最近の金(GOLD)に関する検証(3)

サブプライム問題に揺れる世界経済の中で、「金の新時代」と言われるようになっている。
しかし「なぜまた金の新時代なのか」「なぜ資産として金を持つ必要があるのか」など、
考えてみれば、金にまつわる“単純にして素朴な疑問”が多々ある。
一般的には「金にまつわる神話(=常識)」を頭から信じ込んでいるようにしかみえない。
「だから金なのだ」という“確固たる結論”には至っていないように思える。

20世紀後半から21世紀前半の金は、歴史的な安値をつけに行く局面があったのはご存じの
通りである。
「(下落するなら)下落するための理由」あるいは
「(上昇するなら)上昇するための理由」があるはずだった。
しかし、これまで刊行されてきた金に関する文献には、そのための明快な説明がなされて
いなかった。

そして原因を明快にしないまま、
「金は(実物資産として)人間の歴史で最大に珍重されてきた」
「だから(困った時の)金なのだ」
といった(都合の良い)曖昧な説明がなされてきた。
21世紀という新時代に入り、「近代経済と金」という壮大なテーマに、ある程度の客観的な結論を
出しておく時期であると思う。

東京外国為替市場が発足するのは1973年。
実は東京外国為替市場が発足した当時から「金に対する概念」が変わり始めていた。
つまり「通貨を代位する」金から、「単純な(保有資産の一部を形成する)商品」としての金に
なり始めていた。
こうした重要なプロセスが周知徹底もされず、また一般的にも理解されていないように思える。

21世紀に入って露呈したサブプライム問題に悩む世界各国では、大量の資金供給がなされている。
資金の大量の供給は(理論上は)インフレ懸念につながる。
個人投資家は、各国政府が発行する債券は信用できない、株価の底は見えない、そして通貨も
信用できないという中で、理論上のインフレをテーマに、消去法で金を選択し始めている。

確かに金は、人間の歴史が始まって以来、絶対的な価値がある実物資産として捉えられてきた。
今後も(総体的な)価値が消滅することはないとは思われる。
従って「資産として金を持つ」ことは、これから以降の不透明な世界では必要不可欠なことかも
しれない。
ただ歴史的な高値レベル、1オンス=1000㌦レベル、
円建て1グラム=3000円レベル(オンス換算約93,000円)の金を買い追随することは、
資産の喪失になりかねない。

どういう値位置にあるのか、世界の情勢がどうなのかなど、
後先考えず「(闇雲に)金が絶対だ」という考え方は果たしてどうなのだろうか。
価値を変えていくのは世界であり、市場であり、そしてそれを創作り出す人間である。
一連の流れは、ここ100年の世界金融の歴史を振り返ってみなければ見えてこない。

21世紀は「排出したかもしれない二酸化炭素」のような「実体を欠いた(金融)商品」が
取引される時代である。
そういう時代だからこそ、自己責任原則が更に追及される。
そして、そういう時代であるからこそ「実物資産としての金」も冷静になって考えてみる
時期のようである。
千変万化、複雑怪奇な新時代に「絶対」はあり得ない。