「22年に16人の首相誕生」という異常事態の検証

いつの間にか国会中継が、昼下がりの“影の人気番組”になり始めている。
過去の高視聴率番組の再放送や、TVショッピング番組よりはよほど面白い。
官僚が作成したことが一目瞭然の(棒読み)演説の内容はどうかといった、
真面目な意味ではなく、
「誰がどういう野次り方をしているのか」
「閣僚をはじめとして、要人と言われる議員の誰が寝ているのか」などといった、
誠に下らない、不真面目な理由からだが…

6月4日、鳩山由紀夫首相が辞任、菅直人首相が誕生した。
平成になって22年、16人目の首相である。
小泉純一郎首相を除けば、平均在任期間は約1年である。

短期政権が続くのは、
「体制が時代の変化に立ち遅れ、その倫理観と美意識が世の中に受け入れられなくなった」
つまりは体制疲労の表れである。

日本の近代史で同様の現象を起こしているのが、今回を含めて3回。
まずは幕末。黒船が到来する1853年から幕府が機能停止するまで14年半、
老中(大老を含む)に任命されたのは延べで40人超。
任期期間は平均1年2ヶ月。
それ以前の150年間の大老や老中は延べで約130人。平均任期は約6年。

二回目は「1936年の2.26事件以降、1945年の第二次大戦終戦まで」の
いわゆる“戦時体制”である。
ちなみに、明治の内閣制度確立から2.26事件まで50年の間は31の内閣が成立し、
首相になった人物は20人。
そのうち通算在任以下が1年以下は3人だけだった。

第二次世界大戦から10年後の1955年に確立する戦後体制は、
官僚主導で大量生産社会を目指すものだった。
その中で政治家は、年々増加する財源の配分と、官僚規制を、
“ほどよい水準にとどめる”機能を果たせばよかったのである。

ところが平成になって、一連の疑惑事件で政治資金の規制が強化されると、
資金調達力があり、集票組織を養う政治家が悪徳視される一方で、
政党や政治家は政党助成金を中心とした国費で養われるようになっていった。

平成になって22年の間に、唯一の長期政権(1980日)となった小泉純一郎内閣は、
戦後体制を完膚なきまでに破壊すると標榜し、その論理に沿って議会運営や選挙運動
などで実績を残し、独自の人脈と情報網を整備していった。

しかし小泉首相以降の、安倍晋三首相から鳩山由紀夫首相に至る4人の「世襲首相」は、
独自の政権・政策を訴えて国民の間に資金や集票システムを創成することもなく
(またその能力もなく)、「選挙のための顔」としての存在に終始した。

また平成15年以降の自民党・三代の世襲政権、安倍・福田・麻生に至る3内閣は、
表面では「小泉改革の継承」を訴えてはいた。
が、実質的には(あるいは結果的には)、小泉改革とは正反対の、
官僚主導の“熾烈な”規制強化の流れになっていった。
その規制強化に敢然と刃向かったはずの世襲4人目の政権・鳩山民主党政権は、
「政治主導」を訴えはしたものの、官僚主導のシステムを崩せないまま退陣に
追い込まれた。

こうした短命政権が続く場合の共通点は、国の借金が急増することである。
閣僚が各省官僚の資料と説明を丸のみにするからである。
日本の官僚は代々「批判を回避し、権限を保持する」という
官僚共同体というべき強固な組織の中で動いてきた。

戦前の官僚体制が(一旦とはいえ)完全に壊滅したのは1945年の敗戦。
そして壊滅に向かう要因をつくったのは(官僚や軍人を中心にした)1941年の開戦だった。

対外的な孤立と官僚主導が進むという点では、1940年代の様相に似ている。
つまるところ、日本の経済的破滅は間近のように見えるが、さて…