2012年01月29日

スポーツ選手の価値と値段

最近の日本のスポーツ界では、
ダルビッシュ・有の巨額トレードが大きな話題になっている。
確かに1人の人間の才能に対して、総額85億のカネが動く世界は異常ではある。
たかが野球、されど野球。しかし事実は事実である。

一方で、一般的には目立たない、日本ではマイナーと言われる分野での動きも
目立っている。
まず卓球。
日本では「温泉旅館での卓球」が定着しているが、卓球のTV中継を見られる方も
少ないとは思う。だが、入っていけばそれなりに面白い。

1月22日の全日本卓球選手権。鮮烈な新チャンピオンの誕生だった。
5連覇中であった本命中の大本命・明治大学・水谷隼(じゅん)を、
高校三年生の吉村真晴(よしむら まはる)がフルセットの末破って、
チャンピオンの座についた。

3-3で迎えた最終ゲーム、7-10から5ポント連取の勝利は圧巻だった。
高校生がそこまでやるか?って世界が始まっている。
草食系と一括りにされる日本の若者も捨てたものじゃないな、と思わせた瞬間だった。

そして全豪オープンでの錦織圭(にしこり けい)の8強入り。
男子テニスなど世界に通用するとははなから思っていないので、期待もしないし、
またされてもいなかった。
テニスと言えば、松岡修造の不必要な元気が目立つ、そんな(不思議な)人間の
俳諧する世界と思っていた。
1月25日の準々決勝も、どうせって感じでライブ放送を見ていた。

結果は3-0のストレート負け。
だが実力の差はほとんどないと思わせるようなジュースの連続だった。
世界ランク4位のアンディ・マレーは191㌢。世界ランク26位の錦織は(公称)178㌢。
その身長差のハンデを感じさせない熱戦だった。
今回の活躍により20位以内が確実視されている錦織は22歳。
25歳までには世界制覇もできるのではないかと思わせる、
ある種のオーラが出ていたように思う。

そしてダルビッシュ・有。
元ヤンキースの55番・松井の衰えが目立ち、今や行き場所さえもなくなり、
イチローの影も薄くなり、レッドソックスに入団した松坂大輔がイマイチで、
日本球界全体のレベルが疑問視されている昨今だが、
入札金を含めて1億1千万㌦(85億円)という金額には、ひたすら驚くしかない。

確かに今の日本の球界で、ダルビッシュを超える投手は見当たらない。
いるとすれば、楽天の田中将大くらいだが、
球速ではなく8種類と言われる多彩な変化球で、メジャーを制覇できるか否か。
金額に見合うだけの活躍ができるか否か。

IT化が顕著に進んでいる昨今、世界中のスポーツが楽しめる時代。
“日本では云々”という時代ではない。
世界の一流の選手が競いあう中で、その中身(コンテンツ)が問題になっている。
結局は「いいものはいい」のである。至って素直なロジックである。

スポーツという本来は純粋であるべき世界に、巨額のカネが乱舞することで
シラケる部分は否めない。
とは言え、ドン詰まり感のある日本の政財界を尻目に、世界に勇躍する日本の若者がいる。
ある種の光明を見出しているのは自分だけではないと思う。


2012年01月22日

「欧州危機」の検証

2008年のリーマン・ショック以降、「お金をばらまけば景気が上向く」という、
(意味を曲解した)ケインズ主義が横行した。
目的はとりあえずお金をばらまくことであり、
長期的な雇用や需要の創出は念頭になかった。

ばらまきが目的だから必然的に財政赤字になる。
しかし景気は思うようには回復せず、財政赤字だけが膨らんで、
当然ながら財政危機に陥る。
そうなると景気はそっちのけで、赤字削減だけに関心が持たれる。

赤字削減には歳出の削減と歳入拡大の二つしか方法がない。
経済が拡大しなければ所得も消費も増えず、税収の必然増も望めず、
歳入拡大のためには増税しかない。
ところが「増税は景気冷やす」と信じられているから、増税はできない。
そのため大幅な支出削減が行われ、雇用を支えていた公共事業や公務員が削減される。

最終的には雇用が減るから生活不安で必然的に消費を減らす。
景気が冷えて歳入が減るから財政は更に悪化する。
かくして堂々巡りの不況の袋小路に入り込んでいく。
最大のポイントはお金をばらまけば景気を支えられると信じたことによる。
欧州のギリシャ、イタリア等は全てこのパターンである。

現在の欧州は、国家の債務危機(ソブリンリスク)と金融危機が絡んで、
更に厄介なものになっている。
まず第一に、先進国から新興国への歴史的なパワーシフトの中で起きている。
最近特に強調される「西洋の没落」が現実味を帯びている。
古代ギリシャ、ローマ帝国という欧州文明の源流が危機の震源になったのも象徴的である。

第二に、肥大化したマネー資本主義が危機を増幅・加速している。
超金融緩和の元で、マネー経済は実体経済を大きく上回って膨らんだ。
世界のヘッジファンドの雄ジョージ・ソロスをして「大量破壊兵器」と呼ばしめた
CDS(クレジット・デフォルト・スワツプ)は、
破綻リスクを避けるという本来の機能を逸脱し、投機商品化した。

