過ぎ行く2006年を振り返る(12)松坂のレッドソックス入団
西武・松坂大輔投手の、米大リーグ・レッドソックス入団が14日(日本時間15日)、
正式に発表された。
期限ギリギリでまでに至った長い交渉は、日本国民だけではなく、米の野球ファンをも
ヤキモキさせた。
原因は、吸血鬼との異名をとる松坂の代理人、スコット・ボラス氏にあるあることは
衆目の一致するところ。
プロ野球選手を商品として扱うその姿に、日本のプロ野球のビジネスモデルが完全に
陳腐化していることを思い知らされた。
12月14日、日本テレビ放送網は、2007年に地上波で全国放送するプロ野球の
巨人主催試合数を、06年実績比30%減の40試合にすると発表した。
視聴率の低迷する巨人戦を他の番組に差し替え、収益改善を目指すスタンスである。
こうした流れは他のテレビ局も同様で、日本テレビ以外でも巨人戦を減らすのは必至の
状況である。
巨人戦は、視聴率のピークだった1983年の27.1%からほぼ下落の一途を辿り、
2006年には9.6%にまで下落している。
下落の勢いが増幅したのは、2003年の松井のヤンキース移籍から。
根幹のスター不在のまま、「往時の優良コンテンツ」の面影はない。
放送が減れば、当然ながら放送権収入が減り、プロ野球の人気維持が難しくなる。
日本のプロ球団に、営利企業としての方向転換を迫られる中、メジャー志向は
一気に広まっている。
阪神・井川がヤンキース、ヤクルト・岩村がデビルレイズ、日ハム・岡島がレッドソックス、
そしてあの巨人・桑田もパイレーツに入団する。
日本の企業がプロ野球球団を持つ最大の理由。
それは広告塔しての役割であった。
日本のプロ球界は、押し並べて新聞社と鉄道会社がリードしてきた。
読売は、先発グループの毎日、朝日が中等・高校野球をバックに購買部数を伸ばしたのと
同様の論理で、プロ野球を推進、盟主として君臨するに至っている。
一方関西(主としてパリーグ)では、阪急電鉄の創始者である小林一三モデル
「宅地開発により沿線住民を増やし、ターミナル駅や沿線に百貨店などの商業施設や
娯楽施設を開業して鉄道利用を促す」
「その中でプロ野球事業を集客力向上やイメージアップの切り札にする」
が定着していった。
南海・阪神・近鉄、九州の西鉄、東京の東急、西武もまた同じ経営論理の展開であった。
ところが、広告塔の役目が終了し“(関西風の)元を取った”結果、高給取りを忌避、
帳簿ズラを合わせる経営論理が先行する流れとなってきた。
もはや往時の力はなく、マイナー契約であっても米大リーグに挑戦しようとする桑田の
記者会見を見ながら、しみじみ思った。
「日本のプロ野球文化は完全に終了した」と。
メジャー登板を目指す桑田に、拙いながら応援の一句。
「老兵の 夢に輝く 年の瀬かな」
