ大統領」と「小池都知事」が起こす“騒動”はこれからが本番。
2月10日からの(ゴルフ絡み)の日米首脳会談や、
石原慎太郎元都知事の都議会への参考人招致でこれからどうなるのか…
全く見えてこない。
双方共に劇場(激情!?)型パターンなので予断を許さない。

そうした日本の国内外の世界的な政局混迷の中で、
注目度が意外に低かったのは「松山英樹のフェニックス・オープン連覇」。
同大会は1932年から始まった伝統的な大会で、準メジャーの位置付け。
連覇となれば日本初は勿論、世界的で歴史的な偉業である。
トランプ&小池騒動なかりせば、
もう少し大々的に取り上げられた偉業ではあった。

NHKBS1の日曜日(5日)・月曜日(6日)、
早朝5時から始まるライブ中継放送を息を潜めて眺めていた。
最終日、4打差の3位から出て1イーグル・3バーディの66と伸ばした松山は、
昨年と同様のプレーオフを、
これまた昨年と全く同様に4ホール目17番ホールで決着。
今季2勝目、賞金120万㌦(約1億3千万円)を獲得した。
優勝した時点で堂々たる世界の賞金王である。

もはや「線でなく点で狙う」松山のゴルフは異次元。
TVでは見えないが現場で実際に見たら、
300ヤードを楽々超える飛距離は勿論、“寄せ”でも、
とんでもない高い球でピンをデッドに狙う世界になっているのだろう。
マスターズ等のメジャー制覇の期待が益々高まる。

“松山賛歌”になってしまったが、
衆知のように松山はプロゴルファーである。
ではスポーツの世界のプロとは一体どのようなものなのか。

プロスポーツの代名詞だった野球やサッカーのプロは、
競技には専念するものの、球団から給料をもらう形式だった。
だが最近では、体操の内村航平や水泳の萩野公介のように
今までに考えられなかった五輪種目での「プロ化」宣言が相次いでいる。
端的に言えば「何ら保証のない裸一貫」の世界。、
法的に言えば「プロ=個人事業主になる」ということである。

テニスやゴルフのような高額な賞金や出場料が望めない五輪競技の場合、
スポンサー契約が収入の柱となる。
この点から言えば、JOC(日本オリンピック協会)が一括管理して
マーケティング活動に活用していた肖像権は12年前に選手に返還している。

一般社会でも40歳定年制が言われる昨今、
「引退後は会社に残って社業に専念」という形式は完全に時代遅れ。
というか、現状で“絶対に永遠不滅である”と言い切れる企業は皆無。
従って「限りある選手人生をかけリスクある挑戦をする」のも理に適っている。

ヤンキースの田中マー君が年間20億超の収入を得る時代。
内村や荻野のような百万人に一人の稀有な逸材が、
マー君の半分くらいはもらっても何ら不思議ではない。

青年は荒野を目指す。
ドロドロした昨今だから尚更、才能ある若者が輝いて見える。
頑張れ!!陰ながら応援するよ!! と言うしかあるまい。


2017年02月04日

何を今更…日米自動車摩擦再燃やら為替論争やら…

1月20日の就任式以降、
朝・昼・晩と、米国大統領・ドナルド・トランプに纏わるニュースの連発。
いまや“米国発・金髪の国際的スター誕生”の感のする日々。
1946年6月14日生まれの70歳。
問題の多い桁違いの異端児だけど、まぁほんと、エネルギッシュですわ…
ま、あれだけエネルギッシュでなければ、二回り年下のグラマティスな美魔女とは
生活できないと思う次第で…
その点だけはつくづく感服致します。
………….

「我々には永遠の同盟国も永遠の敵もいない。あるのは永遠の国益だけだ」。
これは大英帝国が栄華を極めていた1884年、
当時の首相第3代パーマストン子爵の言葉である。
そして自国の外交政策について
「英国は独自の道を歩むだけの強さと影響力がある」と。

トランプ新大統領がパーマストンに倣っているとは考え難い。
ただ両人には自国を絶対とし、他国を頓着しない点では共通している。
現在の国際経済体制は元々が米国が設計したものである。
だが新大統領は「米国第一主義」という懐古主義を最大のテーマにした。
言葉を変えれば、全盛時の英国と同様に「米国孤立主義」打ち出したことになる。

そして「米国第一主義」を宣言すると共に
「米国を再び偉大にする」政策をも打ち出した。
ただこの一連の政策の中身と言えば、
経済ナショナリズム、反グローバル主義、反移民、イスラム過激主義の徹底拒否、
米国の利益を優先するゼロサム志向であり、
結局は直感と偏見の寄せ集めでしかないように見える。

1月23日、
新大統領は自動車貿易を巡り、日本を名指しして「不公平だ」と批判した。
米国での現地生産が進む現状を無視(or知らない振りを)し、
1980年代に逆戻りしたような批判をする背景には、
フォードやGMなどの米大手自動車企業の影がちらつく。

日本のメーカーが小型車の輸出攻勢をかけた80年代と異なり、
日系企業の米国生産が進んでいる。
米国内で販売する車のうち、北米での現地生産の割合は
トヨタが7割、日産が8割、ホンダは9割とされている。
また日本国内へのアメ車の輸入に関しては関税がゼロなのに、
米国は日本からの輸入車には2.5%の関税を課している。

日本自動車輸入組合(JAIA)に拠れば、
16年の外国メーカー車の日本での販売台数は前年比3.4%増の29万5千台。
登録車に占めるシェアは9.1%で10%が視野に入っている。
その中で、16年にはフォードが日本から撤退、GMの販売も1300台程度で、
メルセデス・ベンツ、BMW、VW、アウディ等、
独メーカーのほぼ独占状態となっている。

要は燃費が悪く、小回りが効かないアメ車は狭い日本には合わず、
人気がないということであり、
結局は米国メーカーの企業努力が足らないという点については論を待たない。
結局はないないづくしの米国の日本への“いちゃもん”に過ぎないのだ。

為替についての発言は余りに馬鹿げている。
米国は伝統的に「強いドル」政策を基本としてきた。
で、新大統領は「強いドル政策を採る」と宣言する一方で、
「ドルは強すぎる」などと言い放つ。
基軸通貨国の大統領が為替動向に関する発言をすれば市場はどう反応するか、
ご存じないのか?
そんなアドバイスをする側近もいないのか?

