2013年11月30日

「デビットカード」の時代

ご存じのようにデビットットカードは
「買い物の際に購入代金がすぐに預金口座から引き落とされる」システムを採る。
そのデビットカードの導入が拡大している。

デビットカードの最大の特徴は、
「買い物をし過ぎて支払いが滞ることのない」ことである。
つまりは「買い物は預金残高内に限定される」ことになる。
必然的にデビットカード発行には、クレジットカードを持つ際に必要な審査が
要らないことになる。

日本においてクレジットカードが蔓延したのはバブル時代。
利用限度額を徐々に拡大し、時には無制限(=青天井)というのもあった。
そして引き落としの際に資金不足となる場合が多かったから、
銀行ローンや消費者金融に頼るという流れになった。
1980年代後半から、消費者金融が拡大していった背景には、
クレジットカードの拡大があったのは否めない。

こうした“悪のスパイラル”の中で、
クレジットカードの発行に際する審査は徐々に厳しくなっていった。
要はクレジットカードはある意味の“貸出(業者)=借入(消費者)”に
なるからである。
それでも年間手数料や、10%を超えるクレジット専用ローンの“うまみ”があり、
銀行とカ-ド会社の拡大戦略は続いてきた。

2012年度のクレジットカードの利用額は約34兆円。
かたやデビットカードの利用額は6000億円。
大きく水をあけられてはいるが、クレジットカードに係る“貸出リスク”を
考えれば、そうした一連のリスクのないデビットカードの拡大は必至。

このデビットカードで先頭を切っているのがVISA。
世界で20億枚の発行を誇る。
このビザデビットは、今年から三菱東京UFJ銀行など三行が発行を始めた。
JCBも来年から300万枚規模を目標に発行を始める予定。

クレジットカードの「後払い」、プリペイドカードや電子マネーの「先払い」、
そしてデビットカードの「即時払い」を比較した時、
「後払い」のリスクは歴然である。
結局は「利用限度枠=現金保有額」にはならないからである。
つまりは最終的に「融資枠の必要性」が出てくるからである。

プリペイドカードは東日本旅客鉄道の「スイカ」が先鞭を切り、
全国10種類の交通系ICカードは発行枚数は8000万枚。
完全に根付いた。
それは発行に審査が必要でなく、利用限度は「先払いした額」に
限定されることも大きい。事故の起こりようがない。

同様にデビットカードは「利用限度額=預金保有額」となり、
必然的に利用限度が決定される。
これもまた事故の起こりようがないのである。
こんな簡単なロジック、
どうして優先されなかったか不思議と言えば、不思議ではある。

かくして一般企業に銀行業が解放された結果、
従来の銀行が固執してきた小難しい論理は雲集霧散し、
利便性・安全性が見直された結果、従来の銀行の“(上から目線の)殿様商売”は
次から次に消え去る流れになっている。
これも時代の流れではある。

2013年11月23日

「食品偽装」のロジック

まず「偽装」とは何か。
角川・国語辞典に拠れば、「みせかけること」「ごまかし」「カモフラージュ」
と定義する。

「食品偽装」が問題になったのは、10月下旬。
阪急阪神ホテルズで大規模な食品偽装が発覚して以来、各地で次々と同様の例が
明らかになった。
この際だからと、“便乗する”ムードが広がり、全国的な流れになった。

帝国ホテル、ホテルオークラ、ホテルニューオータニの「ホテル御三家」や、
高島屋、三越伊勢丹、大丸松坂屋、そごう・西武の「四大百貨店」、
さらに美濃吉やつな八などの老舗でも偽装が発覚した。

なぜこのような偽装が蔓延したか。
簡単なロジックである。
ホテルなどの料理人は調理は勿論、食材の調達も任せられる。
経営者側から安い食材を仕入れて高く売ることを要求される結果、
偽装食材を使って経営者の要求を満たすこととなった。

