「ドル・円50円台の可能性」の検証
8月入り早々、為替市場が荒れている。
日本時間8月2日深夜、NY市場で円は対ドルで76.29円と3月17日の76.25円に迫る
展開となった。
そして8月4日、日本政府はドル買いの市場介入を断行した。
現在の為替市場における最大の注目点は政府債務のリスク。
欧州では、ギリシャに始まった債務危機はイタリアに飛び火した。
EU各国はギリシャへの第二次金融支援で合意し、ひとまずは危機を封じ込めた。
次いで焦点は米連邦債務の上限引き上げ問題へと移った。
米連邦債務の14兆2900億㌦の上限引き上げをめぐる交渉は難航した。
しかし日本時間8月2日早朝、民主・共和両党は条件付きながら上限引き上げに合意した。
ただ根幹の問題が解決したわけではない。
歳出削減か増税かで議論は簡単に決着しそうにない。
結局は
「米国債が債務不履行(デフォルト)になる可能性」は払拭されてはいないのである。
1971年8月15日、ニクソン政権がドルと金の交換停止を発表してから40年、
ドルは世界の基軸通貨として君臨してきた。
しかし、根幹の信認が大きく揺らいでいる。
その中で選択されたのが日本円とスイスフランだった。
通貨の総合的な実力を示す実効為替レートは、
リーマン・ショック前の08年1月初めの比較では、
スイスフランが39.3%の上昇、日本円が34.6%の上昇となっている。
市場参加者がリスク回避に動く局面では、経常黒字国の通貨の円やスイスフランが
買われる、といった至ってシンプルな理由である。
日本円に関して言えば、これまでの対ドルの最高値79.75円をつけた1995年4月と
現在の消費者物価の水準が同じであるのに対し、米国では50%弱上昇している。
結局は、「日米のインフレ格差を是正しようとして円高の流れ」になるとする、
購買力平価の論理はもはや否定しようにも否定できなくなっている。
そしてもうひとつ、円の様々な通貨に対する為替レートを貿易額で加重平均し、
内外のインフレ格差を調整した円の実質実効為替レートは、
1995年をピークに現在まで30%以上下落している。
それは可能性だけとしても、80円の3割=24円=56円の可能性があることを示している。
日本のマスコミでは「介入絶対論or必要論」が見え隠れしている。
しかし現在の世界の経済パラダイムの中では、市場介入の効果はあったとしても
一時的である。
今回の市場介入も、結局は効果がなかったのは見て通りである。
日本の大企業のスキムはこうした円高・ドル安の流れを見据えて、既に態勢万全に見える。
360円から始まった円は、素数に沿って節目を形成してきた。
360円÷2=180円、360円÷3=120円、そして360円÷5=72円を過ぎれば、
60円は単なる通過点で、360円÷7=51.42円が見えてくる。
考えれば怖い話には違いないが、金融工学(ファイナンシャルエンジニアリング)の時代、
無機質なコンピュータは素数に沿った数字をはじき出すに違いない。
これまでの常識は通じない。
その証拠に、最近の70円台に慣れきってしまっている。
何が起きても不思議ではないのである。
今年起きた東日本大震災は、人間の常識を完璧なまでにぶち壊した。
相場も大自然である。大自然の中では人間は無力なのである。
