金(Gold)の高騰を側面から検証する

ここにきてG7(グレート・セブン)の在り方が盛んに論議されている。
1973年に秘密会議として発足したG7は、35年超を経過し、その存在価値or意義が揺らぎ、
日米欧に中国を加えたG4案が検討されている。

いつの間にか、中国の抜きでは世界経済に関する諸問題を解決できなくなっている。
アジアの主役交代の色が濃い中で、中国と同じ東アジアに位置する島国・日本に、
“G7あるいはG4の中での住み場所”は果たして残っているのであろうか。
現在の日本が世界の経済大国と呼べるのかどうか。大きな疑問である。

G7が知られるようになったのは1985年のプラザ合意だった。
その大義名分は、米国の貿易赤字と日独の黒字という(当時の)不均衡是正にあった。
当時の政策協調を主導した米国の念頭に真っ先にあったのは日本だった。
しかし現在、米国の念頭にあるのは中国にあるのは誰の目で見ても明らかである。

08年10月のリーマン・ショックを契機にした金融・経済危機は、世界的な政策協調の機運を
もたらした。
特に必要とされたのが、先進国と途上国との合致した行動だった。
そしてその受け皿として登場したのはG20(グレート・トウエンティ)だった。

08年11月と09年4月の2度の会合以降、G20首脳会議が存在感を増し、政策協調の枠組み
見直し論議が加速している。
G20が政策協調の柱に据えられ始めているのも、結局は中国を取り込むのが狙いである。

21世紀以降の世界の金融市場は中国主導型となり、中国の動向をや中国高官の発言を
無視できなくなっている。
世界各国は経済危機を封じ込めるために空前の金融緩和と財政出動に踏み切った。
結果、緊急対策の副作用として各国政府の財政赤字や市場の流動資産は膨張し、
インフレ懸念や通貨不安が台頭している。

そうした環境下で選択されたのが、
「価格変動リスクがあっても信用リスクのない」無国籍通貨の金(Gold)だった。
中国の中央銀行である中国人民銀行は、自国で産出した454㌧の金を外貨準備に組み入れ、
金準備を1054㌧と一気に増やした。

10月5日の3回目となるG20の財務相・中央銀行総裁会議で、財政拡大や金融緩和の継続が
合意されると同時に金価格の上昇が加速した。
G20の主役たる中国の金準備増加がボディーブローになって効いているのは明白である。

ただ一方、金の需給面でのファンダメンタルズは脆弱である。
アジア勢の実需買いは低調で、宝飾品や投資用地金の換金売りも高水準を保っている。
今回の金の上昇は「短期の利益狙いの投機筋の買い」が主体であることは念頭に
置かねばならない。

「実需不在」のまま、投機マネーが主導する1,000㌦超の金を安易に買い追随できるのか。
円建て金の理論値は「ドル建て価格÷31×ドル円価格」で導き出される。
要は円建て金は、単に金価格だけでなく、為替にも影響を受ける点を再認識したい。

大きな時代の転換期には違いない。
が、冷静になって対処したい局面である。