2011年08月27日

「円高対応緊急パッケージ」を検証する

8月24日、
野田佳彦財務相は外国為替市場での円高に対応するための「円高対応緊急パッケージ」
を発表した。
外国為替特別会計のドル資金1000億㌦(約7.6兆円)の資金枠の設定を骨子に、
金融機関には外国為替持ち高報告を義務付けている。

1000億㌦の資金枠には、日本企業による海外企業のM&Aや資源権益確保のための
融資も含まれるすると謳われてはいるものの、介入資金枠であることは明白。

また持ち高報告については、東京市場で取引の多い銀行や証券会社など30社に
毎日報告させるとするもので、1998年の外為法改正以来初となるもの。
しかし海外市場の取引参加者は対象外のため、実効性は薄い。

今回の対策は8月19日のNY市場で、75.95円をつけたことで、いつでも対策を
打ち出せる(随時介入できる)ようにと急遽作成された経緯がある。
菅首相もようやく退陣を発表し、時期首相が誰になるかに日本中が喧々愕がくである。
こうした中で、8月29日の民主党代表選挙で政治空白が生じれば、円高・ドル安の流れが
加速するリスクはあるにはある。

日本の中には依然として「政府による市場介入絶対論」が残っている。
しかし市場介入、特に単独市場介入の効果については、欧米では完全に否定的である。
1日に少なくとも300兆円は動く為替市場において、7.6兆円の介入があったとしても
その効果は一時的である。

また日本の経済界に奥深く根付いている「円高・ドル安が日本経済にマイナスである」
という考え方も時代遅れであろう。
大企業は拠点の海外移管を完成しており、海外からの輸入サイドとなれば、
円高の効果は絶大である。

確かに中小の輸出産業には打撃には違いないが、こうした大きな流れを想定し、
全体的なシステムの再構築を終了しているのが企業としての使命でもある。
グローバルな時代に、円高を逆に享受するといった戦略が必要である。
逆に、そうした再構築ができない企業は自然淘汰されるのもまた時代の流れではある。

同じ8月24日、米国の格付け会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、
日本国債の格付けを最上位から3番目の「Aa3」(ダブルAマイナス)に1段階引き下げたと
発表した。

海外の格付け会社の評価などに殊更深刻になる必要はないが、
日本が中国やチリ、サウジアラビアと同格であるとの見方をされているのは、
日本国民として残念である。
根幹には今回のような時代遅れの対策がマイナス評価されたと見るのが自然である。

日本の円が買われるのもごく一時的なものと考えている。
日本の財政赤字が、個人資産の1400兆円を超えた時、日本は現在のギリシャ状態になる。
それはすなわち円の暴落の時を迎える時である。

もう一度、相場を大自然と考える時である。
東日本大震災で、想定外の津波が日本人の常識を木端微塵にした。
すなわち、円の大暴落の可能性は“想定内”として考ておく時のようである。

2011年08月21日

サヨナラ、夏の日!?

8月21日、日曜日。
東京は朝から曇りがちで、雨もパラパラ降っている。
22度レベルと言う。へたをすると薄ら寒い(!?)、陰鬱な日曜日である。
何日振りだろうか、ここ2日ほどは冷房は切ったままである。

日曜日の午後2時からは山下達郎がMCをしているFM東京・サンデー・ソング・ブック。
聴くと言うよりは、トレーニングをしながら何気に流しておくといったところだが、
今週と来週は(妻君の)竹内まりやも交えた「夫婦放談」。
一流のミュージシャン同志が夫婦になったらこんな会話をするんだ、っていったところの、
カジュアルながら中身の濃い会話が続いていく。

この時期になると決まって山達の「サヨナラ、夏の日」が流れるはず。
だがアルバムの発売直後とかで、今週は新曲の紹介ばっか、である。
山達の最近の新曲は余りいいとは思わない。
80年代の物が絶対にいいと思うが…

