高校野球の経済学(2)
日本の春はセンバツから。
桜の開花と共に、23日(金)から春の全国選抜高校野球選手権大会が始った。
いよいよ待ちに待った野球シーズンの始りである。
以降半年は、野球という地球上の最大にして最高(と思っている)のコンテンツが楽しめることになる。
だが今年のセンバツは少々赴きが異なる。
直前になって、西武球団のアマチュア選手に対する金品供与問題が表面化し、大きな社会的問題に
なったからである。
しかし何故西武が発端になったのか。
栄養費という名の(前払い方式の)契約金問題は、問題にはならない問題。
多分に球団内部からのチクリに違いないと、西武球団の組織としての弱小化も頓着された。
プロ野球発足当時から、こうした裏金問題は衆知の事実だった。
例えば、Mr.プロ野球・長嶋茂雄・巨人軍永久名誉監督も、立教大学時代には、
関西・南海ホークスから栄養費という名の小遣いを、何の衒いもなく、堂々と受け取っていた。
これはプロ野球を表象する伝説的な話である。
東京ガスの木村雄太投手、早稲田大学の清水勝仁内野手がやり玉に上がったが、
彼らを責めるのは酷であろう。
高校・大学・社会人を通して、有望選手は多かれ少なかれ、金品授受があっても致し方ない。
何のジャンルにしても、一流と言われるまでになるには相応の資本投資をせざるを得ない時代。
今の世の中、キレイごとだけでは済まされない。
現在の高校野球界では「名門校=甲子園の常連校」との図式が出来上がっている。
特に私立の名門校では、生徒をA-Eのランクに分け、Aは授業料など一切の学費や寮費を免除は
勿論、生活支援費という名目の“給料”まで出る。
B以下は、ランクが下がるに従い自己負担が増える。
まさにプロのシステムができ上がっている。
日本学生野球憲章では「野球部員であることを理由にした金品の授受」を禁じる。
従って、野球の特待制度を公言する高校はなく、特待生のように見える選手も、学力や内申書など
総合評価によるものとしている。
建前は「学校教育の一環」という建前は保っていることになる。
だが、野球憲章は事実上骨抜きである。
春、夏にしても、100年にならんとする伝統の全国高校野球は、
球児は地域の誇りを担い、地元は郷土愛を胸に甲子園を見つめてきた。
単なる高校日本一決定戦でないところに高校野球の隆盛がある。
しかし現在の高校野球は「豪華な施設と他県からの優秀な野球留学生による世界」になっている。
アマチュア野球のプロ化を嘆く声もしきりに聞かれる。
しかし日本がWBCで優勝し、日本人選手が高額の年俸でMLBで活躍する時代になったことを
考えれば、“カネのなる職業=夢のある職業”として野球を捉える若者も認めざるを得ない。
野球を教育と考える集団と、ビジネスと考える集団が、同じ土俵でやる限り、根幹の問題は
解消されない。
ドラフト改革案が俎上に上がっているが、所詮は建前だけの話。
絶対的な解決案が出るはずがない。
「プロ球団が傘下に高校生クラブチームをつくり、甲子園とは別にユース大会を開く」とする
サッカーJリーグ方式を現実化する時期であろう。
