過ぎ行く2006年を振り返る(3) 銀行は健全化したか

富山中部高校時代の同級生に前田孝一という銀行マンがいる。
通勤電車が同じだったこともあり、野球の同好会を作り、
土曜日の午後、草野球を楽しんでいた。

教師連の一部からは批判的な声があったのは知っていたが、
そうした声に真っ向から反抗、土曜日だけは日が暮れるまで野球を楽しんでいた。
それが受験、受験で明け暮れた高校時代の、記憶に残る“唯一の青春”だった。

その後の前田は京大経済→住友銀行のルートを辿った。
関西の雄・住友グールプの中枢に入り込んだ前田は、西川善文・三井住友銀行前頭取の
右腕たる常務執行役員として、旧住友のブラックボックスと言われ、古くは安宅産業やイトマン、
そして関西経済の一方の雄・山口組系関連等の問題債権処理を担当する、融資第一、第二、
第四部の責任者として辣腕を振るった。

要は不良債権処理のスペシャリストだった。
そんな前田も、2003年11月に設立されたSMFG企業再生債権回収の初代社長に就任、
銀行を去った。
他行の首脳からは「三井住友の不良債権処理もようやく峠を越えた」との見方も出たほど、
不良債権処理のスペシャリストとしての辣腕は鳴り響いていた。

その前田は現在、三洋電機の副社長に就任している。
巷間では、
「企業再生会社、SMFG企業再生債権回収にとって三洋電機は初の大型案件。従って、
前田の真価が問われる正念場」と位置付けている。

前田の手法は、問題企業を採算部門と不採算部門に腑分けして、債務免除と引き換えに
他社との再編を進めるというもの。
こうした手法で三洋電機の再編が一気にに進むと見る関係者は多い。
多分、前田の描くシナリオ通りに動くと思う。

ここでは、こうした一連の前田の活躍を述べようとするものではない。
申し上げたいのは、不良債権処理が済み、収益の回復も著しい銀行の、
経営革新がなされたか否かという点である。

三菱東京UFJ銀行は、3006年三月期の連結純利益が1兆1千億円を超えた。
あの世界のトヨタを抜いた!銀行がそんなに儲けてどうする。

一方で、最近よく耳にするのが、銀行が不動産業者に貸出攻勢を掛けているという話。
その結果、マンションもオフィスビルも過剰供給される構造ができるというシナリオである。
これが真実なら不動産バブルを招く大きな要因となった80年代の大手銀行の貸出攻勢が
継承されていると見るしかない。

三メガ銀行時代と言われるように、大銀行は合併・統合によって集約され、
図体だけは間違いなく世界的な規模となった。
ところが新たなビジネスモデルを構築する努力も見られないまま、
金利と手数料収入に頼る収益構造に大きな変化がないように見える。

明確に言えることは、
「銀行の再生はゼロ金利に甘んじた預金者が支払ったコストの上に成り立っている」
ということである。
旧態然とした銀行に、またぞろ累々とした不良債権のヤマができ上がるリスクあり。
前田が再び銀行に戻るような気がしてならない。

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