国際商品高騰に関する考察 その(2)
「世界の国の垣根を取り払う」とする「グローバル化の潮流」の発端となったのは
「1989年のベルリンの壁の崩壊」だった。
以降米ソ冷戦は終了し、唯一の超大国となった米国は、
「経済成長が民主主義と自由化を促す」というシナリオで、市場経済を拡大していった。
しかしそのシナリオには米国の“奢り”があった。
世界の貿易の頂点に君臨すると標榜する米国は、世界中の国々からあるゆる商品を
無制限に受け容れていった。
一方で、輸入品の代価は当然の如く米ドルで支払われ、その支払われたドルは
「米国債という名の米国の借金」に還流してきた。
一方で「世界の警察」を標榜する米国は、こうした一見合理的に見えつつも、その実、
全く不合理なシステムを世界の国々に押し付けていった。
その代表例が日本だった。
日米安全保障条約という、軍事力を担保とした貿易システムは、
「モノを造って、売って、もらったドルは結局は買い主(米国)に返す」中で、
次第に製造元(日本)が疲弊するに至った。
何故なら、買い主(米国)が困れば、「為替調整という名の借金の棒引き」を
させられたからである。
ところが、カネや人材、資本の自由な移動が進むと、グローバル経済は米国の思惑とは
違う方向に動き始めた。
中国を先頭とする新興国は、先進国の成長を凌駕し始め、世界の輸入増加の半分以上を
担うようになっていった。
元々中国を中心とする新興国は、「世界の警察としての米国の軍事力」は必要とせず、
「余ったドルは米国の借金に充てる=米国債購入」システムに難色を示し始めた。
それは、一方で欧州統合通貨の台頭があったのは否めない。
そうした一連のギャップが出始めた時点でのサブプライム(信用力の低い個人向け住宅ローン)
問題だった。
サブプライム問題で経営が揺らぐ米欧の主要金融機関は、アブダビやシンガポールなどの
国営ファンドに支援を求めた。
現在の支援額は7兆円で、米欧の主要金融機関の株式資本約130兆円の5%程度にしか
過ぎないが、損失額が確定できない現状を考えれば、更に膨らむと考えるのが自然である。
2008年に入っての1バーレル100㌦に及ぶ高騰相場で、三代先までの必要資産を形成した
と思われる産油国や、未開拓な資源が豊富な新興国の急成長は、
結果として資源や食料の需要を拡大させ、一次産品の価格を押上げていった。
産油国や新興国は、自国の利益を全面に出した成長モデルを追う。
一連の手法は一時的との見方もあるが、一方で、
「先進国で稼げなくなった富は高い収益を目指して動き、非民主的な存在とも共存する」との
見方が先行、国営ファンド(SWF)の存在が大きくなっている。
かくして、金、白金、大豆、トウモロコシなどを中心とする国際商品は、適正価格を求めて
漂流している。
短中期の分析では、今後の動向が見えないのは道理である。
