「円高対応緊急パッケージ」を検証する

8月24日、
野田佳彦財務相は外国為替市場での円高に対応するための「円高対応緊急パッケージ」
を発表した。
外国為替特別会計のドル資金1000億㌦(約7.6兆円)の資金枠の設定を骨子に、
金融機関には外国為替持ち高報告を義務付けている。

1000億㌦の資金枠には、日本企業による海外企業のM&Aや資源権益確保のための
融資も含まれるすると謳われてはいるものの、介入資金枠であることは明白。

また持ち高報告については、東京市場で取引の多い銀行や証券会社など30社に
毎日報告させるとするもので、1998年の外為法改正以来初となるもの。
しかし海外市場の取引参加者は対象外のため、実効性は薄い。

今回の対策は8月19日のNY市場で、75.95円をつけたことで、いつでも対策を
打ち出せる(随時介入できる)ようにと急遽作成された経緯がある。
菅首相もようやく退陣を発表し、時期首相が誰になるかに日本中が喧々愕がくである。
こうした中で、8月29日の民主党代表選挙で政治空白が生じれば、円高・ドル安の流れが
加速するリスクはあるにはある。

日本の中には依然として「政府による市場介入絶対論」が残っている。
しかし市場介入、特に単独市場介入の効果については、欧米では完全に否定的である。
1日に少なくとも300兆円は動く為替市場において、7.6兆円の介入があったとしても
その効果は一時的である。

また日本の経済界に奥深く根付いている「円高・ドル安が日本経済にマイナスである」
という考え方も時代遅れであろう。
大企業は拠点の海外移管を完成しており、海外からの輸入サイドとなれば、
円高の効果は絶大である。

確かに中小の輸出産業には打撃には違いないが、こうした大きな流れを想定し、
全体的なシステムの再構築を終了しているのが企業としての使命でもある。
グローバルな時代に、円高を逆に享受するといった戦略が必要である。
逆に、そうした再構築ができない企業は自然淘汰されるのもまた時代の流れではある。

同じ8月24日、米国の格付け会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、
日本国債の格付けを最上位から3番目の「Aa3」(ダブルAマイナス)に1段階引き下げたと
発表した。

海外の格付け会社の評価などに殊更深刻になる必要はないが、
日本が中国やチリ、サウジアラビアと同格であるとの見方をされているのは、
日本国民として残念である。
根幹には今回のような時代遅れの対策がマイナス評価されたと見るのが自然である。

日本の円が買われるのもごく一時的なものと考えている。
日本の財政赤字が、個人資産の1400兆円を超えた時、日本は現在のギリシャ状態になる。
それはすなわち円の暴落の時を迎える時である。

もう一度、相場を大自然と考える時である。
東日本大震災で、想定外の津波が日本人の常識を木端微塵にした。
すなわち、円の大暴落の可能性は“想定内”として考ておく時のようである。