2014年03月29日

学者の良心と、学者世界の実態

理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター(神戸)の
小保方晴子ユニットリーダー(30歳)を巡る“事件”が世の中を騒がせている。

小保方さんの研究チームが発見したとされるのは「STAP細胞」と呼ばれる万能細胞。
「STAP」を「(キムタクらのタレントチームの)SMAP?」と間違ったくらいだから、
詳細は聞きかじりだが、一応説明を加えてみる。

受精卵に近い状態まで逆戻りしたSTAP細胞は、
「あらゆる臓器に成長することが可能のため、再生医療の可能性を一気に切り拓く」
とされた。
先行する類似研究としては、
ノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授によるiPS細胞があるが、
「遺伝子をいじる必要あり、作成に2週間程度かかり、細胞の大半がガン化する」
リスクがあった。
しかしSTAP細胞は
「弱酸性の溶液に浸けるだけで、作成期間も2~7日と大幅に短縮され、
ガン化のリスクも低い、画期的な発見である」とされた。

こうした中でメディアは、小保方さんを
「リケジョ(理系女子)の星」だ「おばあちゃんの割烹着」だと大騒ぎした。
メディアがはまる要素があったのは事実だった。

まず第一に、研究者という範疇にあるまじき(!?)愛くるしい容貌だったこと。
そして論文掲載が、
掲載率1割以下という審査の厳しさで知られる英科学誌「ネイチャー」だったこと。
また(その若さでは異例の)ノーベル化学賞の野依良治氏が理事長を務める
理化学研究所のユニットリーダーだったことなど。
そうした一連の「ブランド力」を盲信してしまったのである。

小保方さんは、千葉県松戸市の公立小中学校を卒業後、
私立の進学校・東邦大学付属東邦高校に進んだ。
同校卒業後、AO入試で早稲田大学理工学部応用化学科に進学。
大学院進学後は、籍は早稲田に置きつつ、早稲田のプログラムを利用して
ハーバード大学へ留学。
まずは文句のつけ様がない華麗な経歴ではある。

「ワセダから初のノーベル賞か?!」と、OB・OG連中が騒いだのは
無理からぬことではあった。

それから約1ヶ月、様々な研究者や有志により、実験データ画像の一部切り貼り、
実験手法の説明文の盗用、STAP細胞とは無関係の博士論文からの画像流用など、
重大な疑惑がまたたくまに指摘、検証されていった。

全くレベルは違うが、自分にも似た経験がある。
今から約20年前、「ギャン理論」を上梓し、ビジネス書のジャンルで
全国売上ベストテン上位に張り付いた。
R大学のH教授を先頭に「先駆者は自分だ!」と名乗る者が次々に現れ、
誤字脱字の指摘やら、解釈の違いの指摘やら、“(意味のない)脅し”のFAX
(当時は電子メールが汎用していなかった)が次々に届いた。
究極は「殺してやろうか?」の文言。
もはや何をかいわんや、の状態だった。

以降、学者の世界を余り信じなくなっている。
学者の世界は所詮「あせり」と「ねたみ」の世界と思う。
小保方さんには悪いが、目立ち過ぎた。
英文での専門分野の論文は簡単ではない。
コピペ(コピー・アンド・ペースト)では言い訳にもならない、残念ながら。


2014年03月22日

「NHK朝ドラ」というアナログな世界

NHK朝ドラ、正確に言えばNHK連続テレビ小説は、
1961年「娘と私」(獅子文六原作)でスタート、以来半世紀を超え、
今年3月31日からスタートする「花子とアン」で90作目となる。
月~土曜15分の放送が基本で、現在は毎朝8時を中心に、地上波、BSを含めて
1日4回放送している。

日本人は朝ドラという形式を至極当然のように思っているが、1日15分のドラマを、
日曜を除いて毎朝放送するという形式が、半世紀も続いてきたという例は世界にない。
言うところの“ギネスもの”の世界である。

