2013年07月27日

自民一強時代への不安

7月21日の参院選。
大きな流れは変わらなかった。
午後8時の開票と同時に、自民議員の当選確実のテロップがTV画面に連発した。
昨年の衆院選や6月東京都議選の結果をなぞったような圧勝だった。
予想されたとはいえ、ある意味シラケた選挙だった。

安倍政権にとって最大の勝因は、
高支持率を維持したまま選挙に突入できたことである。
衆院選では民主政権の年の業績が厳しく問われたが、今回の参院選は政権交代から
から半年余り。株価や企業の景況感が回復する一方で大きな失点はなかった。

衆参両院で連勝した結果、悩みのタネだったねじれも消えた。
「安倍政権の政治基盤は強化される」と見るのが順当な考え方である。
しかしこれまでの大目標であった「参院勝利→ねじれ解消」を達成した今、
この先どう進めていくかは白紙に近い。
言ってみれば安倍政権の正念場はこれからである。

衆院の任期満了は2016年末。次回の参院選は同年夏。
従って、今後3年間は補選を除いて国政選挙がない可能性が高い。
安倍首相の党総裁としての任期切れも2年以上先であり、再選も可能である。

「ねじれ国会」
「1年ごとの首相交代」
「頻繁な選挙」…
政策が進まないことの言い訳にされてきた事案が全てクリアされた結果、
次のテーマが曖昧になっている点は否めない。
与党からすれば「黄金の3年間」、野党にしてみれば「暗黒の3年間」の始まり。
だが、果たして「実りある3年間」になるか否か。

それにしても民主は(予想以上の)ものの見事な惨敗だった。
再建どころか、霧散する流れである。
鳩山・菅元両首相の除籍問題も俎上に上がっている。
だが何を今更、という感じである。
昔の学生運動さながらに、まさに末期的な症状を呈している。

その他の野党も状況は同じ。
日本維新の会とみんなの党は議席を増やしたものの、10議席に届かず伸び悩んだ。
「自民党一強時代」に向け、維新を中心に野党再編が言われ始めているが、
ガヤガヤするだけで全くの闇の中。
生活の党、社民党、みどりの風はもはや政党の域に達しない”問題外”。
特に生活の党は、小沢一郎代表の岩手選挙区でも議席が獲得できなかった。
「老兵は消え去るのみ」というフレーズが使われる始末である。

こうした野党全滅状態の中で、唯一議席を伸ばしたのが共産党だった。
民主惨敗の中で、非自民の受け皿となった格好で、京都選挙区で議席を獲得するなど、
1998年以来の議員増となった。
“漁夫の利”といったところだが、何か空しい展開ではあった。

かの世界的な投資家、ジョージ・ソロスは
「米オバマ政権にねじれがあるからこそ米経済は再生する」と言い切った。
「ねじれの政権に与える緊張感が成長を生む」と分析するのである。

こうした米国に対するロジックは
「ねじれ解消による緊張の緩みが安倍政権の落とし穴になる」ことを告げている。
痛みを伴う改革の後退、党内の不和等など…
これまでの緊張感が持ち続けられるかどうか、何か怪しい。

戦いすんで日が暮れて….
さぁて日本はどうなるんですかね、といった漠然とした不安感を持つのは
自分だけだろうか….

2013年07月20日

史上最悪の選挙風景

選挙情勢のアナウンスには二つの効果があると言われている。
「バンドワゴン(勝ち馬志向)」と「アンダードッグ(判官贔屓)」である。

今回の参院選挙、公示された段階で与党大勝と報じられた。
こうした雰囲気の中、自分の選挙に関する興味は全くなくなっていった。
原因ははっきりしている。民主党政権がひど過ぎたからである。

「一度民主党に政権に就かせて、だめだと思ったら自民党に戻せばいい」。
じゃぁということで、後先考えず安易に、全く無責任にやらせてみたら
余りにひどく、日本国民は完全に愛想をつかした。
民主党が政権の座にあった3年3カ月、国民には「騙された」という怨嗟の
うめきが漏れ続けた。日本国民の考えが甘かったのである。

民主党政権という「壮大な空騒ぎ」の立役者は、鳩山由紀夫、菅直人、
小沢一郎元代表、そして「トロイカプラス1」の輿石東の四氏だった。
全体的に流れた雰囲気は、
「権力を手にすると自分自身も偉くなったと勘違いする『成権主義』」だった。