1月20日に大統領に就任して以降の連日の過激なパフォーマンスは、
世界が耐えてくれるギリギリの限界を確認する動きのようには見える。
だが内容が余りに単純・稚拙で、基本的知識の欠如の感は否めない。
百歩譲って、無知を装うのは、厳しい米国ビジネス界を生き抜いてきた
一流の作戦かもしれない。
が、ここまでくれば、“ど素人の一発屋”にも見えてしまうが…

2017年01月28日

世界を揺るがすツイッター大統領の口害

1月25日、帝国ホテルでの横綱伝達式。エツッ、なんで帝国ホテル???
押し寄せるマスコミの多さに、田子の浦部屋のスペースが足りない!?
嬉しい悲鳴を上げた挙句の苦肉の策だった。
かくして19年振りの日本人となる・第72代横綱・稀勢の里が誕生した。

余計な形容詞を一切使わない朴訥とした口上。
だが、かえってそれが好感度を増した。理由は明確だった。
1月20日の就任式から、まるでマシンガンのように連発する
米45代大統領・ドナルド・トランプの発言に癖壁していたからである。
連日の「(血の滴るような)レアステーキ」に胃もたれする中で、
日本伝統の「白菜の浅漬け」がことのほか美味だった。

新大統領の掲げたテーマは「偉大なる米国の復活」。
そして「理念」よりも「実利」。「国際協調主義」よりも「単独行動主義」。
これは
「深刻な不況とソ連の脅威で自信を喪失した国民を鼓舞し、
経済・軍事の両面で「強い米国」を目指す」
とした故レーガン大統領を見習ったものだった。
だが根本の考え方に“時代錯誤”があるように見える。

余りに過激に内向きの変革を志向する“異端児”を前に、
世界の緊張は高まっている。
世界は新大統領の3つの「不」に身構える。
まずは「不寛容」。
貿易収支の赤字を容認せず、中国、メキシコ、日本を名指しで牽制する。
高率の関税や企業への脅迫で投資や雇用を向けさせ、米製品を買わせようとする。

第2は「不連続」。就任初日から、
オバマケア(医療保険制度改革法)と環太平洋経済連携協定(TPP)を排除した。
既存政権の遺産を破壊することに活路を見出そうとしている。
一方的な関税引き上げや輸入制限は世界貿易機関(WTO)のルールに抵触する。
一連のグローバルな枠組みが米国の雇用や富を奪ったとする新大統領は、
既存のルールや機関の否定に走り始めたのだった。

結果として生じる第3の懸念は「不透明感」である。
積極財政策などへの期待から“トランプ相場”を享受した金融市場が
“次の手”に戸惑っている。
ヘッジファンドの雄・ジョージ・ソロス10億㌦損失との噂も、
市場をビビらす結果になっている。

1月17日の世界経済フォーラム(ダボス会議)で、自由主義経済の大切さを
得々と説いたのは誰あろう、中国の習近平国家主席だった。
民主主義と自由市場の先陣を切るべき米英が自国優先に舵を切り、
非民主主義の中国がグローバル化の盟主を気取る。
まさに倒錯した笑えないギャグである。

戦後の米国は孤立主義と決別し、
自由主義や民主主義の守護者として世界の繁栄と安定に貢献してきた。
公人になった後も選挙前と同様にツイッターを縦横無尽に駆使する、
たったひとりの指導者の出方次第で、超大国と国際秩序の変質が
深刻になり始めている。

「米国人の大きな特権は、失敗を犯してもこれを正す自由がある点にある」
(トクヴィル「アメリカのデモクラシー」)。
常にマスコミとけんか腰で相対し、不支持50%超の大統領に明日はあるのか。
米国は勿論、世界各地から非難の声が広まる。
「そんな(異端な)大統領を選んだのは誰なんだ???」。

折しもNYダウ20,000㌦がマスコミを賑わしている。
それは「新たな始まり」なのか、はたまた「全ての終わり」なのか…
「新大統領の早期辞任劇」の可能性を考えざるを得ない。

2017年01月20日

ジリジリ追いつめられる愛煙家&たばこ関連企業

今は日本時間2017年1月21日午前12時10分。
トランプ米大統領誕生まであと2時間ばかり。
世界はどうなるのか….グチャグチャになるだろな多分!?…
その前に落ち着いて、コーヒー&スモーキング・ブレーク….
………………………………………………………………………….

冬晴れの寒い週末の午後、余りにスカンと晴れた空に誘われ、
日用品買い出しに、チャリを駆って豊洲に出かけた。
少年野球の試合が三面とれるどデカいグラウンド。
おおやってる、やってるとタバコを吸いながら眺めていた。
と、35歳あたりの若いパパが血相を変えて飛んできた。
何か用??
「子供が野球やってるんですよ、タバコやめて下さい!!!」

狭い部屋ならともかく、隣に誰もいない、
デカイ空間の中でタバコ吸っちゃいかんのか??
平生は温和な(!?)自分もさすがにムッときた。
で、聞いた。ここは「禁煙エリアなの??」
その答。「じゃないけど、子供が野球してたら禁煙は常識でしょ!!」
受動喫煙対策がことのほか、神経質までにうるさく、
そして神経質になることが現代人であるとする昨今の風潮である。
逆切れして思う。んじゃ、もうタバコ売るの止めろや!

1月17日、
英たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は、
米2位のレイノルズ・アメリカンと経営統合することで合意したと発表した。
BATは未保有のレイノルズ株を494億㌦(約5兆6千億円)で取得し、
上場企業で世界首位の米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)に
対抗する。

余り馴染がない企業などで少々説明すると、
BATの主力商品はラッキーストライク、ケント、ダンヒル。
一方、レイノルズの主力商品はキャメルなどで、
15年には米3位のロリラードを買収している。
上記主力商品は日本でも有名でその名は通っている。

こうした中で、日本たばこ産業(JT)はと言えば、日本国内に期待せず、
アフリカを今後の有望市場とみて、
2011年にスーダンのたばこ会社を350億円で、
2016年には500億円を投じてエチオピアのたばこ専売会社の株式40%を
取得している。

最近の業界の特色商品としては、灰と煙が出ない加熱式たばこ。
ただこの加熱式たばこは、アイコスという銘柄の商品を販売する
業界第一位のフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)の市場独占。
結果として業界は、次世代の“電子たばこ”に注力し始めているが、
そんな“もどき”が従来の愛煙家に通用するのか??

1月12日、飲食店などの業界団体が、
厚生労働省が検討している受動喫煙防止対策の強化案に対する緊急集会を
開催している。
マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、モスバーガー、
スターバックス、タリーズなどの大手各社は、ほぼ全店禁煙。

反対意見が多いのは当然ながら個人経営の喫茶店やスナック。
個人経営では喫煙室を設置する改装資金を捻出できなかったり、
設置場所を確保できなかったりと障害は多い。
禁煙にすることで客離れに追い込まれるという不安も多い。

いずれにしても
2020年の東京五輪までには「結論=強制全面禁煙」が実施される気配である。
元神奈川県知事で現参院議員が、
事あるごとに「禁煙できない国が先進国と言えない」と頑強に主張する、
神経質で憎々しげなしたり顔が目に浮かぶ。
そうですね、結局はあんたが正しいですよ!