一般論として、テレビドラマ視聴率は、朝ドラに限らず下降傾向をたどっている。
最近の作品が安直で中身が薄いのが最大の原因である。
それにも増して、インターネットやゲーム等を通した娯楽が多様化し、
欲しい情報が瞬時に手に入る現代社会において、肝心の場面に来ると決まってCMが
混じる“かったるい”ドラマなど相手にならない。
また放送時間に合わせて視聴する形態は薄れ、ネットを使った「オンデマンド方式」が
主流になりつつある。
そうした中で毎日15分の朝ドラを見続けるというのは、今やアナログな(時代遅れの)
受容形態ではある。

時代の流れに逆らった朝ドラ方式が(曲がりなりにも)続いてきた最大の理由は、
朝ドラが趣味や娯楽というよりも、日本人の「生活の一部」であり、
長時間続いてきた中で「(一種の)日課」になったからである。

結局朝ドラは、「(日本人の)生活のリズム」を醸成してきた。
毎朝15分しか見られないという「不自由さ」は実は不自由でも何でもなく、
ある意味、時計代わりか、BGM代わりに使ってきたのである。
朝ドラのテーマソングが流れたら、本能的に時間を実感する。
それが朝ドラを受け入れてきた大きな理由のひとつなのではないのだろうか。

朝ドラが受け入れられてきたもうひとつの理由は「先を急がない」ことにもある。
劇的な展開となれば、CMのない公営放送NHKであっても15分では到底描き切れない。
その点朝ドラは「毎日同じ人に出会う」ことに意味がある。
極端に言えば、「毎朝家族に顔を合わし、お早う!と挨拶を交わす感覚」に近い。

基本的に考えれば、朝ドラに重要なのは「事件」よりも「人」ということになる。
毎朝元気に仕事に向かう気持ちにしてくれる明るい笑顔や、
仕事から帰ってほっとした気分にさせてくれるあたたかい微笑(ほほえみ)が見たい。
従って、女性に焦点を当てた朝ドラの代々のヒロインは、
スーパーウーマンである必要がなかった。

83年11月12日に「おしん」が記録した62.9%は、
62年にビデオリサーチが調査を開始して以来、史上最高率とされている。
ただそうした“(朝ドラの)劇的な展開”は異例で別格である。
現在の朝ドラに過剰なドキドキ感は不要である。

その意味で(今月で終了する)NHK大阪制作の「ごちそうさん」は、
朝ドラの典型ではあった。
劇的な展開はなくとも、人から感謝の言葉を聞くことを生きがいとした主人公の
思いに触れることが、視聴者の日々の生活を明るくしてくれた。

今や伝説のシリーズ「水戸黄門」「男はつらいよ」「釣バカ日誌」等も、
朝ドラと同じ線上にあるように思う。
「最後の結果は分かっている」
「筋書きはいつも同じ」
という安心感が視聴者に「癒し」を与えてくれるのである。

かくして今や日本の日常生活の一部となった朝ドラは、
時代が変わっても、IT時代がいかに進捗しようとも、永遠に不滅と思う。

2014年03月15日

ビットコインの行く末

ビットコインという単語が日本に登場して約1年。
「ネット空間を行き交う通貨=仮想通貨」であることはある程度知れ渡った。
ただ仮想通貨はビットコインだけではない。
仮想通貨という範疇では「ライトコイン」「リンデンドル」等が世界では知られている。

ある意味で仮想通貨の代表格であるビットコインは、
日本の数学者でロサンゼルス在住の「中本哲史(かなもとさとし)」という人物が
開発したとされている。
改善と整備は世界中に散らばる技術者があたっているとされるが詳細は不明。

バーナンキ前FRB議長が
「より速く、安全で、効率的なシステム開発を促す可能性あり、有望だ」と
語ったことにより注目が高まった。
情報技術を駆使した安くて速い送金の魅力に加えて、経済の混乱時の資金逃避先に
なった経緯がある。

ご存じのように現状の海外送金は、通貨交換手数料や送金手数料が高い上に、
(不必要と思えるくらいの)書類の提示が要求される。
土日は休みで、ネットバンキングで受付はしてくれても、取扱いは翌営業日となる。