また高級店の料理人は、別のホテルや旅館のレストランから引き抜かれるのも
日常茶飯事。
その際、食品偽造のノウハウまで移籍先に持ち込むことが多かった。
また料理人が引き抜かれても、残ったスタッフに偽装のノウハウが伝承された。
かくして食品偽装が拡散していく。
「業界の慣習」として偽装を正当化してきたのが現在の業界の姿ではある。

一方消費者は、ホテルや百貨店のブランド価値に対して割高な料金を支払ってきた。
その絶対的な(ブランドに対する)信頼が崩れることにはなった。

こうした偽装がまかり通ってきた最大の原因は法律の不備にあった。
スーパーなどで市販される食品については食品衛生法や食品表示法が適用される。
しかし外食産業の場合は「対面販売のため店員から直接説明を聞ける」等の理由で、
この法律が適用されない。

外食産業の偽装を取り締まる法律としては、不正競争防止法と景品表示法がある。
前者は刑事罰を定めてはいるが、先例に乏しく、責任の所在が経営者、仕入れ担当者、
調理担当者のうち誰なのか、曖昧で立件が難しい。

一方、商品の不当表示を罰する景品表示法は先例が多く、
今回の一連の偽装はこの景品表示法が適用し易い。
しかし罰則は軽く、消費者庁から是正指導があるに過ぎない。
企業側は指導に従えばそれ以上の責任を問われることもなく、返金義務も発生しない。

この一連の偽装問題が起きて「ほたるいか(産地)偽造」問題を思い出した。
ほたるいかは富山湾の特産とされている。
特に自分の生まれた「滑川(なめりかわ)ブランドは」築地市場でも定着している。
顛末としては、富山湾以外の県で獲れたほたるいかを富山湾産として販売し、
その産地偽造が問題となり、県知事が記者会見をするまでの大問題に発展した。

幼少の頃から、飽きるほどほたるいかを食した者にとって、
滑川産だろうが隣の魚津産であろうが、はたまた他県であろうが、
ほたるいかは所詮ほたるいかだろうと、その一連の騒動に苦笑した。
日本は何と幸せな国なのかと…

結局、安くて美味しいものをそれなりの店で食していれば問題がないように思う。
ブランドを追っかけても仕様がない…
食の安全・世界一の日本における偽造問題提起は、日本が幸福でかつ裕福な国である
証左と思うが…


2013年11月16日

世界を回り始めた回転ずし

「和食」が年内にも世界無形文化財に登録される見通しである。
「和食」は数多くのジャンルがあり、(日本人にとって)一括りするには余りに
曖昧で無茶な話に見える。
だが、日本の伝統と固有の文化が世界に認知されたとすれば、
まずはめでたいことではある。

そしてその和食の中で、世界中で一番人気なのが「SUSHI=すし」である。
「日本のすし」は、生の魚をベースとして、
その技術の取得には相当の年数が必要な、あくまで職人の世界であり、
外国人が早々簡単に入れる世界ではなかった。

「生の魚を食す」にはリスクがあり、今も昔もすし作りの作業は丁寧で、
素早い技術が必要である。
今から30年ほど前、試しにと、海外の(日本人以外が経営する)寿司屋に入って、
何やら生臭いすしを供されて、早々に退散した覚えがある。
香港やシンガポールでの体験。
心の底から怖いと思った。

ところが最近、
「しゃり」をつくるロボットが登場し、回転レーンが出回るようになって、
海外でも「回転ずし」として簡単に取り込まれるようになった。
例えば鈴茂器工の「しゃり玉ロボット」はご飯の密度を20段階で自在に作り分ける。
ちなみに一台130万円。

そして回転レーンは、最大手の北日本カコー(金沢市)の独壇場で、
全体の70%のシェアを誇る。
通常の3倍の速さの「特急レーン」や、つなぎ目をなくした「清潔レーン」などを
次々開発してきた。
こうなってみれば、ある種の“文化革命”ではある。