……………..
しゃーねえーなと、たばこをふかして一服しております。
「今日も元気だ、たばこがうまい!」ってもう死語ですかね!?

2017年01月14日

炸裂する特朗普(トランプ)爆弾

トランプを中国語で記すと「特朗普」となるらしい。
新年早々から「特朗普」氏の発言が世界を揺るがしている。
今年はこの三文字が躍動することになろう。

5日、トヨタ自動車がメキシコに新設する工場について、
自身のツイッターに投稿、
「NO WAY!!=あり得ない」
「高い関税を払え!!」
と批判し、計画撤回を求めた。

当初は楽観論が大勢だった。
「メキシコからの輸入車に高関税をかければ、
(メキシコからの輸入が多い)ゼネラル・モーターズ(GM)や
フォード・モーターがたちゆかなくなる」
との思惑だった。
だがその楽観論は、
3日にフォードがメキシコの工場建設を撤回したことにより吹き飛んだ。
次に矛先が向かったのがトヨタだった。

日本企業と世界の自動車産業の代表格であるトヨタは、
「米国第一主義」を訴える露払いには格好の標的ではあった。
しかし自由主義経済社会においてトランプ氏の一連の発言は、
“介入”というよりは“企業妨害”と呼ぶべき暴挙だろう。

自分の思うがままに個別企業の戦略を動かし、米国に投資させる。
世界の雄・米国大統領にとっては強権の醍醐味かもしれない。
だが世界の企業は、同氏の縁故主義の高まりやロシアとの密約懸念も相俟って、
連発する奔放発言に「予見不可能な米国」を意識し始めた。

「偉大な米国の復活」を標榜するトランプ氏への期待はそれなりに大きい。
しかし大衆迎合的な公約や常識はずれの言動は、
米国内真っ二つに割ってしまっている。
富裕層と貧困層、白人層と非白人層、支配者層と被支配者層、
保守層とリベラル層…。
様々な形で社会の分断が深まり、容易に修復できそうにない。

多様な人間が集う米国は、
偽悪な差別や偏見を「パンドラの箱」に封じ込めてきた。
その蓋をこじ開け、偏ったナショナリズムの封印までも解いてしまった。
米国に内向き志向が強まればどうなるかは、これまでの歴史が証明している。

今後10年間で4兆~5兆㌦の減税と1兆㌦のインフラ投資。
一連の財政出動は、
金融緩和に依存してきた米経済を底上げする可能性は秘める。
いやがうえにも市場は浮き立っている。
だが債務の膨張を招く巨額の減税やインフラ投資が
計画通りに動き出す保証はない。
保護貿易や移民排斥が具体化すれば、財政出動の効果などは木端微塵である。

米国には古くから孤立主義のDNA息づく。
「怪物を退治するのに、敢えて海外に行くことはない」。
第6代大統領のクインシー・アダムズの(国務長官時代の)有名な言葉である。
しかし時代は変わった。今や米国抜きの世界経済は考えられない。

2009年6月の6,469㌦から始まったNYダウの長期の上昇相場は
6,469㌦×3=19,407㌦を超えた。
相場理論から言えば、底値から3倍以降は“神の領域”である。
そして20,000㌦目前に、いわゆる“寸止め”状態が続いている。
敢えてクリアしないようにも見える。

現状の株高・ドル高に“根拠なき熱狂”を感じる。
日本風に言えば“神ってる!”状況が続いている。
トランプという劇薬を投じてしまった米国はどう対処する??

日本は年初早々の大寒波襲来…雪だ、雪だ、の世界が始まった…
2017年は大嵐の様相である。

2017年01月06日

歴史は繰り返すか? -トランプ政権船出後の世界-

日本のお正月の代表的風物のひとつに、元旦の新聞がある。
とにかく分厚い。
何ページ建てか数えたこともないが、軽く150ページは超えるだろう。
言ってみれば1冊の本である。130円~140円の本!?
広告特集を含むにしても、現場の皆様に頭が下がる思いである。

で、2日3日が休刊。4日から通常発刊。
ただお祭りが終わった後の索漠とした感じのする記事ばかり。
ま、致し方ない。

平成29年1月5日付日経新聞朝刊。
20~21ページに、二面建てで掲載された宝島社のどでかい広告。
タイトルは
「人間は過ちを犯す。しかし学ぶことができる。
世界平和は、人間の宿題である」。
自社の宣伝をするつもりはないようだ。一体何を言いたいのだろうか。


………………………………………………..

2017年、反移民・TPP脱退を掲げてトランプ政権が船出する。
振り返れば、
1920年代の米国でもアメリカ第一主義を掲げ、
移民を排斥した時代があった。

まず当時の環境からごく簡単に説明してみたい。
1919年第一次大戦が終結。
その後の米国は大量生産・大消費時代を迎え、経済・文化の黄金時代へと
入っていく。
当時の米大統領はウッドロウ・ウィルソン。
同大統領は世界平和を掲げて国際連盟の創設に尽力する。
核兵器廃絶や中東問題に尽力しているオバマ現大統領と同じである。

ウィルソン大統領は1919年にノーベル平和賞を受賞するも同年引退。
しかしその後も、
「アメリカが世界平和・民主主義・自由主義をリードしなければならない」
とする「ウィルソン主義」がリードしていく。
この流れが、
「多国間で戦争はせず、平和的手段で解決にあたる」ことを定めた
1928年の「パリ不戦条約」につながっていく。

しかし「世界秩序の維持を推進するアメリカ」が決定的に変わるのは
1929年10月の大恐慌だった。
以降は、19世紀以来の欧州大陸と距離を置く「モンロー主義」が先行し、
内向きな保護経済へと転換していく。
これが各国の保護貿易化を促し、世界経済恐慌を悪化させることになった。

約100年経過した2016年の米大統領選でトランプ勝利となったことで、
「世界秩序を維持するアメリカ」から「移民は追い返せ、アメリカ第一主義」
へと変貌する“手のひら返し”現象が起きた。
その流れは、EU脱退を僅差の国民投票で決めた英国をはじめとして、
反移民・保護政策は欧州にも広がりを始めている。
仏ではトランプの主張を歓迎する極右政党・国民戦線の台頭、
独では右翼政党「ドイツのための選択肢」の躍進も目立つ。