確かに仮想通貨は、手数料がほとんどからかからず、土日でも深夜でも、
銀行を経由せず地球の裏側にも届く。
では欠点とは何か。
Suicaなどの電子マネーは事前入金で初めて価値を持つ。
これに対してビットコインは「お金」の裏付けがない点である。

高度な暗号技術で複製を防いでおり、希少性が資産としての価値を生んでいる。
その意味では希少金属としての価値が評価される「金(GOLD)」に近い。
日本政府は「金に準じる“もの”」と発表した。
必然的に「売買に消費税がかかる」と言う論理である。

ただ中央銀行の後ろ盾がないから価値が変動しやすく、
投機の対象にもなりがちである。
匿名性があり、麻薬取引などの犯罪に使われやすい。
そう考えれば総体的なリスクは高く、今回のブームは確かに一過性のものだろう。

しかし着々と進歩するIT技術の進歩で、価値が安定し、
犯罪にも強いタイプの仮想通貨が生まれる可能性は当然ながら考えておかねばならない。
その時に真っ先に問われるのは仮想通貨のリスクではなく、
「現実の通貨制度や財政政策」の方であろう。

1929年の大恐慌以降に定着した管理通貨制度から100年近くになる。
金準備に縛られずに通貨を発行し、経済成長や雇用安定に役立った。
反面、バブルの発生や支出膨張を許した。
基軸通貨米ドルを中心とした現行制度の欠陥が目立つ。
従って今回の一連の流れは、IT技術の進歩で、国家管理によらない通貨誕生の
可能性を示唆したことになる。

今回の一連の騒動は、「通貨当局は勿論、従来の銀行に改革を求める」流れでもあった。
そして今回の流れを派生させて考えれば、
現在もそして今後も、金融界は(日本的な守り中心の)文系の世界ではなくなった。
特に従来の(マクロ経済中心の)経済学部の意味がなくなり、
理系中心の「数学・物理の世界」になってしまっている。
教育も大胆にカーブを切る時代であろう。


2014年03月08日

安倍首相の国際公約「ウーマノミクス」

安倍首相の唱えるアベノミクスは雲行きが怪しくなっている。

ただ一方で、これはまさしく正解と納得できる施策がある。
「日本で活用されていない資源の最たるものが女性」として
「2020年までにあらゆる分野で指導的地位の女性比率を30%以上にする」という
「にいまるさんまる」政策。
それが安倍首相の唱える国際公約「ウーマノミクス」である。

「負け組」。
こんな言葉が妙齢の独身女性に向けられる時代が続いてきた。
要は結婚して一人前とする“至って日本的なトラッドな”考え方である。
仕事で(成功しても独身というだけで特別な視線を向ける風習だった。

しかし国立社会保障・人口問題研究所によると50歳時点の未婚率は上昇傾向にある。
90年に5%前後だったのが、2010年には女性が10%、男性が20%になっている。
また2012年の離婚は23万5406件で1970年の2.5倍になっている。

独身主義や離婚を是とするつもりはない。
しかしそもそも論で言えば、「らしさ」とは一体何か。
個人差もあり、性別で固定されるものでもない。
これまで来た道と違ったとしても、押し付けられる「らしさ」ではなく、
素直に優れた面を生かす道が、更なる高みにつながる時代ではある。

結婚や家族の姿は時代や環境によっても変わる。
思い込みを捨て、様々な価値観を認め合う寛容さと柔軟性が男女をより自由にする。
そのような環境で生まれるパワーが出れば出るほど社会は多彩になる。

男女雇用機会均等法が施行された年に生まれた子は今年28歳。
中学・高校で家庭科が必修になった世代は30代半ばになっている。
そんな環境が、男女を隔てる壁を感じさせない世代を育んだのかもしれない。
言葉を変えれば「男性のひ弱さと女性の強さが目立つ」昨今の世の中ではあるが、
若い世代の根幹の変化は「性別にかかわらず自由に才能を開花させる」チャンス
なのかもしれない。

00年後半から、結婚式に積極的な「イケ婿」が増え、
花嫁だけが脚光を浴びるイベントではなくなったと言われている。
団塊の世代にとっては何か情けなくも思うが、
従来の男性像や女性像にこだわらない世代が中心になり始めている。

