国富ファンド
最近の世界市場では、
外貨準備を株式等で積極運用する国営ファンド、「ソブリン・ウエルス・ファンド=SWF=国富ファンド」
が注目を集めている。
米財務省の推計で、世界の残高は1.5兆~2.5兆㌦。
原油高で潤うロシア・中東や、自国通貨高を抑える介入で外貨をため込む中国など、アジアの新興国
が中心である。
そうした新興国のファンドとは別に、「低金利の円資金を借りて海外の高金利証券などで運用する」
円キャリートレードで世界最大のファンドが日本に存在する。
そのファンド運用者とは、日本の外貨準備運用の前線部隊である財務省為替市場課。
資産総額は9,000億㌦(約110兆円)。
財務省為替市場課は、過去の巨額のドル買い・円売り介入で積み上がった外貨準備を運用する
「外国為替資金特別会計」を管理する。
同課は、介入に必要な円資金を政府短期証券(FB)を発行して調達、買ったドルは日本より金利の
高い米国債で運用してきた。これが“元祖”円キャリー取引である。
現在のように日米金利差が3%超であれば実質的な安定収益が見込まれ、
最近では年1.5兆円の前後を国の一般会計に“仕送り”している。
ただ、そのメガバンク一行の総資産に匹敵する規模の割には世の中の関心が薄く、
特別会計改革(=特会改革)でも聖域扱いをされてきた。
個別利権の絡まない国際的で技術的な全く別枠の特別会計だったからである。
しかしその聖域も、6月29日に山本有二金融相が外貨準備の積極運用を唱えて以降、
見直し圧力がかかり始めている。税収問題や、地方と中央の格差が言われ始め、
聖域が聖域でなくなり始めてきたからである。
2006年に中国に抜かれるまで日本の外貨準備は長らく世界一を続けてきた。
そして日本にはそれを誇る雰囲気もあり、世界の債権国として位置付ける要因にしてきた。
しかし大きく膨らんだ外貨準備は、『先進国では異常な規模の介入の結果』である。
そして問題なのは、
買い続けてきた米国債が、日米安全保障条約の担保として見なされている点にある。
要は日本は、米国債を売却した時点で、
米国の軍事的庇護から外れることを覚悟しなければならないのである。
小泉純一郎前政権は「官から民」への掛け声の下、
郵政民営化や政府系金融機関の改革で公的金融の縮小を進めた。
官が資金を集めて運用するより、民間に任せた方が効率的な資金運用をするのは
過去の結果が明らかにしている。
この論理から言えば外貨建て公的金融とも言える膨大な外貨準備も、やり方によっては
一般財政を潤すことにはなる。
消費税や地方税の値上げが盛んに論議されている。
最後のツケは国民が払うというシステムに、日本国民はギブアップ寸前。
一方的に国民に負担を押し付けるのではなく、もう少し時代に沿った、「Good Money」を作る
方法はないのか。
探せばある!!
そして次代の日本のために、敢然と新しい手法に挑戦していかねばならないのである。
110兆円の“眠れる巨大な資産”は、”眠れるまま”になっている。
国富ファンドが頓着されるグローバルな時代に、有効に使っていかねばならない。
農耕民族・日本人的な、時代遅れの考え方を変える時期である。