また1930年代には、アメリカが国際協調路線を放棄すると同じくして、
日本軍部や欧州のファシストが周辺諸国に手足を伸ばすことになる。
1931年に満州事変が起き、1933年にヒトラーが独首相に就任する。
現在にあてはめれば、ロシアであり、中国であり、北朝鮮であり、
何を起こすか分からない国々ということになる。

マルクスの残した次のような有名な言葉がある
「歴史は二度繰り返す。最初は悲劇、二度目は喜劇として」

不況の出版界である。
正月明けは多少の割引の効く期間とはいえ、
全国版の日経新聞の1ページあたりの値段は1千万は超える。
今回の宝島社の“無駄遣い(!?)”の意図はどこにあるのだろう。

間違いなく何かが起きる、何かが。
しかもよい方でなく悪い方の“何か”が。
そんな気がする。

かくして、波乱含みのトランプ政権は間もなく船出する。


2017年01月01日

スマップ・ロス

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
週1回更新のブログを50回アップすれば1年。
時間の経つのが本当に、強烈に早いです…

本年も淡々とアップして参ります。
変わらずよろしくアクセスのほどお願い申し上げます。

………………………………………………………………………………….

事前に言われていた通り、今年の紅白にSMAPの姿はなかった…

SMAP=スマップを意識したのはいつ頃だったろうか…

最初に意識したのは木村拓哉だった。
「あすなろ白書」という青春ドラマで見たのが最初だった、と思う。
乾いた都会調のぶっきら棒な若者を素のまま演じ、
主役ではないが、主役を食ってしまうような歴然たるオーラが出ていた。
それがスマップというグループの一員であるとも、
ジャニーズ事務所の所属などといった一般的な知識もなく、
また知ろうとも思わなかった。

ガツンと全面に出てくるのは、1996年4月15日から始まった、
フジテレビ月曜日午後9時から放映の「ロング・バケーション」。
その通称「フジ月9のロンバケ」は伝説的な大ヒットとなった。
山口智子との都会調のやりとりが、男女間にありがちなギラギラ感がなく、
近未来の男女はこうなるのかなと思わせるようなサラサラ感があった。

そしてドラマが進んでいくうち、二人が共同生活をする古いビルが、
自分の住まいと至近距離、江東区清澄白河周辺であることが判明する。
屋上に有名電機会社の看板がかかっている、4階建ての古いビル。
隅田川沿いで、ピアノの練習のため、ビルを住居に改築したのとの設定の中で、
そのあたりがランニングコースだった自分には、易々と断定できた。
ははん、ここか、ここだったのか…

1980年代のジャニーズ事務所は
シブがき隊→少年隊→男闘呼組→光GENJIと、矢継ぎ早に輩出していった。
特に80年代後半に一世を風靡した光GENJIは、いかもチャラそうな若者が、
ローラースケートを駆って歌いまくる集団。
その薄いペラペラの風景が、日本のバブルにドンピシャ、マッチしていた。
だが、あまりに軟弱・軽薄で、ジャニーズ系が出演する歌番組は忌避した。

だから木村拓哉が同じジャニーズ系で、88年にデビューしたスマップという
グループの一員であることに少々驚いた。
スマップの代表番組となる「SMAP×SMAP」、通称スマスマという番組を
見たのは21世紀になってからである。

スマスマの第一回放送は1996年4月15日、午後10時半。
通常10時開始だが、ロンバケの第一回放送が30分延長されてそうなった、
という嘘みたいな事実は、今になって判明した。

その後の木村拓哉の活躍はご存じの通りである。
フジ月9のエースとして、美容師、パイロット、レーサー、検事等など、
数々のドラマに出演、キムタクと呼ばれるようになり、
日本を代表する俳優・タレントになっていく
月9の放送が終わった後、番組を探すのが面倒でそのまま流しておいたら
木村拓哉・連続出演のスマスマだった。
かくして木村拓哉が有名になるのと同時に、スマップのメンバーも知るように
なっていく。
お化け長寿番組「笑っていいとも」にレギューラ出演した影響も大きかった。

荒れた今年を象徴するかのように、年末はスマップ解散の嵐が吹きまくった。
メディアはジャニーズ事務所の内紛の様子も事細かに報道する中で、
スマップを「バブルに荒んだ日本を元気づけ、救ったグループ」として
大々的に取り上げ続けた。日本だけでなく、アジアや、アメリカまでもが…

12月26日の5時間にわたる「解散記念番組」。
最初からガチに見始めて、疲れ果て、中抜け状態。
だが、幕引きに全員で歌った「世界にただ一つの花」の
エンディングの中居正広の5本の指を折るしぐさは実に感動的で、
泣き崩れる姿と共に、多分後世までも伝えられるであろう。

ま、若い頃から28年も一緒に仕事を一緒にすれば金属疲労も出る。
10年程度別々に仕事して、お互いが還暦を意識するようになれば、
また自然と一緒になると思う。
若いということは、また若さをぶつけ合うことは心底疲れる。
だから応分の冷静期間も必要だろう。

世の中では「スマップ・ロス」などと騒いでいる。
自分は「(気分転換の)一時的な解散」と思う。
今回の一連の騒動の中、木村拓哉と中居正広が同じ高校の同級生と知った。
両者に相交えることのない大きなわだかまりがあるやに報道されているが、
それも時間が解決してくれるに相違ない。
世紀を挟んで日本に深く根付いた5人の個性集団は不死鳥と思う。

2016年12月24日

袈裟の下に鎧を着たプーチンを屈服できるか

受験オンリーだった高校時代、
土曜日の午後の2~3時間が、唯一にして最大の“解放時間”だった。
同好会形式の野球に興じることもあったが、
大和東宝(だいわとうほう)という県内に数少ない封切館にも通った。
「加山雄三・若大将シリーズ」「植木等・無責任シリーズ」、
そして洋画は「ショーン・コネリーの007シリーズ」。

今更説明するまでもないが、007シリーズでは、
スーツ姿が完璧なロンドン紳士・ダブル・オー・セブンが、
スタイル抜群の超美女をからめ、縦横無尽の活躍をする。
あんなの現実じゃないわいと思いつつ、
見ているうちに溜まったフラストレーションが解消していった。
特に鮮烈に覚えているのが、「ロシアより愛をこめて」。

国際スパイ(KGB=国家保安委員会)上がりの
ロシア大統領・ウラジーミル・プーチン。
強面の大統領がTV画面に登場する度に、
頭脳明晰・格闘技万能の007シリーズでの悪役を思い出す。
いつもニヒルな眼差しで、イザとなれば殺人も厭わない雰囲気が漂う…

