政府系ファンドに関する考察 その(3)

世界各国政府による投資は、以下に大別される。
「外貨準備を含む国際準備」
「公的年金基金」
「国有企業」
「政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド=SWF)」

政府系ファンドの場合、裏に債務のある他の基金に比べ
「より大きなリターン(配当)を摸索する場合が多い」とされている。

2007年以降、突如として脚光を浴び始めた感のある政府系ファンドではあるが、
世界の数十ある政府系ファンドの運用資産は、ヘッジファンドの運用資産よりは大きいものの、
年金基金などの機関投資家の運用資産に比べるとはるかに小さい。
歴史的みてもクウェートの基金が1953年に設立されるなど、格段目新しい存在ではない。

にもかかわらず急激に注目されてきた背景には、
産油国の原油高による余剰資金の急増や、中国やロシアなどの政治大国によるファンド設立の動き、
そしてファンドの投資戦略がこれまでの米国債中心の国債運用から、株式取得を通じた多国籍企業
への経営参加などに広がってきたことがある。

日本でも日本版政府系ファンド創設の是非を検討する動きが始まっている。
福田康夫自民党総裁(首相)直属の機関である国家戦略本部内に「SWF検討プロジェクトチーム」が
設置されている。

ファンドの原資になるのは日本の外貨準備。
円売り・ドル買い介入で積み上がった資金で、08年1月末の残高は9960億㌦(約100兆円)。
現在は米国債を中心に運用されているが、安全運用の観点からは投資先を分散すべきだとの指摘
も多かった。

一方で、日本の米国債の安定購入を通して米経済を支えている側面もある。
外貨準備の運用構成を変えれば、日米関係にヒビを入れかねない。

こうした一連の危惧に対して、検討チームの座長である山本有二前金融相は
「外貨準備の運用益(2006年は3兆円強)だけを原資に使う分には米国からの理解を得られる」
との見解を示している。

そして肝心の運用に関しては
「国内外から優秀なファンドマネージャー約10人を募り、地域・商品別に運用する」
「競争原理を導入し、運用成績が悪い担当者を毎年入れ替える」
としている。

日本の外貨準備は規模は世界最大級だが、元々が政府短期証券で調達した資金が原資。
運用で損失を出せば国民負担になりかねない。
しかしリスクがあるからと言って尻込みばかりしていると、日本は世界の波に乗り遅れ、
結局はジリ貧である。
そして何より怖いのは、(日本的なリスクを嫌う国民性が表面化し)日本の市場が
閉鎖的でかつ成長性がないと見なされ、国際資本が日本から離れていく事態である。

日本も政府系ファンドを遠巻きに眺める姿勢から、海外の政府系ファンドと積極的に
連携して海外進出するといった積極姿勢があってしかるべき時期のようである。