実家への墓参りから帰ったのは18日午後。
東京駅に着いたら、ムットとする熱気に溢れていた。
立っているだけで汗がダラダラ流れる。都内の最高気温は37.1度という。なるほど…

シャワーを浴びて、近くの居酒屋に生ビールを飲みに行った。
最初の一杯が、こんなにと思うほど美味しい。まさにゴクゴク、一気飲みである。
で3杯ほど空けて、鰹の刺身をベースにサッとメシを食べて帰った。
所要時間30分。誠にあっけない豪華ディナーではある。

翌19日。
朝から土砂降り。外が真っ白。まるでシャワー状態。
こんなんじゃ、夕方に予定してた飲み会には行けないな、と思っていたら
夕方になってピッタリ止む。しょーがないので出かけていった。
週末、朝方の豪雨、お盆休みの続き、といった“三役揃い踏み”で人影もマバラ。
ザッと飲んで、帰ってソーメン食って寝た。

以上が週末の様子ではあるが、東京は一気に秋模様である。
今日も22度とかと報道してる。半袖では寒いくらいである。

いずれにしても夏の高校野球が終われば、一応は「サヨナラ、夏の日」ではある。
今年の高校野球も熱戦続きだった。
全国各地から集う鍛えられた若者の姿は、いつの時代もウツクシイ。
ユニフォーム姿は大人びていても、一旦帽子を取ればそこには10代の少年の姿がある。

ただ唯一、島根県代表の開星高校の面々は違っていた。
1メートル86㌢で体重が98㌔。高校生にして腹が突き出ている。
あれは単なるおっさんである。練習を止めたらどうなるかは言わずもがな、である。
そんなのがゴロゴロしてた。
「私学の野球留学生に関して問題あり」との声も聞かれるが、日本全体のレベルの
引き上げになるなら致し方ないとは思う。

自分の出た(受験専門の)高校には“100年の悲願”がある。
「甲子園に出場する」ことである。
あと7年ほどで100周年を迎えることから、絶対に実現したいと。

21世紀枠の最終選考に残ったこともあったが、
「東大へ入学するより甲子園に出場することが難しい」のは今や常識。
そんなテーマを掲げて、それをエサにして酒を飲み続けるしかあるまい。

かくして今年の夏も終わりの気配である。
来週のサンソンでは、山達の「サヨナラ、夏の日」が聴けると思うが…


2011年08月20日

リーマン・ショック第二幕

2000年頃から欧米中心の先進国では証券化商品が普及し始め、金融当局の金融緩和策も
相まって、住宅ローンを中心とした民間債務が急増した。
新興国に仕事を奪われた労働者の不満が高まり、政治的にそれを鎮める必要があった
からである。

だが2008年、こうした金融商品の欠陥が表面化し、金融機関が厳しい経営難に陥った。
それがリーマン・ショックだった。
そして金融機関の救済のために多額の資金を使ったため、欧米の政府当局の財政赤字が
拡大していった。
それが昨今の根幹の動きである。
つまり現在の動きは「リーマン・ショック第二幕」といえる動きなのである。

結局は民主主義国の「優しい政府による財政的な失敗」であり、リーマン・ショックの
連鎖を継続してきたことになる。
特に20世紀の世界経済をリードしてきた米国は、巨額の財政出動や異例の金融緩和で
08年の危機を力づくで抑え込んできた。
その過程で膨らんだ過剰債務の重圧に、国家自身が耐えられなくなりつつある。

7月に財政難に直面したギリシャへの追加支援策がまとまり、一時は落ち着いたかに
見えた欧州も、スペインやイタリアに不安が浮上、再び債務問題で揺れ始めている。
中でもイタリアは甘い財政運営で知られている。
ユーロ圏の政府総債務のうちイタリアは24%。もし財政が破綻すれば、
影響はギリシャの比ではない。

かくして、ギリシャに端を発した国家の「格下げドミノ」は世界の金融の中心、
米国にも及ぶことになった。
米国債が史上初めて最上位の格付けを失ったのである。
先進国の信用神話は崩れ、基軸通貨ドルへの信認も揺らぎ始めた。

