25%の電力節減の影響

東日本大震災の後始末が遅々として進まない中で、
鯉のぼりが、何事もなかったように、気持ちよさそうに五月の空を泳いでいる。

そしてこの季節から、急激に温度が上昇し始める。
暑がりの自分は、20度を超えるあたりから汗をかく。
寒さには強いが、暑さ、特に日本独特の湿気のある暑さに滅法弱い。
そんな酷暑の夏がまたやってくる。

日本政府はこの夏、25%の電力節減をすると言う。
現在でも大都会・東京のど真ん中の銀座界隈は薄暗く、またターミナル駅やデパートの
一部のエスカレーターは止まったままである。
そんな諸環境の中で、灼熱の国際都市・東京で、クーラーを使うのは“罪”になって
しまうだろうか。

一連の電力需給対策は、一般生活だけではなく、金融界をも揺さぶっている。
金融機関は「どんな危機的状況においても業務を続ける」ことが、
過去も現在も、そして将来も最大の使命である。
決済や市場は経済にインフラになっているからである。

金融庁は業界団体を通じて金融機関の25%の削減を求めている。
削減幅がやや圧縮される可能性があるとは言え、金融機関も節電を余儀なくされる。
まず浮上するのが「時間」の見直しである。
夏場の電力需要のピークは、銀行の営業終了、株式市場の取引終了と重なる午後3時。
直前に取引が集中し易く、ピーク時の電力需要を増大させる。

対策としては、取引や営業時間の短縮や変更である。
銀行サイドでは店舗の午後の輪番休業を検討し始めている。
証券業界では「取引時間は現状通り」としているが、取引時間が短縮されない限り、
節電には限界がある。
仮に午後の取引を中止すれば、市場の地盤沈下は避けられない。
次善の策としては、電力需要のピークを外し、午後の取引を3時間遅らすことなどが
選択肢になる。ただその場合、勤務時間の変更が余儀なくされる。

次に「業務」の見直し大きなテーマになる。
金融には決済を中心としたインフラ業務と、一方で投機的な取引も混在している。
1秒間に何百という注文を出すアルゴリズム取引をどう扱うかも課題になる。

産業界から家庭まで、使用電力を一律に削減する手法は、一見すれば平等には見える。
但し金融は、計画経済的な手法は馴染まない。
そうした削減をしなければ大停電となるというなら止むを得ないが、銀行の営業店が
輪番で休業という事態になれば、決済に関する“想定外”の影響が出るのも必至である。

現状では
「東京証券取引所偏重から大阪証券取引所を重用する」
「東日本50ヘルツ・西日本60ヘルツに分断されている電力グリッドの完全接続化」
「サマータイムの導入」
「在宅勤務の一部義務化」
「夏季3週間バカンスの導入」
「夏の甲子園等の大規模イベントの秋季への延期」
等など、諸案が検討されてはいる。
しかしそれぞれの案に、簡単には現実化できない問題が山積している

「ただ元に戻すだけの復旧ではなく、新しい未来を創造する復興を目指す」
としながら、ひたすら立ち往生するだけの菅内閣。
現政府に迅速で具体的な施策を望むのは無理なようである。

今年の夏場をどう乗り切るか。
結局は覚悟を決め、自分のことは自分で守るしかないようである。