動物生態学者、コンラート・ローレンツの著書「ソロモンの指環」によると、
「平和の象徴」とされる鳩は実は非常に残忍で、
仲間内で攻撃を始めると抑制が利かないのだという。
民主党初代首相の栄誉を担った鳩山由紀夫氏の破壊活動と攻撃性は、
政界引退後もとどまるところを知らない。
日本を貶める発言が相次ぎ、もはや害鳥と言われても仕方のない状態である。

次いで民主党二代目首相・菅直人氏。
氏の論評については、来春から使用される高校歴史書(山川出版社日本史A&B)
からの抜粋を紹介したい。
「震災処理の不手際もあって菅内閣は同年8月に総辞職に追い込まれ、
かわって野田佳彦が組閣した」
「菅内閣は、放射能汚染情報を十分に国民に開示しなかったことや、
復興計画の立案と実行が遅れたことから、国民の批判を浴びて倒れた」

中国・戦国時代の韓非子は、
次のような人物を君主(トップ)にしたら国が亡ぶと警告している。
曰く
「君主がせっかちで気が短く、軽率で事を起こしやすく、すぐに激怒して前後の
見境もなくなる人物」
「君主がねじけて人と和合せず、諫言に逆らって人に勝つことを好み、
国家のことを考えないまま、軽率な行動で自信たっぷりという人物」

もし野田佳彦前首相が昨年11月に衆院を解散せず、
今もだらだらと民主党政権が続いていたらどうなっていただろうか。
断言はできるはずもないが、日本経済回復のきっかけも掴めないまま、
国民の政治不信、政治への絶望が増幅していたことは間違いない。
また中国、韓国などの近隣諸国も、国力も国際影響力も弱まっていく日本への
攻勢を更に強めていたこともまた間違いない。

結局、民主党三代目首相の野田佳彦氏についても、
鳩山由紀夫、菅直人の両元首相があまりに「人間離れ」していたため、
比較的まともに見えただけだったのかもしれない。

日本国民は、一生のうちそう何度もすることのない“壮大な実験”を敢行し、
その実験がものの見事に失敗したことを肝に銘ずべきであろう。


2013年07月13日

金バブルはじける!?

金(GOLD)関連の論述をする際、いつも思い出すことがある。
経済学部の大学院に在籍していた頃、近い将来、金の動向が世界経済に多大な影響を
及ぼしますよと言ったら、金融論で名高き某有名教授から一笑に付されたことである。
確かに当時の金は低迷、底値近辺をウロウロしていた。
ところが以降10年、金価格は快進撃を続けた。
その教授は既に退任されているはずだから、今更とやかくいうこともないが、
日本の経済学部の行く末に不安を持った要因となった。
もう日本の経済学は世の中の役に立たないのではないか…

国際的な安全資産とされる金の先物相場が急落している。
2011年9月につけた最高値・1トロイオンス1923㌦から4割近く下がり、
6月末には1179㌦と2年11カ月振りの安値をつけた。
米国が量的緩和の縮小を探り始めたことで、
国際商品へのマネー流入が転機を迎えていることになる。

背景には高成長を続けてきた新興国の変調がある。
例えば金の世界需要の約3割を占める中国が、個人消費も生産活動も勢いがなく、
「シャドーバンキング(影の銀行)」を中心とした金融リスクが燻っている。
影の銀行に資産を投じた個人や企業が、今後資産を毀損した場合、金を換金売り
するとの観測も根強い。
その他新興国でも、電線などに使われる銅や建材用アルミ、
自動車の排ガス浄化装置向けプラチナの需要も鈍い。

6月18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米景気回復と量的緩和の
年内縮小が確認されて以降、商品相場の下落に拍車がかかった。
世界がリーマンショックと欧州債務危機にさらされた08年以降、
日米欧の金融緩和で溢れかえったマネーが国際商品市場に流入した動きが止まった。
基軸通貨ドルへと向かい始めたのである。

さて日本における金ブームについておさらいしてみたい。
最初の自由化は1953年。
政府は歯科医療向けに限定していた販売を自由化する。
これによって宝飾品などの需要が台頭していく。
また50年代後半から消費財を中心とした工業用途の需要も急増、
国内市場で供給不足に陥り、政府は230トン超の輸入金を市場に供給するに至る。

