8月新刊「中国大崩壊の衝撃」について
8月8日、北京五輪が始まった。
だが今回の五輪を見つめる日本を始めとした世界の国々の見方は冷ややかである。
中国に古くから根付く多民族に絡む厄介な事件が多発し、かつ表面化したからである。
日本の場合、7日に飛んだ日航のチャーター便の搭乗率は33%だった。
競技への関心は抱いても、その舞台への好奇心はソウル五輪当時の韓国ブームに比しても、
問題にならないくらい薄い。
1964年の東京五輪は“はるか彼方の遠景”となり、欲しいものを見いだせないニッポン人の
虚無感を物語っているようである。
オリンピックは中国語で「奥林匹克」と記すそうである。
5000年の歴史を誇り、古代から世界各地から多くの文化が到来した中国史上初の五輪だが、
自分は別の意味で危機感を感じている。
今回の北京五輪後の世界経済を考えば、中国のバブル崩壊が本格化する可能性を含んで、
五輪を楽しむといった状況にはないからである。
世界唯一の共産主義国・中国が、改革・開放政策を導入以降、
“金さえ儲かればいい(=利益至上主義)”が強まり、特に北京五輪開催が間近になって
その風潮が激化、中国全体に「短期的な利益しか考えない」体質が出来上がってしまった。
現在の五輪は、政治よりも経済に密接に結びつき、その根幹の意味さえ変えてしまった。
そこに現れたのが、世界最大の人口を抱える中国だった。
近代国家としての存在を誇示したい中国は、五輪は魅力的なイベント(=興業)であり、
北京五輪は「スポーツとビジネスの更なる蜜月を、世界に誇示するもの」であるはずだった。
1997年の英国の香港返還以降、英国人が香港から姿を消した。
以降は完全に中国人=華僑の世界となった。
最終的に中国的な思想・スキムが先行する社会では、表面的にはともかく、根幹では世界的な
グローバルな概念が通用していない。
15億人と言われる人口を抱える大国・中国は、2008年の北京五輪を控え、異常な盛り上がり方を
してきた。
「中国株はいずれ劇的に収束する」。
グリンスパン米連邦準備委員会(FRB)前議長はそう予言した。
07年10月に6000を超え、バブルが危惧された上海総合指数は、08年6月までに5割強も下落した。
人民元の上昇抑えるためのドル買い介入を続けた結果、外貨準備は1兆2千億㌦を超え、
対価として人民元が市場に過剰供給されたことで、極端なカネ余り現象が起き、
非効率な投資の増大や株式市場の過熱を招き、中国に未曽有のバブルが起きた。
共産党による統治とその統治を脅かす勢力が現れれば、国際社会の軋轢を覚悟で封じ込める。
メディアを管理し、都合の悪い情報は流さない。
そのような時代錯誤の国が、米国、日本、ドイツに次ぐ経済大国になった。
これが現状の世界経済の現実である。
07年の世界経済全体に輸入額に中国が占める比率は9%を超え、89年の4倍に膨らんだ。
中国が世界から孤立し、貿易が滞れば、世界経済も無傷では済まされない。
世界最大15億人の人口をバックに、良く言えば“おおらか”、悪く言えば“大枠から外れ、
自分本意でいい加減”の中国的な常識は、世界を崩壊させる可能性を含有する。
北京五輪開催という追い風受け、中国は07年まで5年続けて10%以上の経済成長を遂げた。
しかし世界が中国認め始めた途端、歯車が狂い始めた。
共産党による統治システムが中国国内でいくら絶大でも、グローバル経済に組み込まれた
自国経済を思い通りにはできない。
米国に続き中国の政治・経済が変調すればどうなるか。
かくして北京五輪終了後は、世界経済クラッシュの可能性を含んで波乱含みである。
8月7日、自著『中国大崩壊の衝撃』(総合法令出版刊)が刊行されました。
お気づきの通り、8月8日の北京五輪を意識したものです。
やっとのことで間に合いました。
よろしくご一読下さい。
