暴れマンモス・中国を制御するのは誰だ
7月15日、中国人民銀行(中央銀行)は、
6月末の外貨準備高が前年比17.8%増の2兆1316億円(約198兆円)になり、四半期末ベースで
初めて2兆㌦を突破した、と発表した。
人民元相場を低めに抑えるために、人民元売り・ドル買いの市場介入を続けた結果、
ドルが積み上がり、日本の2倍超の外貨準備を抱えることになった。
中国の外貨準備は2006年2月、日本を抜いて世界一になった。
同年10月には1兆ドルの大台を突破している。
またその外貨準備の7割をドルで運用しており、米国債の保有額も08年9月には日本を抜いて
世界一になっている。
中国は2005年7月、
それまで事実上のドルとの固定相場制だった人民元の為替システムを「管理相場制」に移行し、
一定の範囲内で相場が変動するようにしている。
しかし、為替政策を所管する中国人民銀行は、制度変更後の輸出への影響を抑えるため、
大規模な市場介入を実施、元相場を実勢より低く抑えてきた。
こうした環境下で、中国政府は(表面的には)人民元の制度改革を進めている。
但し、ドルやユーロ並みに取引を自由にし、国際通貨にしようと急いでいるわけではない。
「通貨の動きや相場を管理したまま、いかに人民元を使い易くするか」に力点がある。
いかにも中国らしい”虫のいい”話である。
1974年、旧西独のヘツシュタット銀行が突然破綻した。
同銀行は外国為替取引でマルクを受け取った後、ドルを払わなかったことで、相対した銀行も
甚大な損失を蒙ることになった。
通常ドルは米国の営業時間中に決済されるため、時差の関係で支払が遅れた結果だった。
こうした「時差リスク」を軽減しようと日米欧の銀行は、ロンドンに専用の決済機関を設けた。
交換する双方の通貨が入金されてから同時に決済する。
しかし人民元にはこのシステムは使えない。
中国外での取引が制限されているからである。
中国は人民元を徹底的に管理する一方で、世界の金融システムが揺らぐ中、外為リスクを
放置しておきたくない。そこで人民元を
「国際化せず」「国際的な枠組みにも加わらず」「リスクを軽減する」という、これまた(虫のいい)
手立てを考えた。
それがこの7月から上海で始まった人民元を使った貿易決済だった。
中国の提案するシステムでは、取引に参加できる銀行や企業を、中国政府が厳しく管理する。
表面的には国際化の第一歩である。
しかし真の国際化とは、国外での自由な流通と、他の通貨との交換を認めることを伴う。
為替相場と金利を市場に委ね、資本の自由な出入りを認める必要もある。
今年に入って、中国人民銀行の周小川総裁が、ドルを基軸とする現状の通貨体制に対し、
しきりに疑問を投げかけている。
「人民元をドルと並ぶ基軸通貨にしようとする思惑」と見るのが自然である。
そのための現在の中国の、中途半端で自分勝手な自由化は、市場を歪め、投機マネー乱入による
経済の混乱を招きかねない。
世界の常識を一切無視し、自国の都合ばかりを考え、ドスンドスンと突っ走る、暴れマンモス中国。
(米ドルを腹一杯詰め込んで)栄養満点、エンジン全開となった凶暴マンモス・中国を、もはや誰も
止められなくなっている。恐るべし、中国。
世界は「決して託してはいけない国」に、運命の一端を託してしまったようである。