「『女』を売り物にせず、『人』として腹を割る本音のつきあいをする」
「良妻賢母だけでは時代に対応できない。社会に必要とされる力を身につける」
ことをテーマにする私立の女子高校が増えているそうである。
これも時代の流れなのかもしれない。

個人の意識を最終的に変えるのは政治の力ではない。
ただ変化の土壌を醸成し、個人や企業、社会を変える触媒の可能性を
秘めているのは間違いない。
まだ始まったばかりの「ウーマノミクス」ではある。
経済を主導せんとするアベノミクスのロジックは納得しかねるが、
安倍首相の「ウーマノミクス」はもろ手を上げて賛同したい。.


2014年03月01日

現代の名工・久保田五十一さんの話

会社を設立して20年を超えた。
そして欠かさず続けているのが毎日1時間のトレーニング。
仕事の一部と位置付け、多少辛くとも続けている。
何がなくても
「自分の体を制御(コントロール)すること」
「まずは健康」が肝要だと思うからである。

トレーニングは「バットの素振り+ランニング」からなる。
ランニングの効用はご存じだと思うが、バットの素振りの効用とはさて何か。
簡単に言えば「内臓を捩じる」ことと思う。
この“捩じれ”によって、
主として酒やたばこよる内臓細胞に溜まった不純物が排出される。
おかげで、二日酔いという“(永久不滅の)慢性病”はあるが、
この20年、病気らしい病気なし。
視力は1.0、血圧は70~120、 肩こりもない。

使用するバットは、900㌘から1㌔のプロ仕様である。
こうした専門的な野球バットを販売しているのは、東京都内広しと言えど、
神田小川町のミズノ東京本社しかない(と思う)。
9階建てビル全階でミズノのスポーツ製品を販売する。
極端に言えばあらゆるスポーツ用品の購入が可能である。

長時間のバットの素振り、しかもプロ仕様となれば、
自分の体に合ったものを選ばなければならない。
プロ仕様の重いバットは、形態が合わないと、いとも簡単に腱鞘炎症状を引き起こす。
また手のひら保護のための専用グローブもまた必需品である。

こうした中で巡り遭ったのが「久保田五十一(くぼたいそかず)」さんのバットだった。
正直言えば、名人・久保田さん手作りのバットではない。
“ほんまもん”の値段はいったいいくらするのか(怖いので)聞いたこともないが、
購入するのは久保田さんのモデルをベースにしたもの。
現在は巨人・阿部慎之助モデルと、元ソフトバンクの小久保裕紀モデルを使用している。

ミズノは1970年、プロ野球選手とのアドバイザリー契約を開始した。
選手に用具を提供する代わりに、製品開発に助言を求め、肖像権の使用、
選手をモデルにした用具の販売権を得る(日本初の)ビジネスモデルの誕生だった。

ミズノは、74年に高校野球に金属バットが導入される前まで、
木製バットをピーク時には80万本生産していた。
しかし最近では3万5千本。
そしてこのうち「プロ野球向けは1万本である」と公表している。

こうした環境下でミズノは80年代半ばから、
マイスター、クラフト1~3級という4段階の技術制度を導入する。
久保田さんは同社初のプロバット・マイスターになった。
そして03年には「現代の名工」に選ばれ、05年には黄綬褒章を受章している。

久保田さんの手によるバットを使用した選手としては、
MLBの4000本安打のピート・ローズ、阪神・ランディ・バース、
ロッテ・落合博満など上げたらきりがない。
イチローこと鈴木一朗も、ゴジラ・松井秀喜も久保田さんのバット愛用者である。
久保田さんの名前を知ることになったのは「松井のバットが久保田五十一製」と
知ったからである。

現代はコンピュータ万能の時代。
そしてコンピュータの創り出す現代の世界はまさに驚異的ではある。

しかしコンピュータが超えられない世界もある。
技術立国ニッポンが自信をなくし始めているが、
日本には名工と呼ばれる方々がつくる“絶妙な”世界がある。
そんな日本を見直し、自信を持つべきであろう。


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