12月15日、山口・長門市の老舗温泉旅館で開催された日ロ首脳会談。
1945年9月2日、ソビエト連邦(ソ連)の独裁者スターリンの
「日露戦争の屈辱を晴らし、千島列島はソビエトのものとなった」との
ラジオ放送から、北方4島はソビエトに占領された。
以来71年、日本の宿願の4島返還について進展なるかと期待が高まった。

第二次世界大戦で敗戦国となった日本は、1951年9月8日、
サンフランシスコ平和条約に署名する。
連合国による占領期間を終え、主権国家としての地位を回復する。
一方、条約に署名しなかった中国、インド等とはその後、
個別に平和条約を結ぶなどして国交正常化を果たす。

旧ソ連とは1956年の日ソ共同宣言により戦争状態が終わり、
外交関係を回復したが、北方4島をめぐる対立が残り、
いまだに平和条約を結んでいない。
日ソ共同宣言では
「平和条約締結後、歯舞・色丹の両島を日本に引き渡す」と定めている。
プーチン大統領もその有効性は認めている。
だが「どのような条件で引き渡すかは明確に定義されていない」と強調、
一連の交渉が停滞している。

平和条約締結するために超えなければならない障害は二つある。
一つ目はウクライナ問題。
日本は今、G7の決議に沿ってロシアに経済制裁を科している。
制裁を解除しないで平和条約解除はあり得ない。

二つ目は安全保障の問題。
日本が実効支配する領土は日米安保の適用範囲とされている。
米ロの対立が深まる中で、ロシアはオホーツク海を、
戦略核ミサイルを搭載した原子力潜水艦のための聖域としようとしている。
特に国後島と択捉島の重要性が高まっている。
ロシア側が簡単に引き下がれない大きな要因である。

12月16日、
安倍首相は「8項目の経済協力=総額3000億円」案を提示した。
「古いメロディに新しい歌詞をつけただけではないのか?」
プーチンがふと漏らした言葉である。

3時間遅刻した挙句、「一晩の超高級接待受けて3000億円ゲット!?」。
誰がその資金を担うのか?税金?三大銀行?商社?
ざけんなよ!!日本は完全になめられている!と誰もが思う。
延長を繰り返しても結局は3期=12年で終わる安倍政権に勝ち目は薄い。

道のりは遠い。


2016年12月17日

宴の後はどうなる?-トランプ・ラリーに潜むリスク-

次期米大統領にドナルド・トランプに決定した11月9日以降、
金融市場が荒れまくっている。
NYダウは歴史的な高値を連日更新、20,000㌦の大台を窺い、
つれ高で日経平均は19,000円をクリアし、ドル円は118円台に…

現代の金融の世界は「(無機質な)コンピュータ中心の時代」。
確かに現在のコンピュータの進歩は驚異的である。
だが人間のように“危うい”といった人間独特の“肌ざわり”までは
感知しない。
いてまえトコトン…どうせコンピュータ様がおやりになることだ…
半分やけっぱちな強烈な流れとなっている。
かくして日足のチャートは完全に崩壊状態。全く参考にならない。

こうした一連のトランプ・ラリー(トランプ当選による株式・ドル上昇)は、
極めて危うい以下の3点を柱とするシナリオに沿っている。
「エネルギー株高」=トランプ政権は化石燃料の規制を緩和するだろう。
「金融株高」=クリントン政権なら規制強化だった。
トランプ政権は(多分)その逆だろう。
「債券相場下落」=金利の段階的な上昇を画策するFRB(米連邦準備理事会)を
トランプ政権が抑え込むだろう。

そして極め付けはトランプ公約の1兆㌦のインフラ投資。
インフラ投資による景気回復は民主党の好むケインズ型の政策だったが、
今回はトランプ政権が取り入れると宣言。
そして共和党十八番(おはこ)の「大規模減税+規制の撤廃」に加え、
保護主義の主張。
まさに“いいとこ取り”の連発。
金融市場は陶酔に浸っているように見える。

リーマン・ショック後の金融緩和頼みの経済政策が壁にぶち当たった。
6月の英国国民投票での欧州連合(EU)離脱決定や、
米大統領選挙の結果は、そんな閉塞感に対する民意の反発だった。
かくして経済運営のカジ取りは、金融一本槍から財政重視へと
転換することになった。
民間が動かないなら、まず政府が財政を呼び水とすると。

大統領選挙から3カ月の“ハネー・ムーン期間”ぐらいは
新大統領の言いたい放題、やり放題でもよしとしよう。
だが現実には、遅かれ早かれ米国の財政赤字が懸念材料とされるだろうし、
一連のドル高は米国の経常赤字を拡大させ、米企業の競争力は弱まるだろう…

トランプ政権は、1980年代のレーガン政権と同様の
「偉大なアメリカをもう一度」とのスローガンを掲げる。
結果、米国第一主義となり、内向きの保護主義が強調されるわけだが、
威信復活を志向するなら内向きだけでは無理がある。

レーガン時代の日本は中曽根政権で「ロン・ヤス」関係が重視された。
今度はさしずめ「ドン・シン」関係となる。
トランプ政権は、レーガノミクス、プラザ合意、バブル膨張といった
1980年代の一連の出来事を、早送りフィルムのようになぞる可能性を秘める。

トランプ政権に対する感触は
「カードゲームの伏せ札を引く」感じになっている。
エースなのか、はたまたジョーカーなのか。
正式に動向が確定し始めるのは大統領就任式の1月20日以降。

君子危うきに近寄らず。
現在の根拠のない異常な熱狂相場に参加しない方がよさそうである。


2016年12月10日

安倍首相の真珠湾慰霊訪問の意味

実家はオーシャン・ビューの環境である。
と言えば聞こえがいいが、
要は海まで100メートルもない日本海沿いの漁村である。
当然ながら文字通り“海は友達”であり、水面を見ていると何か落ち着く。
“その水面を走る船”についての興味もまた人一倍だった。

小学生の頃から戦艦に興味を持ち始めた。
特に大和や武蔵など、旧日本海軍の巨大戦艦の雄姿は見飽きることがなく、
せっせと貯金してはプラモデルキットを買い、多くの戦艦を完成していった。
猛々しくも流線型の美しい船体を、時間の経つのも忘れ、眺めていた。
語弊があるかもしれないが、巨大戦艦に一種のエロを感じていたのである。
幼き頃に始まったその趣向は今も変わらない。

