過ぎ行く2006年を振り返る(9)バフェット的ココロ
巨大投資会社・バークシャ・ハザウェイを経営するウォーレン・バフェットが、
「オマハの賢人」と言われ始めている。
2006年6月に370億㌦(4兆3千億円)もの寄付を表明して、
世界を驚かせたことが原因には違いない。
結果として、
「最も成功した投資家」「世界第二位の資産家」として知られたバフットは、
「史上最大の慈善家」との評価を得ると同時に、「オマハの賢人」との評価を
得ることになった。
そして、
「一度買えば数十年は持ち続ける」とういうバフェット流投資哲学が
見直され始めている。
この点では、短期の売り抜けで批判を浴びた日本の村上ファンドとは
根幹から異なる。かと言って、
経営者が無能でも取引関係維持を名目に株式を持ち続ける日本的な
安定株主ともそのスタンスは異なる。
バフェットは「事業の安定性」だけでなく「経営者の資質」も判断した上で投資する。
総合すれば、
「物言わなければならないような企業に投資しない」スタンスであるには違いないが、
結果的には「安定株主=物言う株主」になってしまうのである。
飲料やひげそりなどの“ローテク”を中心に投資先を選択するバフエットと、
ハイテク業界の旗手であるマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツの接点は、
表面的には見当らない。
そしてバフェットは、「変化の激しいハイテクは理解できない」として、
マイクロソフト株には投資していない。
ところが、今回の寄付金の大半がゲイツ夫妻で運営する世界最大の慈善団体に
送られることになった。
そのポイントにあるのはバフェットの相続に関する考え方にあるようである。
ビル・ゲイツが慈善事業に傾斜したのは、
「多額の資産相続は経済格差を助長するから、自己資産の99%は社会へ還元する」という、
15年に及ぶ家族ぐるみの付き合いの中で生れた“バフェット流発想”が原点になっている、
というのである。
自分が研究し続けているW.D.ギャンは、
「神が人間に与える幸福の絶対量は平等である」としている。
要は「(相場等で)大儲けした者はどこかでその代償を払う運命にある」
ということである。
世界的な資産家になるために幸福を使い切ってしまうと、精神的あるいは
肉体的な部分で何かしらの障害が出てくるという論理である。
米国の資産家はこの命題対し、実に忠実なようである。
自分では使い切れない膨大な資産を社会に還元することによって、
「神が与えた平等な幸福」を享受するというスタンスであろう。
そう言えば、(最近ではとんとその動向が聞かれなくなった)ジョージ・ソロスも、
相場で大儲けしては寄付を繰り返していた。
余りに膨大な資産を創ると、自分自身が怖くなるようである。
ある種うらやましい話には違いない。
とは言え、「バフェット的こころ」は万民の大きな指針ではある。
