ITの進捗で変化する大学教育
大学全入時代を迎え、大学教育そのものを見直そうとする機運が高まっている。
要は現在の大学のカリキュラムが、実際の世の中の動きに即応していないとの見方が
浸透してしまっている。
その傾向は特に(従来の)経済学部を中心とした文科系学部で顕著になっている。
金融工学(ファイナンシャリング・エンジニアリング)をベースに、
激しく変化する世界の動きから完全に乖離してしまっている。
昨今では4年制大学生の就職難が盛んに言われているが、
要は「世の中の実態を知らない先生(教授)」が教えた知識をうろ覚えした学生を、
世界を相手に日々厳しい戦争を強いられている一般企業が採用するわけがないのである。
その「机上の空論の弊害」を排除するために考えられたのが、
実際に世の中の動きを体験した後、再度大学教育で学び直そうとする社会人と、
現場の教える側(教授等)とが意見や情報を交換をしあう
(理系学部中心の)「産学協同」と呼ばれる手法だった。
ただ戦後の日本では、職場を持つ社会人が学びの場に戻ることは、
時間的にも地理的にも非常に困難だった。
そうした中で「いつでも、どこでも、だれでも」が学べる制度として最初に設定された
制度が「通信制大学」だった。
当初は紙媒体の教科書を郵送し、それを教材にして学習する方式だった。
当然ながら郵送時間などの時間的弊害があり、(学びの場に必要な)臨場感が
なかったのは言うまでもない。
そうした諸環境を踏まえ、ラジオ・テレビといった放送手段を利用した遠隔教育の
ための大学が誕生するに至る。
日本における最初の遠隔教育手段は、
1983年に創設された「放送大学(The Open University of Japan)」である。
しかし鳴り物入りで開始された放送大学も、特殊法人として設置された背景から、
いわゆる天下り人事が当たり前となり、官僚に支配される特殊な大学(ご都合主義の大学)
と捉えられるようになった。
創設から約30年、立ち位置が明確でなく、世の中の認知度も低く、
結果として本来の創設目的を果たせなかったのが実情である。
ところが21世紀に入って以降のIT時代を迎え、インターネットによる教育サービスが主流に
なり始め、教育環境が劇的に変化し始めている。
現在の世界各国の公開大学では、インターネットは勿論、ウェブカメラ、スカイプ等による
双方向の意見交換も可能になり、携帯電話やiPadなどによる受講も一般的になっている。
そうした世界的な流れが日本にも定着し始めている。
これまでは、大学で学ぶためにはその大学のキャンパスまで出向く必要があった。
必然的に大学に通学する(できる)地域に住まいする必要もあった。
結果的には「大学に行くためにはカネがかかった」のである。
ところがこれからは事情が一変する。
自宅にいながら日本は勿論、世界中の有名カリキュラムを受講できる時代になった。
これまでは「大学に行きたいけど、家庭の事情(経済状態)から行けない」との“言い訳”が
通用してきた。
ところがこれからはこの“言い訳”は通用しない。
やろうと思えば、IT機器を通してその機会は無尽蔵に与えられる。
千年に1回の大震災が起き、日本では無政府的様相の濃い、混沌とした世の中になっている。
ヤル気のある者には、時代の転換期のビッグチャンスを迎えているのである。