その旧日本海軍の華々しい活躍の頂点が真珠湾攻撃だった。
伝説の名将・山本五十六元帥(当時は海軍大将)の仕掛けた急襲と戦果は
歴史に残るものであり、以降の戦争が航空機中心に移行していく中で、
旧日本海軍の“最後の晴れ舞台”だった。

ただ攻撃が開戦を巡る日米交渉打ち切り前になされたことで当時から
真珠湾攻撃は「卑劣な攻撃」と批判されていたのもご存じの通りである。
厭戦ムードにあった世論は「リメンバー・パールハーバー」の掛け声と
共に参戦に向かった。
当時のルーズベルト米大統領は、
「1941年12月7日(現地)は屈辱の日として長く記憶される」と演説した。

日米開戦75周年にあたる今年の12月8日直前の5日、
安倍首相は、26~27日両日に米ハワイを訪問し、
オバマ大統領と共に真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊する意向を表明した。
現職首相の真珠湾訪問は初めて。
安倍首相は否定してはいるが、今年5月のオバマ大統領が被爆地・広島を訪問、
犠牲者を追悼した“お返し”の意味合いとなる。

もうひとつ伏線があった。
今年の米大統領選挙でトランプ氏が勝利した直後、
大統領に正式就任前にもかかわらずわらず安倍首相は渡米、
同氏と会談を持っている。
オバマ側は「日本はオバマ政権を切り捨てた」として、露骨に不快感を示した。
米国ならずとも、
誰が見ても(あからさまの)新権力者へのすり寄りのスタンスだった。

また米国世論では、
米国内の保守派の反対がある中での米大統領の広島訪問に関して、
「オバマ大統領は、日本にいる間に真珠湾の奇襲について議論したのか。
多くの米国人の命が失われているのに」との批判もあった。
今回の“お返し訪問”が米国側に好意的に受け止められるのも
まずは自然の成り行きである。

客観的にみて、今回の一連の動きは
安倍首相の“いいとこ取り”の感は否めない。
5月のオバマ広島訪問は、日本の世論調査で90%以上が評価し、
内閣支持率も3ポント上昇した。
今回の真珠湾訪問も、一見すれば“諸般の事情により、”やむにやまれず”の
形式を採ることにはなる。
が、結局は支持率上昇につながると見られる。

巷間では1月解散が囁かれているが、それもあながち否定できなくなった。
かくして、安倍晋三政権が歴史的な長期政権になりそうな気配だが、さて…


2016年12月03日

54年振りの11月の雪 -38豪雪の記憶-

11月24日、関東甲信越地方の広い範囲で雪が降った。
東京都心では11月として54年振りの初雪であり、
1875年(明治8年)の観測開始以来初の積雪だった。
気象庁は、日の出直前の午前6時15分頃に降雪を確認、
午前11時過ぎに地面の半分以上が白くなり
「積雪状態と確認した」と発表した。但し、積雪は1㌢未満であると。

雪にからっきし弱い国際都市・東京。
メディアは前日から雪だ、雪だと大騒ぎ。
確かに降るには降ったが、雪国育ちの人間にとって、あんなの雪じゃない。
いうところの“名ばかりのちょぼちょぼ”状態。
但し今回の“54年振り”という点については伏線があった。

前回の11月の初雪は昭和37年(1962年)。
その翌年が昭和38年(1963年)。
その昭和38年に「38(さんぱち)豪雪」と言われる大雪が降った。
生まれ故郷・富山県では、185㌢超えと発表されたが、
吹き溜まりでは間違いなく2メートルを超えていた。
道路は通行不能。小中高は当然ながら臨時休校で、連日の屋根の雪下ろし。
二階から階段を作って出入りしていた。
同年の中学校発行の年間誌に掲載された自作の句。
「真っ白な 雪に回りを取り巻かれ 力いっぱい雪下ろすわれ」
未だに一字一句覚えているのは、それだけ雪が強烈だったからだろう…

昭和37年と平成28年の相似点。
「夏の高校野球で栃木・作新学院が優勝」
「プロ野球では東映フライヤーズ(=日本ハムファイターズの前身)が優勝」。
そして特に注目すべきは東京五輪を控えている点。
1964年の東京五輪と2020年の東京五輪。
開催会場でゴタゴタしている点も酷似している。
ということで、「来るべき2017年は寒い冬=豪雪になるかもしれない」との
データの裏付けのない噂が出ているが、あながち否定はできないようである。

そして54年振りの11月の初雪が降った24日、
今年の大晦日放送の第67回紅白歌合戦の出場歌手が発表されている。
偶然にしては出来過ぎ。
で今週は、「連想ゲーム」で、紅白歌合戦の歴史をザッと振り返ってみたい。

紅白歌合戦の始まりは、
終戦結直後の1945年・大晦日の「紅白音楽試合」というラジオ番組。
当初は「紅白音楽合戦」の番組名で放送する予定だったが、
GHQが「敗戦国がバトルとは何事か」との判断で、
仕方なく「試合」に変更した。今は昔の(笑えない)話である。

TV放送が定着するのは1960年代に入ってからと思う。
「紅白を見た次の日から連日、雪下ろしばっかだった」との強烈な記憶が
あるから、38豪雪時には実家にも白黒のTV受像機があったのだと思う。
そして1964年の東京五輪はカラーで見た記憶があるから、
そのあたりから日本のTV時代が定着したのだろう。

考えてみれば昭和37年とは戦後17年、日本の高度成長時代前夜で、
NHK紅白歌合戦が国民的行事と言われ、視聴率が70~80%の時代であった。
紅白離れが言われるようになるのは、
一家に1台から1人に1人の時代になっていく90年代からだったと思う。

もはやそんな驚異的な視聴率は伝説。
IT時代。全世代が満足する番組などもはや不可能。
家族全員が揃って同じ番組を長時間見ることも期待できない。
こうなってしまえば、国営放送たるもの、
視聴率を気にせず(=若者層におもねくことなく)、
「大晦日の歌合戦+除夜の鐘」の“日本人の心”のセット番組を、
粛々と流されたらどうだろうか。


2016年11月26日

「グローバリズムとPC」への反乱

早いもので2016年もあと1カ月少々となった。
巷間では年末恒例の「今年の流行語大賞は何になるか?」でかまびすしい。
では世界の流行語大賞なるものがあるのかないのか、定かではないが、
仮にあるとすれば、2016年世界流行語大賞は
「グローバリズムとPCへの反乱」がダントツで選ばれそうだ。

まずグローバリズムとは「ヒトカネモノが自由に国境を越えること」。
そしてPCとは
(日本で汎用されているパーソナル・コンピュータのことではなく)
「ポリティカリー・コレクト=ありとあらゆる差別や偏見をなくすること」。