米国が経済運営につまづき、ドルと金の交換停止を宣言した1971年8月15日の
ニクソン・ショックから40年が経過した。
主要通貨が変動相場に移行する1973年から日本は、3回の円高の大波に襲われている。
1985年9月のプラザ合意以降の200円割れ 、1995年4月の100円割れから80円割れ、
そして2008年のリーマン・ショックを起点とする今回である。

内容はともかくとして、日本は対外純債権国である結果、世界的な信用不安が広まると、
資金が集まり易い。
そしてデフレ状態にあることも円高になり易い地合いを醸成している。
物価が下がり続けると通貨の価値が上がる。
企業は国内で安くモノを作れるので、名目ベースの円相場が上昇しても、
輸出の価格競争力はそれほど下がらない。

物価変動の影響を除き、幅広い通貨に対する円の価値をはじいた「実質実効レート」は、
過去最高の95年4月よりまだ3割程度安い。
つまりは一段の円高の可能性が否定できないのである。
従って、(名目上の)円価格を無理やり抑えつけようとして政府が市場介入しても、
効果は一時的なのである。

2011年8月19日の海外市場で、円は75円台に突入した。
マスコミはいつものように大騒ぎしている。
かくして2001年8月は歴史上の“暑い夏”として記録に残りそうな気配である。
何かが起きる。
“その何かとは何か”は起きてみるまでは分からない。


2011年08月13日

残暑見舞い

本ブログにアクセスを戴いている皆様、残暑お見舞い申し上げます。

東京は暑い。と言っても東京に限ったことではなく、全国的に暑い。
日本は亜熱帯になったような状況であります。
最近インドへの出張からお帰りになった、大学の先輩Iさんによれば、
「インドは25度だったよ、アッ、ハッ、ハッ…」だそうです。
どうなったのでしょうね、ニッポンは???

今年のお盆は、土日が中途半端な形で混じっており、何となく居心地がよろしくない。
週明けには実家方面に墓参りに参りますが、何とはなしに気抜けする状態。
結局は気抜けした状態で、淡々と時間が過ぎていくのでしょうね、きっと。

ところで刻々と8月15日が近づいております。
だからどうした?とおっしゃる方もいらっしゃいましょうが、欧米の方々は、
日本人が考える以上に「メモリアルデー=記念日」に拘りを持っております。

くどいようですが、もう一度詳細をご説明しておきます。
今から40年前の1971年8月15日、米ニクソン大統領は突然のタイミングで
テレビ演説を行い、物価と賃金の凍結、輸入課徴金の導入、そしてドルと金の交換停止
を発表、外為市場でドル売りが殺到し、株は暴落しました。
いわゆる「ニクソン・ショック」であります。

40年というサイクルが強いサイクルであるかどうかは別として、
世界経済の昨今の荒れた状況からは、何が起きても不思議はないのであります。
考えられるのは株の暴落、ドルの暴落、円の急騰といったところですが、
何も起こらなければそれはそれでOK。
ただ、とにかく注意することにこしたことはない。

時間帯で言えば、日本時間15日の午後7時あたりから、翌朝の午前4時あたり。
特に午後10あたりからは要注意です。
酒を飲んで、酔っている場合じゃない。
はい、不肖青柳も、酒は控えめにして待機したいと考えております。

暑き折、皆様の心肝を少々冷やさせて戴きました。

話題をガラッと変えます。
最近の自分の周囲のトピックスと言えば、不肖わたくし、携帯メールをマスター
致しました。
なんだ、そんなことかとお笑いになるかもしれませんが、頑固に携帯メールを忌避
していた自分にはある種の“革命”であります。
電車や街中でカチャ・カチャやっている姿に、何かチャラい感じがして、
あんなの絶対にやんねェぞ、と思っておりましたが、本当に遅まきながら
携帯メールの便利さに気がついた次第であります。

