2007年の回顧 その(1)

気がつけばまた去り行く年を回顧する時期になっている。

今年2007年は、一般個人の為替取引が飛躍的に拡大した。
要因としては、銀行の外国為替業務からの実質的撤退と、IT機器の飛躍的な発達。
束になって世界の市場に出入りする日本の主婦層は無視できない一大勢力となり、
日本の主婦軍団は「ミセス・ワタナベ」と恐れられるまでになった。

その背景にあるのは、日本VS欧米諸国+資源国の金利差にある。
日本の金利は世界最低レベルにあり、従って「日本円売り・外国通貨買い」を仕掛ければ、
大概の場合は利益が出たことにはなる。

かくして日本の主婦層は、円売り・ドル買いorユーロ買いor豪ドル買いを仕掛けて儲け、
巷には主婦や若いOLの書いた「FXトレードで100万円から1000万円にする法」や
「私もFXトレードをやってます」的なノウハウ本が溢れた。

しかし相場はそう簡単ではない。
8月初旬から表面化した米国発のサブプライム問題からドル売り一色の動きとなり、
円も110円を割込む円高となった。円売り・ユーロ買いは下落率は小さかったが、
「円売りVS豪ドルorポンド買い」に死屍累々となった。

投機。禅から生れたこの言葉は、本来師弟の心が激しくぶつかり、通い合うさまを表す。
それがいつしか相場の値動きに追随する短期売買を指すようになった。
しかしそうした(短期売買の)投機自体は根本的には「悪」ではない。

1992年の英ポンド危機には、ジョージ・ソロスは英中央銀行とはげしくぶつかり、打ち負かした。
経済学の泰斗・ケインズは投機家の顔を併せ持ち、財をなした。
共通するのは、国家や世界の諸分野に対する深い洞察力と分析力である。

残念ながら日本の「ミセス・ワタナベ」には、
諸分野の動きや国家の消長を見極める力を備えようとするスタンスにはなかった。
目先の動きに一喜一憂するネット投機家の姿は、パチンコや諸般のゲームに熱中する
現状の日本の姿を彷彿とさせた。

一方で、金融のグローバルの世界の浸透と同時に「超高齢化社会の拡大」という、
未曾有の大問題が現実のものとなってきている。
06年の日本人の平均寿命は男性が79.00歳と世界第二位、女性が85.81歳で世界一。
百歳以上の高齢者は3万人を超え、平成50年には60万人を超えるとの推計もある。
「百歳の自分」は他人事ではない。

かくして、好むと好まざると「百歳の自分」に備えざるを得ないのが現在の日本である。
年金問題がドロ沼の様相を呈し、解決の糸口さえ見つからない現状では、
「生きていくための必要資産」は、好むと好まざると自分自身で築いていかざるを得ない。

2007年を回顧すれば、国民全体が「これまでの預貯金を中心にした“絶対安全”から、
“比較的安全”に歩み寄り始めた年」ということができよう。
「ミセス・ワタナベ」が闊歩した2007年の状況は、確かに異常だった。
しかし別な意味では間違いなく“新しい時代”が始まったとも言える。