6月の英国のEU離脱決定、
そして11月の米大統領選挙でトランプ勝利という歴史的な“番狂わせ”は、
一見無関係に見えて本質的にはほとんど同一のものであった。
日本を含めて世界中の有識者やメディアは、
ほぼ一致して英国のEU残留と、米大統領選挙でのトランプ敗北を固く信じ、
またそうなることを強く望んでいた。

ところが予想外の展開になってメディアは、EU離脱について
「理性が感情に負けた」
「ポピュリズム(大衆迎合主義)の怖さ」
「今となって後悔する国民」などと表現し、挙句、
「扇動され踊らされた低学歴労働者による無責任な愚挙」
「民主主義の危機」と嘆息した。
トランプ勝利後もメディアは、ほとんど同じ論評を繰り返した。

考えてみればここ30年、アメリカが先導し、
世界が追随したグローバリズムによって、世界各国で所得格差が急拡大し、
中産階級がやせ細り、国民が持てる者と持たざる者とに二分された。
結局、アメリカ型金融資本主義により一蓮托生となった世界経済は、
ギリシャ程度の小国の経済状況にさえ一喜一憂するという脆弱な体質になった。

またPCという「清く、正しく、美しく」の理想論的な合言葉により、
誰もが本音でモノを言えなくなった。
PCに抵触したとメディアが判断すれば、即刻社会的な制裁を受けざるを
えなかったからである。

この閉塞感とグローバリズムのもたらした惨状に敢然と立ち向かったのが
移民排斥と自由貿易協定破棄を掲げたトランプであり、
移民とEUのグロバーリズムに反逆した英国民だった。
結局、今回の米大統領選挙でのトランプ勝利に対する「なぜだ??」
との疑問に対する答えが「グローバリズムとPCへの反乱」だったのである。

こうした一連の考え方は認めるとして、中産階級の怒りが一旦は収まった後、
具体的に現世とどう対応していくかは別問題である。
トランプ勝利後の「ドル1強マネー集中」は異常である。

きっかけとなったのは米議会選挙で共和党が多数派を維持し、
大統領と議会多数派が食い違う「ねじれ」が解けたからである。
トランプの大型減税やインフラ投資が現実味を帯びる。
移民拒否などの極端な政策は、与党・共和党が歯止めをかける。
ウォール街はそんな“いいとこ取り”のシナリオに乗ったのである。

「欲しいものがいつも手入るとは限らない。
けどやってみると、たまには見つかるかもしれない」。
トランプが利宣言の後、会場を立ち去る際に会場に流れた、
英ロックバンド、ローリング・ストーンズの曲の一節である。

世界は今、21世紀初頭の極めて難しい混沌とした局面にいる。

2016年11月19日

吹きすさぶトランプ旋風。行き着く先は…?

21世紀の金融はコンピューターファースト。
「人間を徹底排除する方式が短期的には結果が出る」との論理。
つまりは巨大な金額をマイクロセカンドで動かし、
“(わずかな)さや”を掠め取とろうとする薄利多売方式。
情け容赦とか情状酌量といった人間的な情緒は全くない。
いざやるとなったら、“はやぶさ”のように宇宙の果てまで飛んで行く。

ここ20年、金融市場には
「米大統領の交代時には株高・円安になる」とのジンクスがあった。
1990年以降の米大統領選挙の翌年の円相場を振り返ると、
ビル・クリントン氏2期目が始まった97年以降、
5回連続で円安・ドル高・株高だった。
就任当初は支持基盤を固めるため、
景気刺激策を打ち出されることへの期待が出るからである。

例えばブッシュ政権では2001年に大型減税を実施。
05年の2期目には米国企業が海外で得た利益を本国へ戻す際の
税金を軽減する「本国投資法」を導入した。
新大統領に切り替わることで期待感が膨らみやすい流れにはなっている。

では「予想外」とされた今回の米大統領選挙のドナルド・トランプ氏の場合はどうか。
保護主義的政策を掲げるトランプ氏の勝利は円高要因との見方が多数派だった。
100円突破もあり得ると。
事実、開票日の日本時間午後2時頃には101円台前半まで円高が進み、
日経平均株価は1000円超の下落となった。

雰囲気が変わったのは同日日本時間午後5時頃のトランプ氏の勝利宣言からだった。
「米国の利益を一番に考えるが、海外諸国との公正な関係を築くことも
 世界に知らせたい」。
こんな調子で保護主義的な発言を封印。
「世界最強の経済を構築する」と強調した。

以降市場の関心は、トランプノミクス(トランプ氏の経済政策)の
“光の部分”へと一気に移っていった。
法人税率の引き下げなどの減税やインフラ投資、規制緩和といった政策が
クローズアップされたのである。

そして当日の米国市場の取引時間帯に入ると、ムードは完全に変わる。
米議会の上下両院で共和党が過半数を確保、
景気刺激的な政策が推進されるとの見方から米長期金利が上昇し、
日米の金利差が拡大した。

またトランプ氏が、企業が海外に所有する資金を米国に移す際の税率軽減を
計画しているとの報が伝わり、
インフラ投資の恩恵を受け易い建機のキャタピラー等の株価も上昇し、
益々ドル買いに拍車がかかり、今週末には110円に到達する動きとなっている。

日本でトランプと言えばブリッジやポーカーなどに使うカードのことだが、
英語では「切り札」の意味。
現状を打破するために米国の有権者が打ち出してきた切り札がトランプ氏だった。
少なくとも選挙戦では破壊力を期待できる人物像を演じ続けてきた。

27年前の11月9日が「ベルリンの壁が崩壊した日」。
そしてトランプ新大統領誕生した日が11月9日。怖いような符合である。
カードゲームではジョーカーが切り札になる。
そして最悪の札になることも。

最新精鋭のコンピュータが「トランプ×」のサインを出したどうなるか。
無機質の市場の数字は、それこそ宇宙の果てまで飛んで行く...