こうした回転ずし人気の背景にあるのは、世界各地の多彩な食材を飲み込む
食文化の柔軟性である。
世界各地の味覚を受け止め、独自の進化を始めている。
例えば韓国では、「ひらめのキムチのせ」やら「カルビ焼肉」、
タイでは「カニかま握り」、豪州では「チキンとアボガドの握り」などが人気である。

回転ずしの日本の市場規模は2012年で4700億円、この10年で2倍に成長した。
世界の流れをみてみると、日本食専門のレストランは欧州で5500店、
北米で17000店、アジアでは27000店。
ここ3年では北米では微増だが、欧州やアジアでは倍増している。

日本における回転ずしの店舗数は(推計で)1050店。
そしてアジアでの回転ずしは日本以外の外資を含めて370店余り。
だがここ3年、増加傾向が顕著で、東南アジアだけで日本の2倍の1兆円市場に
なるのも近いと言われている。

幸運にも、世界最大のすしエリア・築地の至近距離に住まいし、
世界一新鮮で、安価で、美味しいすしを堪能している。
従って回転ずしを上から目線で見る傾向にある。
何だ、回転ずしかよ…

とは言え、職人を雇えば1人年間500~600万円かかる恒常コストを考えれば、
一連のすしロボの導入で、他の外食よりも運営コストが1~2割低い回転ずしも
無視できなくなっている。

これまで「すしは築地」「築地と言えばすし」と決めつけてきた。
しかし完全にパッケージ化された回転ずしは「海外でも稼げるビジネスモデル」と
位置付ける必要がありそうである。

2013年11月10日

戦い済んで日が暮れて...

この1週間の間に日米双方で、バタバタと野球シーズンが終了した。
野球がお好きでない方には関係ない話だが、
昨今の訳の解らない・内容の薄いドラマや、お手軽なお笑い番組に失望し、
飽きてしまった自分には“暗黒の日々”の到来である。

米大リーグ(MLB)では10月30日(日本時間11月1日)、
レッドソックスが8度目のワールドチャンピオンに輝いた。
(元巨人の)上原浩治が最後の打者を落ちる球で空振り三振に打ち取り、
夜空に向かって高々と人さし指を突き上げた。
歴史に残る“強烈な”パフォーマンスだった。
2009年の(ヤンキース)松井秀喜のワールド・シリーズMVP獲得と同様、
後世に語り継がれることになろう。

次いで11月3日、
日本シリーズでは楽天が巨人を破り、対戦成績4勝3敗として、
球団創設9年目で初の日本一となった。
楽天・星野仙一監督は、中日・阪神時代を含めて監督として
4度目の日本シリーズで初の栄冠を獲得した。

だが本来は、
(楽天の基礎を固めた)野村克也元監督がその栄誉を受けるべきであり、
(何度も繰り返すが)星野監督の“いいとこ取り”の感は否めなかった。
星野監督の胴上げを見ながら、シラケた方も多かったのではなかろうか。
とは言え、3.11大震災の後遺症づが色濃く残る東北には
(元気づけの)絶大なプレゼントにはなった。

最後発の楽天は「黒字と優勝」という“二兎”をテーマに掲げてきた。
社内公用語の英語化などで経営革新を進める三木谷浩史オーナーが、
今回の優勝で球団経営の常識をどこまで変えられるか。
政府の産業競争力会議で「経営力の向上」を掲げる三木谷氏が、
「経営力で黒字と優勝は可能」という考え方を継続できるか否か。

今回の日本シリーズでは、
第6戦での田中将大の160球におよぶ熱投も話題になったが、
公式戦24勝ゼロ敗の田中の活躍なくしてはパリーグの優勝はあり得なかった。
その田中のメジャー移籍はいまや常識であり、
10年~20年に一人出るか出ないかの逸材・田中が去った後の楽天が“常勝球団”に
なる可能性は極めて薄い。