特に「寝転んで通信ができる」って本当に素晴らしい。
この暑き折、PCを立ち上げて、机に向かうってこと自体がしんどい。
そんな場合、完全に仰向けになって、スタスタできるって、ほんとに楽。

かくして最近では絵文字などを混ぜながら、まるで会話をするごとく携帯メールを
乱発しております。
ただ余りに頻繁にメールし、返事を寄越せっ!!ってことになるものだから、
相手から嫌がられる場合もありまする。
でもYさぁ、どんだけ忙しいかもしんないけど、返事くらい出す暇はあるだろ?
こっちは待ってるんだからさ…

おっと、いつの間にかプライベートな空間に入り込んでしまいました。
どうもスミマセン。

まだまだ暑い時期が続くようです。
皆様にはどうかご自愛戴きますよう。

2011年08月06日

「ドル・円50円台の可能性」の検証

8月入り早々、為替市場が荒れている。
日本時間8月2日深夜、NY市場で円は対ドルで76.29円と3月17日の76.25円に迫る
展開となった。
そして8月4日、日本政府はドル買いの市場介入を断行した。

現在の為替市場における最大の注目点は政府債務のリスク。
欧州では、ギリシャに始まった債務危機はイタリアに飛び火した。
EU各国はギリシャへの第二次金融支援で合意し、ひとまずは危機を封じ込めた。

次いで焦点は米連邦債務の上限引き上げ問題へと移った。
米連邦債務の14兆2900億㌦の上限引き上げをめぐる交渉は難航した。
しかし日本時間8月2日早朝、民主・共和両党は条件付きながら上限引き上げに合意した。
ただ根幹の問題が解決したわけではない。
歳出削減か増税かで議論は簡単に決着しそうにない。
結局は
「米国債が債務不履行(デフォルト)になる可能性」は払拭されてはいないのである。

1971年8月15日、ニクソン政権がドルと金の交換停止を発表してから40年、
ドルは世界の基軸通貨として君臨してきた。
しかし、根幹の信認が大きく揺らいでいる。
その中で選択されたのが日本円とスイスフランだった。

通貨の総合的な実力を示す実効為替レートは、
リーマン・ショック前の08年1月初めの比較では、
スイスフランが39.3%の上昇、日本円が34.6%の上昇となっている。
市場参加者がリスク回避に動く局面では、経常黒字国の通貨の円やスイスフランが
買われる、といった至ってシンプルな理由である。

日本円に関して言えば、これまでの対ドルの最高値79.75円をつけた1995年4月と
現在の消費者物価の水準が同じであるのに対し、米国では50%弱上昇している。
結局は、「日米のインフレ格差を是正しようとして円高の流れ」になるとする、
購買力平価の論理はもはや否定しようにも否定できなくなっている。

そしてもうひとつ、円の様々な通貨に対する為替レートを貿易額で加重平均し、
内外のインフレ格差を調整した円の実質実効為替レートは、
1995年をピークに現在まで30%以上下落している。
それは可能性だけとしても、80円の3割=24円=56円の可能性があることを示している。

日本のマスコミでは「介入絶対論or必要論」が見え隠れしている。
しかし現在の世界の経済パラダイムの中では、市場介入の効果はあったとしても
一時的である。
今回の市場介入も、結局は効果がなかったのは見て通りである。
日本の大企業のスキムはこうした円高・ドル安の流れを見据えて、既に態勢万全に見える。

360円から始まった円は、素数に沿って節目を形成してきた。
360円÷2=180円、360円÷3=120円、そして360円÷5=72円を過ぎれば、
60円は単なる通過点で、360円÷7=51.42円が見えてくる。
考えれば怖い話には違いないが、金融工学(ファイナンシャルエンジニアリング)の時代、
無機質なコンピュータは素数に沿った数字をはじき出すに違いない。

これまでの常識は通じない。
その証拠に、最近の70円台に慣れきってしまっている。
何が起きても不思議ではないのである。
今年起きた東日本大震災は、人間の常識を完璧なまでにぶち壊した。
相場も大自然である。大自然の中では人間は無力なのである。

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