2016年11月12日

トランプショック -アメリカニズムに潜むリスク-

この半年、
NYダウ、日経平均、ドル円為替のチャートが顕著なサインを出していた。
短期ではNYダウ・日経平均は上昇、ドル円為替は円安。
一方長期では、NYダウも日経平均も下落、ドル円為替は円高。

簡単に言えば「短期的に盛り上がっても、長くは続かない」景気のパターン。
結局、諸般のチャートは、今回の米大統領選挙で
「不安定極まりない暴言王・ドナルド・トランプ(以下トランプ)勝利」の気配を
示していたのである。

日本時間11月9日午前から始まった米大統領選挙の開票報道。
MLBワルードシリーズの雰囲気に似たお祭り騒ぎ。
世界中のマスコミが米国に集中し、
日本のTV各局も、ワイドショー中心の興味半分の緩い報道が続く。
接戦になろうが、どうせ最後にはヒラリー・クリントン候補(以下ヒラリー候補)
の勝ちだろう…昼ごろには決着がつくだろう…
10人中8~9人がそう思っていた。

ところが、ヒラリー候補の勝利確定するはずのお昼頃から、
トランプ候補優勢が明確になっていく。
日経平均1000円の下落、ドル円は101円台に。
何かが違う、何かが…次第に騒然とし始める。
当初は泡沫候補扱いだったトランプ候補が勝つ??まさかな…
そして午後4時頃、ヒラリー候補の敗北が確定する。

今回の米大統領選挙の最大の特徴は、
両候補の好感度が過去30年の大統領候補の中で最低だったことである。
民主党・ヒラリー候補は
大統領夫人(=ファーストレディ)、上院議員、国務長官を歴任。
練られた政策をよどみなく語る。
ただ最終盤の失速となった国務長官時代の私用メール問題は
「灰色」の印象を与えてしまった。

一方、共和党・トランプ候補は、
国籍・性別を問わず差別的な暴言を繰り返した。
民主主義を軽んじ、選挙結果の受け入れを保証することも拒否した。
「大統領になる資格がない」とのヒラリー候補の指摘は、
多くの選挙民の共感を得るはずだった。

米国は2008年の金融危機から再生し、
一時は10%に達した失業率は5%前後にまで回復した。
とは言え、中低所得層の収入に変化がないままである。
結果的には景気回復の恩恵は、トップの富裕層に集中したことになる。
かくしてトランプ候補の暴言は、経済格差が顕著な米国社会の断層に
ジワジワと入り込んでいくことになった。

結局、今回のトランプ候補勝利の最大要因は
「様々な暴言で不満層の溜飲を下げた」ことにあった。
この雰囲気は英国のEU離脱と似通っている。
だがトランプが主張する根本にあるのは、
自由貿易の拡大や移民の流入を阻止する「アメリカニズム(米国第一主義)」
であり、一連の考え方に危うさは否めない。

米国は世界の政治・経済の秩序づくりを主導する世界の超大国である。
軍事・経済で拡張主義を採る中国や、冷戦下の覇権主義に戻ったロシアに
どう対応していくか。
具体的な政策プランがないように見える新大統領にその認識があるのか否か。

大統領就任が決定したトランプ候補が、勝利が決定した瞬間から
いつもの暴言が鳴りを潜め、緊張し、青ざめているようにさえ見えた。
議員経験・軍隊経験もないトランプ新大統領は、
とりあえず就任までの3カ月間、猛勉強するしかあるまい。

今回の選挙の中で、トランプ候補のスキャンダルは出切ったとの見方はある。
本人はともかく、周囲さえ固めれば何とかなる…
とはいえ世界は今、
経済の縮小均衡と国際秩序の空白におびえながら、緊迫の4年間に突入する。


2016年11月05日

ガタつく世界情勢。松山”ぶっち切り”という清涼剤

ハロウィンが日本に定着したのはいつの頃だったか。
多分この10年、21世紀になってからだと思う。
江戸末期の「ええじゃないか」に雰囲気が似て
「参加しなきゃ現代人じゃない」のノリ。
TV中継で渋谷界隈の馬鹿騒ぎを見るにつけ鼻白む思いである。

金融市場は11月第2週の米大統領選挙に向け、沈黙したままである。
完全に泥仕合となり、
米国民は何を根拠に投票するのかさっぱり見えてこない。
まさかとは思うが、トランプ勝利となれば米国だけでなく、
世界全体がひっくり返るような大混乱が起きるのは必至だが…

隣国・韓国での朴大統領の友人による国政介入疑惑。
詳しいことは知ろうとも思わないが、
朴大統領の友人と言われる女性の周囲には膨大な利権が絡んだことは
間違いないようである。
支持率5%となっては朴政権も末期的。
このままでは米韓関係に歪みが入り、日本もその影響を避けられそうにない。

日本もガタついている。
黒田東彦総裁の事実上の「ギブアップ」宣言。
かき回すだけかき回した挙句、
「理論通りにはいかなかった」の経済学者お決まりの捨てゼリフ。
日本経済はどうなっていくのだろう。

小池百合子東京都知事の劇場型手法も、結論を出す時期にきてガタついている。
豊洲移転はどうするのか、東京五輪3会場は??
毎日の(主婦向け)ワイドショーにネタは尽きないが、
“おもしろうて、やがてかなしき、鵜飼かな(芭蕉)”の感である。

そうした中、
10月末はスポーツの秋にふさわしいTV中継のオンパレードだった。
日本ハムVS広島の日本シリーズは予想以上の熱戦だったし、
MLBワールドシリーズも最終戦までもつれ込んだ。
まさに死闘だったがシカゴ・カブス勝利。
108年振りに“羊の呪い”が払拭された。
(蛇足だが、怖いのは羊の呪いが消えたことで、米大統領選挙で
「トランプ勝利か」との説がまことしやかに流れていることである。)

ちなみに30日のBSのスポーツ番組を紹介してみたい。
8:35からMLBワールドシリーズ(NHK)、
15:00からは世界ゴルフHSBCチャンピオンズ(松山英樹=NHK)、
22:30からはATP500テニス・スイスインドア決勝(錦織圭=BS朝日)、
26:00からはサッカーAFCU-19(19歳以下)決勝、
日本VSサウジアラビア(NHK)。
集中して見たら疲れるだけなのでBGM代わりだったが、
松山英樹の優勝には初体験の快感を味わった。

1999年に始まった世界選手権シリーズは年に4試合。
世界ランク上位選手しか出られず「準メジャ-」として位置付けられている。
今回のHSBCチャンピオンズには10傑のうち
1位のJ.デー(豪)、4位のJ.スピース(米)を除く世界の強豪が終結した。
松山は過去に米ツア-で首位発進したのは2回だが、
10位、3位と逆転負けしている。3度目にして初の逃げ切り勝利。
3打差から7打差に広げての“ぶっち切り”だった。

過去、30年以上にわたって世界メジャーの試合をTV観戦してきたが、
日本選手が首位のまま“上から目線”で見られたのは初体験。
トータル72ホールで、バーディ29・ボギー6の通算23アンダー。
3日目と最終日はボギーなしのプレーは完璧。

ゴタゴタする世界情勢を忘れ一服の清涼剤。
ひたすら“(ヒデキ)カンゲキ”したのだった。


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