また「日本一」で選手の年俸が上がり、黒字化のハードルが上がるのも必至。
チームの強さと収益のバランスという球団経営の難しさも浮上する。
24勝ゼロ敗・田中の年俸の高騰は必至であり(噂によれば8億円が提示されているとか)
仮に田中放出で収支が改善しても連覇などあり得ない。

こうした究極のジレンマの中で、
経営者の三木谷氏が海外展開を考えても不思議ではない。
楽天市場は国内市場では確たる地位を築いているが、海外は手薄。
球団が日本一になったことで、日本国内では「楽天」ブランド十二分に浸透した。
「日本一の次は世界一」と考えるなら、
任天堂のシアトル・マリナーズ買収の例もあり、
楽天が「MLB球団の買収」を目論むのもまた自然である。

戦い済んで日が暮れて…
かくして2013年も終わりの感。
何か時間がすざまじい勢いで過ぎていく…

2013年11月02日

米議会に蔓延る“茶会”という摩訶不思議な勢力

2010年の中間選挙あたりから、米共和党では“草の根保守”の
「茶会(ティーパーティ)」といわれる“派閥”が強い影響力を持ち始めた。
47人にしか過ぎないその一団は、民主党のみならず、
従来の保守派共和党議員に対しても、(言いがかりに過ぎないと思われる理由で)
余りに妥協的で穏健過ぎると攻撃を始めたのである。

(赤穂浪士もどきの)その47人は、次第に勢力を拡大、100人超の議員に影響を
及ぼすようになってしまっている。
その47人は10年に成立した国民皆保険を目指す医療改革法(オバマケア)撤廃を
公約して当選してきた。

根源には予備選挙の仕組みがポイントになっている。
米国では(政党法の規定により)現職を含めて、党の公認候補になるためには、
党員による予備選挙で当選することが必要である。
最近の選挙では、穏健で妥協的な共和党議員は、茶会推薦候補から挑戦され
敗北してきた経緯がある。

また小選挙区で戦われる下院選挙区は、州議会によってかなり露骨に党派的に
区割りされる。その結果、共和党かあるいは民主党が有利な選挙区が大多数となり、
接戦となる選挙区は全体の一割程度となっている。

こうした状況の中で共和党保守派議員は、本選挙で対決する民主党候補よりも、
共和党予備選挙に登場する党内右派の方が脅威となっていった。
なぜなら茶会は資金提供など様々な方法で支援する全国的なネットワークを
持っているからである。
そして茶会派候補のほとんどが「これまでの共和党とは絶対に妥協しない」と
公約して、当選してきた。

今回の一連の騒動の中で、下院共和党は、まず予算通過と引き換えに
オバマケア廃案を目指し、さらに連邦政府の借入限度額(債務上限)引き上げ問題で、
大幅な歳出削減を要求して、その引き上げを拒否した。

この一連の行動に関して「瀬戸際政策」「ハイジャック」といった批判が、
民主党ばかりでなく、共和党内部からも沸き上がった。
オバマ大統領も「身代金は支払わない」と応酬したが、
茶会を中心とした共和党極右派が表舞台に登場した最初ではあった。

著名投資家・ウォーレン・バフェットは
「債務不履行は政治における大量破壊兵器であり、絶対に使用されてはないない」
と述べたように、茶会を中心に仕掛けた政治手法に対して、
債務不履行に突入する恐怖が大きくなるにつれ、
共和党支持基盤からも、また共和党穏健派からも批判が高まっていった。

茶会の急進派は、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和への反対のみならず、
FRBの廃止まで要求している。
「茶会とは何ぞや??」「真の目的は何なんだ??」
世界中がいぶかしがるのも無理のないことである。
一時は急場を凌いだオバマ政権も新年になれば、こうした”不思議な一団”との
再戦が待っている。

何ともミステリアスな茶会の行動ではある。
世界の大国・米国も病んでいる…

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