第三に、市場と国家との時間差が広がっている。
短期勝負をかける市場に対して、時間をかけて手続きを踏むのが民主主義である。
特にユーロ圏の運営は加盟17ヶ国の民主主義の合意に基づく。
時間差はますます広がる。
そして「ユーロ崩壊」とする自己充足的予言の大合唱が、
危機を実態以上に深刻化させている。

問題解決に向けた道は二つ。
ひとつはギリシャ、イタリア等の問題のある国をユーロ圏から切り離す。
もうひとつは独仏の継続的な援助と労働者の全面受け入れである。

そして英国も大きなカギを握る。
メルケル英首相は「ユーロに加盟していなくてよかった」とほくそ笑む。
また国際通貨基金(IMF)融資にも非協力的である。
今は亡きチャーチルは「欧州合衆国」の演説で、
「欧州という家族を再建するには独仏協調である」
「楽観主義者は困難の中に好機を見出す」
と強調した。

歴史的な危機の中で、欧州の結束が必要な時である。

2012年01月15日

「日本は別」という安心感の落とし穴

年始早々、円は対ユーロで100円を割り込んでいる。
対ドルに関しても76~77円の歴史的な円高水準を保ったままである。
巨額の財政赤字を抱える日本の円が選択される状況にリスクはないのか。

財政赤字はほとんどの先進国に共通だが、経常収支との組み合わせで
3つのグループに分けられる。
まず経常収支も赤字で、海外からの資本に頼らざるを得ない国。
ギリシャを筆頭とする欧州の重債務国が典型である。

次に経常赤字だが、基軸通貨国の特権で海外資金が比較的容易に還流する国。
ご存じ20世紀の最終勝利国の米国である。
ユーロ不安から資金還流が増え、ドルの実効レートは昨年夏以降上昇し始めている。
また最上級の格付けを失っても、米国債の利回りは戦後最低水準に低下している。

そして経常収支が黒字である日本やドイツ。
日本の政府債務残高は名目国内総生産比で200%を突破し、ギリシャをも上回る。
それでも長期金利が低水準でいられるのは、この経常黒字のたまものである。

そして経常黒字と表裏一体の関係にある家計と企業の貯蓄のおかげで、
日本国債の95%は国内で消化している。
しかも消費税が20%前後の欧州と違い、5%の日本には増税の余地がある。
「日本は欧州とは別だ」論はこのあたりを根拠にしている。

しかし昨年11月と12月にIMF(国際通貨基金)は立て続けに警告を発している。
まず高齢化に伴う貯蓄の取り崩しで、10年以内に政府債務残高が個人の金融資産を
上回るのは確実の状況であり、東日本大震災と円高の長期化による営業活動の
海外シフト化による、日本国債の暴落の可能性を指摘している。

怖いのは、企業が膨大な余裕資金を持て余す結果、銀行を経由して日本国債の受け皿
になるというこれまでの構図が急速に変化し始めていることであり、
そしてそういう状況に金融関係者が無関心を装っているように見える点である。
2011年10月までに日本を巡る直接投資収支は6兆円の流出超で、前年同期2.2倍。
その間の経常黒字額をも上回った。

「日本は別だ」という考え方は、
ユーロ危機の最中に円が「安全資産」として買われ続けたことで醸成された面もある。
しかしそうした円買いの実態は、いつでも売却できる短期国債であり、
日本株については外国勢による売り越しが続いている。

IMFが指摘した財政赤字縮小の遅れを海外勢が実感するようになれば、
というよりは、短期データ中心のコンピュータが感知してしまえば、
資金は瞬間に日本から離れていく。
コンピュータが全てを行う現在の金融世界には“情け”も“容赦”もない。

結果的に日本は、円高の長期化に乗じて海外シフトを行い、
その一連の作業を終えた時点で超円安の時代を迎える、
つまりはダブルパンチで日本は損害を被るといったシナリオは当然考えておかねば
ならないのである。

世界経済が歪になっている。
2012年は世界的な政権交代の時期でもあり、大波乱の年と考えた方がよさそうである。
特に3月と6月は注意しなければならないようである。

2012年01月09日

快晴な日々

新年が明けてから、アッという間10日が経ちました。
2012年もあと355日。
こんな言い古されたギャグも空しくなるように、時間が経っていきます。

実家から帰ってきたのが6日。
東京は快晴な日々が続いております。
「快晴の」ではなく「快晴な」日々であります。
空はあくまで青く、隅田川の水も群青色に見えます。

西高東低の冬型の気圧配置の日本では、日本海側が雪、太平洋側がカラカラの快晴と
いうパターンが続きます。
この時期の実家方面は、一晩で状況が一変致します。
晴れてたかなと思ったのもつかの間、コンコンと雪が降り積もって、銀世界に相成ります。
銀世界という単語を使うと、まさにエレガントな風景を連想されるようですが、
空は灰色で、薄暗く、あたりがシンと静まりかえり、何か押さえつけられるような
陰鬱な世界が広がっていきます。