ついで1978年、輸出も自由化される。
貴金属各社が大量の金の買い取りを迫られたからである。
その後1982年、銀行や証券会社が金の窓口販売を開始したことで、
第二次石油危機に向かうインフレの時代と重なって急速に取引が拡大していく。

日本の金の輸入量は1980年代にピークを迎える。
昭和天皇在位60年記念金貨を発行するため政府は300トン強の金を輸入、
86年の輸入量は600トンを超える。
ただバブル崩壊と共に輸入量は急速に減り、2001年には流出国に転じる。
国際価格が1トロイオンス1000㌦を超えた08年の流出量は360トンに達した。

金市場には「金は勢いのある国に集まる」という定説がある。
その定説に従えば、「日本のピークは80年代後半だった」ということになる。
輸入自由化から日本人は2千トン近く金を蓄えたことになっているが、一転、
その金は流出を続けている。

最後にテクニカルからみた金価格について考えてみたい。
1973年1月、田中貴金属が初めてつけた投資用地金の価格は1グラム825円。
825円の5倍が4125円、7倍が5775円。
一方ドル建て価格については2001年1トロイオンス250㌦がここ20年の安値。
その5倍が1250㌦、7倍が1750㌦。
この理論値をベースに考えれば、ドル建て金の急激な価格修正は理に適っている
ことになる。確かに金バブルは弾け始めている…

2013年07月08日

参院選自民大勝ムードの中で

7月4日に公示され、いよいよ参院選が始まった。
とは言え、「何か緊張感に欠ける」と感じるのは自分だけだろうか。

2012年12月の衆院選で大勝した自民党は、
6月23日投票の都議選でも圧倒的な勝利を収め、
アベノミクスの風に乗って参院選も一気に駆け抜けそうな勢い。
何のかのと言っても、どうせ自民か…という気の抜けた状態になっている。

最近の世論調査では、内閣支持率と自民党支持率の和は66%+51%で117と、
選挙で大勝する時の「勝利の方程式」とされる100超の水準。
ただ自民絶対優位のふわふわしたムードがどこまで票につながるかは
読み切れないのもまた現実である。

最近「そのつど支持」層が注目を集め始めている。
特定の支持政党を持たずに、選挙の度に一票の使い道を考える層のことである。
そして「そのつど支持層」のど真ん中にいるとされるのが
1947年から1949年生まれの団塊の世代。
1年で200万人以上いて、未成年の年次と比較すると倍であり、投票率も高い。

以上が
「最近の国政選挙の行方は『その都度支持』化した中高年の動向で決まる」と
言われる所以である。
しかしこうした“いびつの形態”で日本の政治が決まっていいのだろうか。

そこで考えられたのは投票年齢を引き下げる案。
仮に今日の世界で一般的な18歳や、欧州連合が提案する16歳にしたとしても、
数ではかなわない。
それでは、と登場したのが「ドメイン投票法」である。
これは米人口学者のポール・ドメイン氏が提唱した投票法。
例えば2人の子供を持つ夫婦はそれぞれ自分の1票とあわせ2票を行使する。
1人なら両親が0.5票ずつプラスされる。
このドメイン投票法は欧州で政治テーマになり、
ドイツでは2回にわたって動議されたが否決された経緯がある。

かくしてなし崩し的な自民大勝ムードから、
本来の選挙方法についてもいろいろな考え方が派生し始めているが、
最後に重要なテーマである「参院選で日本の金融市場はどうなるか」
についても考えてみたい。

海外勢は「自民圧勝=アベノミクスの継続=株高・円安」のシナリオで
動いているようである。現に参院選公示直前の6月末あたりから、
円安(100円突破)・株高(13,000円をクリア)状態になっている。

考えられる材料として、自民党は公的に投資減税を明記し、
海外企業の対内直接投資残高を現在の2倍の35兆円に増やす目標を掲げている。
その他、株価の押し上げを期待できる政策は総じて円売りの材料とみなされ、
また長期運用を主とする年金も「内需拡大・脱デフレ」を見込んで中長期的な
円売りに動き出すとの見方も大勢となっている。

ただ一方で、自民党が地滑り的な勝利を収めた場合、中韓の外交問題が深刻化し、
安倍内閣の経済拡大構想が頓挫するとの考え方も根強い。
そこで浮かぶのが相場の名言「Buy the Rumor Sell the Fact」。
騒ぐだけ騒いで、結局は「何も起こらない」「元の木阿弥」。
これががいつもの日本の国政選挙に絡む相場パターンだが、さて…


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