現代通貨考 その(2)
プリペイド先行で、電子マネーが拡大し始めている。
通貨の意味が次第に変わり始めている。
大まかに通貨の変遷を復習してみたい。
原始時代は物々交換が基本だった。
そのうち万物に交換することが可能な、貝から始まり、金(GOLD)を基本とする商取引が開始された。
そして金は“重い”ことから、金を背景にした紙幣が流通し始めた。
その紙幣も量的に制限があり、また運搬リスクがあることから、
“(金をベースに)相応分保有しているとの相互間の信用”を背景に、
長距離間の流通に便利な手形が発行されるに至った。
信用状(L/C)やトラベラーズ・チェック(T/C)、そしてクレジットカード・システムも手形の一種である。
そして20世紀後半に至るまで、世界の金融市場には手形以上のシステムは発明されなかった。
ところが21世紀に入り、ITの驚異的な進歩に沿って、
日本のスイカ・パスモ(鉄道系)、ナナコ・ワオン(流通系)などに代表される、IT機器間に流通する
実体のない貨幣、電子マネーが急拡大し始めている。
日本の場合、
非接触IC技術(読み取り機にかざすだけで決済できる技術)を使ったカードが本格普及し始める
2001年頃から急速に伸び始めた。
決済規模は2006年度は1,800億円程度だが、2008年度には1兆円を超える見通し(野村総研)。
40兆円~60兆円規模と言われる個人決済のうち、2010年には10%を超えると言われている。
電子マネーには清算方法の違いで、事前に入金おく「前払い方式」と、
銀行口座と連動して使った分だけ代金を引き落とす「後払い方式」がある。
「後払い方式」は旧来のクレッジト・カード・システムと技術的には大差ない。
つまりは“所定口座に応分の必要資金がある”ことを前提としている。
従って、発行側としてはカード使用者に対して“特有の(そして厳格な)審査”をせざるを得ない。
取扱金融機関が「顧客の決済資金不払いリスク」に晒されるからである。
この特有の審査が大きな問題だった。
一般の金融機関やクレジット専門会社特有の審査をパスできない者が、
次第に“(簡単に審査に)パスできるシステム”に移行していった。
その行き着く先が消費者金融であり、高利のいわるゆ街金融(=マチキン)という流れだった。
そして、その流れはスパイラルに多重債務者を形成することになった。
要は、世界的なカード社会において、
“(前払いの範囲内で強制的に)使用金額の限界を設ける”ことによって、
こうした多重債務者(の大部分)を防げることにはなる。
その意味では“前払い”方式に“更なる伸びシロ”があると思われる。
日銀法は「お札などの紙幣には強制通用力がある」と定める。
「あらゆる取引で無制限に1万円は1万円の価値がある」という意味である。
しかし現在のグローバルな世界では、
日本の一万円札よりも世界的に通用するクレジットカードの方が有用である。
そしてそのクレッジットカードの意味が変わり始めている。
2011年7月には現在の地上波方式のTV放送が廃止される。
世の中が全てデジタル化していく。
そうした総デジタル化の中で、電子マネーの世界は益々拡大していく気配である。
