2010年の回顧その(1) 躍進・中国の脅威

今から5年ほど前、地元紙の正月特集で、
「希望の大地・中国」と題した座談会の記事が大々的に掲載されたのを鮮烈に覚えている。
「活路は海外に見出すべきだ」として、中国を礼賛しながらも、一方で中国なら何とかなる
とする安易な考え方も垣間見える内容だった。
地方だけではなく、日本全体が上から目線で中国を見ていたのである。

2010年、尖閣列島・領海侵犯問題が表面化した。
尖閣列島は、日本政府が1985年以降現地調査を繰り返し、清朝の支配下にないと確認、
1895年の閣議決定で正式に領土に編入している。

中国と台湾が領有権を明確にし始めたのは、
国連調査で周辺海域で石油が存在する可能性を指摘した1970年代以降である。
特に中国は、1992年、尖閣列島を自国領と明記した領海法を制定している。

2010年に表面化した同問題は、今後の日中関係の現実を明確に炙り出すことになった。
経済力および軍事力増強に伴う自信、15億人という巨大市場への日本側の必要以上の
期待の高まり、そして日本の国力の相対的な衰退など、中国は完全に上から目線で
日本に対応し始めている。

明確に言えることは「日中関係は歴史的な転換点にいる」という点である。
外交戦略の見直しをせざるを得ない。
中国の成長にあやかろうとする、日本の官もそして民も、脇が甘かった点は否めない。

弱みだった経済が強みに変わり、それを外交にも使い始めた中国。
尖閣問題が起きて、中国は希土類(レアアース)の輸出制限で日本に圧力をかけた。
日本はレアアースの必要量の9割を中国からの輸入に頼っている。

現在の世界では人口が爆発的に増大し、同時に経済は豊かさに向かって突進している。
しかしこの「経済的な豊かさへの道」には大きなネックがある。
それは「地球の限界が見えた」ことである。
無尽蔵と思われていた大気や水でさえ不足する状態になり、鉱物資源や農産物等の
一次資源の不足が言われ始めたのはごく自然な成り行きだった。

今回の問題を通して「日本政府の危機管理がほとんど機能しなかった」のは衝撃的だった。
そして国内外に「日本は圧力を加えれば妥協する国だ」と思わせてしまった。
日本は世界の国々から“なめられ”始めている。
そして「日米安全保障条約が危機に機能しないかもしれない」というリスクも認識せざるを
得なくなった。

百歩譲って、“青葉マーク”の民主党政権を、多少は大目に見なければならないのかも
しれない。
しかし“昔だったら戦争”の事態に際しても、的確な措置のできない現政府に、
日本国民が底しれない不安感を持ったのは事実である。

日本の官もそして民も、同じアジアだから中国は安心という安易な考え方が根幹にある。
そして米欧よりはやり易いという間違った概念も残っている。
しかし昇竜・中国は簡単に相手にできる国ではない。
今回の問題は後を引きそうな気配である。