こんな時、決まって思い出すのがスイス・ジュネーブの世界。
今から20年くらい前、スイスのジュネーブに1週間滞在しました。
ご存じのようにレマン湖に面した観光地。
表面上は金融のセンターということになっており、その意味での(建前上の)出張を
兼ねることにはなりますが、本音を言えば、風光明媚な観光地で一息つく、って塩梅
になります。

何はなくとも晴れた空と、それをしなくてどうすんだ、
とばかりの(レマン湖に沿った)ランニングコースが整備され、
早寝・早起き、早朝のランニングを澄ましてから戸外での朝食が最高のご馳走という土地柄。

そして夕方も、他にやることもないので、再度走って、冷たいビールから始まる“飲み”の
世界を堪能するという、至って健康的な雰囲気であります。
今はどうか知りませんが、食い物は正直美味しくありません。
何かカッコばっかの油ばっかの料理のオンパレードで、味噌・醤油そして大根おろしの
ような日本的な料理は、まず期待できません。

でもなぜレマン湖を思い出すかというと、その絶対的な太陽の輝きが、
そして周辺の澄んだ空気が最高だったからに他なりません。

また気が向けば、乗客が自分ひとりになる可能性大の高原列車に乗り、
ローザンヌまでの小一時間の小旅行も堪能できるのであります。
当時のローザンヌの駅前には、たった1軒、小さな日本料理店があり、
日本語で「美味しい昼ごはんできてます」という短冊が掲げられ、
ヒラヒラとはためいていたことが忘れられません。
滞在した1週間のうち3日はその日本料理屋でランチしたことも強烈に覚えています。
東京で言えば、昼飯を食うのに箱根までいった、ってことになるでしょうか…

で、何を言いたいんだ?とおっしゃるのであれば、多少は寒くても、太陽が輝く場所は
いいという、たったそれだけのことであります。
自分の住まいする佃地区からは東京スカイツリーの雄姿も堪能でき、
大都会・東京での生活は決して楽しいことばかりではありませんが、
やはりこうした冬を過ごせる場所を離れたくないと思うのであります。

こんな夢みたいなことばかり言ってられません。
ユーロを中心に、金融市場が大荒れになっています。
また現実の世界に戻らなければなりません。
それでは、ってことで…

2012年01月03日

謹賀新年

本ブログにアクセス戴いている皆様、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

いつものお正月とは思いますが、如何お過ごしですか?
年末年始には携帯メールがつながり難かったようですが、皆様は如何だったでしょうか?

こちらも、実家での相変わらずのお正月を過ごしております。
元旦&2日は実弟と、飲んで、食って、寝て、少し仕事をして、という、
何等の変化もない、淡々としたお正月をしております。

オトコ同士の、特に兄弟の“飲み”は長くは続かない。
夕方の早い時間からそろそろヤルかと飲み始めて、少々酔って、雑煮を食べて、
もう寝るわ、じゃあな、バタンキュ~という、至ってシンプルなパターン…
そして12時頃からムクムク起き出して、メールチェック等のそれぞれの仕事をするという、
母親に言わせると、何とも素っけないパターンではあります。

周囲の風景も相変わらずです。
人が住んでいるのかいないのか、言うところの、シーンと静まり返ったパターン。
これでTVの音を消そうものなら、全くの静寂の世界が広がります。
だからとりあえずはTVはつけっ放しにしております。

窓の外からは富山湾や能登半島が見えてりおりますが、冬独特の白波も立って、
いかにも寒そうな風景が広がっております。
森昌子の“越冬つばめ”の風情です。
シュルリー、シュリ・シュララ~の、あの切ないメロディが浮かんできます。
薄ら寒くて、ドヨ~ンと薄暗い、北陸独特の冬の風景ではあります。

ところで、今年の新春は、為替市場の動向を注目せざるを得ないようです。
ご存じのように、昨年末にはユーロが100円を割り込んでおりますが、
消去法とは言え、何でこんなに円が買い込まれるのか...

多分、PCに頼り切る最近の金融界で、短期勝負専門のアルゴリズムが円買いを
主導しているものと思われますが、日本の昨今の政財界の動きを見れば、
現状の円を買うことが如何にリスクがあるかを認識せざるを得ないはず。
“想定外”の大ドンデン返しの可能性は考えておかねばならないようです。

とは言え、実家方面におりますと、そんな大きな動きも、それってどこの話って
ことになります。
確かにそうですね、これだけ淡々とした時間が流れていれば、世界の為替の動き
なんてどうでもいいや、ってことになりますね…

ここまで書いて、気がつけば午前7時。
白々と夜が明けてきました。正月3日目の朝です。
東京箱根間往復大学駅伝競走、通称箱根駅伝の復路の中継も始まりました。
東洋大学の総合優勝は間違いないとは思いますが、
“W”マークも第二位を死守しておりますので、楽しみに応援したいと思います。

それでは皆様、引き続き楽しいお正月を過ごして下さい。



カテゴリー

アーカイブ

最近のコメント