最近の金(GOLD)に関する検証

ここ1ヶ月、7月刊行予定の「金」について執筆している。
諸般の文献を検証していくうち、非常に興味深い流れを発見するに至っている。
その点について論述すれば(多少は)驚かれるには違いない。
が、それでは本が売れない(!?)ので、7月新刊を乞うご期待!といったところ。

ところで、NYの金(GOLD)の先物市場(COMEX)で、
1トロイオンス(約31㌘)が1000㌦を突破したのは08年3月だった。
そして今年2月、一時的ながら再度1000㌦の大台に乗せている。
そしてサブプライム問題に揺さぶりをかけ続けられている世界の金融市場は、
再度金に注目し始めている。

ただ08年と09年の環境は大きく異なっている。
08年は年初から金融市場が混乱し、海外商品の全てに投機資金が流れ込んだ。
そして金は、そうした海外商品の中のひとつに過ぎなかった。

流れが大きく変わったのは08年の夏から秋にかけてであった。
サブプライム問題が表面化し、世界の金融システム不安は「100年の1回の恐慌」と言われるように
なり、それまでの商品高騰を主導してきた投機資金も一気に逃避した。
その影響をまともに受けたのが原油だった。

ところが個人を中心に金貨が売れ始めた。
08年10月~12月の世界の金貨の重要は前年同期比の3倍の67.9㌧に達した。
一人当たり数十㌘と想定される“(世界中の)小さな力”が集まって、金価格を支え切ったのである。

サブプライム問題に悩む欧米の政府当局は、金融機関が抱えるデリバティブに絡む膨大な損失を
埋めるため、大量の資金を供給し続けている。
一応は底は見えたとは言われるものの、デリバティブの損失が一体いくらあるか分からない現状に
おいて、巷間で言われるようなインフレ懸念は杞憂に過ぎないように見える。
大量の供給された資金は、発生した損失を埋めるのに使われるからである。

しかし理論上とは言え、大量の資金供給はインフレ懸念につながり、個人が防衛策として選択した
のが金だった。
ただ今回の金の選択は、各国政府が発行する債券は信用できない、株価の底は見えない、
そして通貨も信用できないという、あれもダメ、これもダメという中で、消去法で残った。
つまりは前向きの選択ではなかった。

そして現在、年金基金などの大規模な投機資金が金に入り始めている。
ただ金の市場は為替市場・株式市場や原油市場と比較すれば決して大きいとは言えない。
またぞろ「小さいプールにクジラが泳ぐ」状態になればどうなるかは、昨年の原油相場を見れば
一目瞭然である。相場の世界での「行き過ぎの反動」はとてつもなく大きい。

確かに金は、人間の歴史が始まって以来、絶対的な価値があるモノ、つまりは“実物”資産として
捉えられてきた。今後も価値が消滅することはないと思われる。
しかし「金が絶対だ」「金を持ってさえすれば安心」という考え方はどうだろうか。
価値を変えていくのは世界であり、市場であり、そしてそれを作り出す人間である。

確かに「金は世界を映し出す鏡」と言われてきた。
ただ「1オンス=1000㌦の世界が異常なのか正常なのか」と聞かれれば、
異常であると答えるしかない。