2015年02月28日

ネット時代のNHK受信料

2月のNHKは連日のように国会中継を放映した。
面白かった(!?)のは、
衆院予算委員会での民主議員と、商社出身の不思議なキャラのNHK会長の論戦。
論戦というよりは劇画もどきの口喧嘩。
ザックリ言えば、現会長のキャラは国営放送の会長職に不向きとは思うが…

とは言え、最近のNHKのコンテンツ、特にBS放送のスポーツ番組、
およびノンフィクション番組の出来栄えは素晴らしい。
野球、ゴルフ、サッカー、最近ではテニスを始めとする各種スポーツ世界大会は
NHKBSで見るのが一番。
CMがないから流れが途切れない。
そして勝負のけりがつくまで見せてくれる。

ドラマ系では、数年前の「坂の上の雲」はまさに秀逸だった。
ただドラマ全体を眺めてみれば、(国営放送との位置付けだから)迫り方がイマイチで
物足りない部分は否めない。
その分ノンフィクション番組は、カネをかけ、時間をかけ、ジックリと取り組んで
いるものばかりで、民放の追随を許さない。

その“皆様のNHK”が、「NHKのインターネット・サービスの拡大」を踏まえ、
総務省を後ろ盾に、受信料制度の見直しに入っている。
「ネット端末を持つ世帯に対する納付義務」
「テレビの有無にかかわらず全世帯から徴収する」等々。

背景となっているのは、2015年度からテレビ番組のネットでの同時配信を試験的に
開始するなど、20年の東京五輪に向けネットサービスの拡大を試行することにある。
テレビを見ずにネット端末で情報を得る若者も増えているため、
テレビの有無による受信料制度が時代にそぐわなくなっている。

現行の放送法では、
「NHKは公共の福祉のために放送サービスを担う組織」とされ、
「受信料はサービス維持の負担金」とされている。
だが現状では「テレビがある世帯とNHKの“受信契約”」が原則。
受信契約は義務付けられてはいるものの、
法的に言えば「契約を結ばない限り受信料は払わなくてよい」ことになる。
ここが曖昧な点ではある。

ドイツでは2013年以降、全世帯に支払い義務を課している。
「ある種の税金」との解釈である。
ただ現在の日本は消費税増税を控え、そこまで強制していいものか。
そしてNHKを「(法的にも)国営放送」としていいものか。

毎年6千億円を超える受信料に支えられたNHKがネットサービスに本腰を入れれば、
民放などのマスメディア業界ににも影響が大きい。
ネットでも受信料を取るには、とりあえずは「それが国民に不可欠だという説明」が
必要である。

「テレビの時代」から「ネットの時代」へ。
「ネットはテレビを超えた」のは誰もが知る事実。
「IT時代におけるテレビ放送局の必要性」といった組織論も取り沙汰されている。
とりあえずは底の深い問題である。

時代が移り、形態が変わっても、NHKは残るだろう、多分。
だが問題は山積している。


2015年02月21日

北陸新幹線フィーバー

2月14日、3月14日開通予定の北陸新幹線切符が発売された。
驚くことに25秒で完売になったそうである。
「全国の鉄道ファンが殺到した」とされている。
確かに在来線より5メートルばかり高い場所から見る日本海や立山連峰は絶景だろう。
旅客機並みのシートも居心地がよさそうである。
だがこの人気、果たしていつまで続くのか。

北陸新幹線は東京・富山間を2時間10分、東京・金沢間を2時間半で結ぶ。
北陸はこれまで首都圏とは新幹線(上越新幹線)と在来線を乗り継ぐ必要があったが、
越後湯沢or長岡で乗換をすることなく直通することになる。

自分の地元富山には富山駅の他、「黒部宇奈月温泉」「新高岡」の2つの新駅が誕生する。
速達型の「かがやき」と、停車駅が多い「はくたか」(従来のL特急と同じ名称)に
名称が決まり、富山・金沢間にはシャトル列車「つるぎ」も走る。
年間輸送能力は1800万席(月間150万席、1日当たり5万席)。

日本投資銀行によると、
新幹線開業で、首都圏からの観光・ビジネス客は富山県で21万人、
石川県で32万人増加すると想定している。
またこれに伴う経済的な波及効果は富山県で88億円、
石川県で124億円が見込まれるとしている。

富山県の場合、観光としてのテーマとして思いつくのは以下の3点だろう。
「立山黒部アルペンルート」を筆頭に、「八尾おわら風の盆+五箇山集落」
そして「ほたるいか」あたり。
ただこうした観光は季節的要因による変動が大きく、安定的と言えるかどうか。

今回のフィーバーで気になったのは、
金沢だけが注目され、富山の「と」の字も出てこなかった点。
有楽町・ビッグカメラで、越中おわら節が流されていたが、誰も気にとめてない様子…

東京~金沢と東京~京都の乗車時間がほぼ同じの2時間半になったことがポイント。
京都に行くか、北陸の小京都・金沢に行くか…
ちなみに東京・銀座(有楽町線・銀座一丁目駅真上)の石川県のテナント店は満員盛況。
金沢特産の銘菓やら、金粉入りのコーヒーやら、地酒の販売などが人気である。

ビジネス面を考えれば、
北陸三県では大都市と比べ割安にオフィスや工場用地を借りられるのは最大の
メリットだが、企業の進出の可能性は未知数。
確かに”世界の”YKKは、その発祥地である黒部市に本社機能の一部を移転させると
しているが、どうみても“新幹線開業お祝い”の色合いが濃い。

整備計画決定から約40年、”悲願の”新幹線開業だが、バラ色の世界ではない。
地元の中小の老舗の消滅現象が著しく、過疎化現象が更に激しくなることは必至。
抜本的な対策は全く練られておらず、更なる空洞化現象は避けられない。
ごくごく当たり前にコンビニが蔓延し、旧市内からは中小の小売が消滅、
街が街でなくなっている。「買い物は東京で!!」が合言葉になろう。

抜本的に何かを変えねばならない。
では「抜本的な何か」とは何か。
従来型の施策では通用しないのは間違いない。
結局、従来型の政治家が俳諧することで、後手後手になってしまっている。
完膚なきまで壊滅した後、手探りで何かが始まる。
富山県出身の自分は、悲観論が先立ち、今回のフィーバーにシラケる思いである。


2015年02月15日

60年振りの農協改革の意味

そもそも農協とは何か。
一般論から言えば「農家のための銀行」というイメージだった。
「農業のために資金を貸し出す機関」「農家の後ろ盾」。
そんなイメージだった。
そして「自民党の大票田」。
その農協組織に大ナタが振るわれた。

農業人口が最盛期だったのは1960年の約2700万人。
それが現在では6分の1の約460万人まで減少している。
しかもその大半が兼業農家であり、平均年齢は66歳。
このままいけば、少なくとも10年後には農業就労者自体がなくなるという
危機に立っている。

こうした状況の中で、
農協の上部組織である全国農業協同組合連合会(JA全中)の力を弱め、
地域ごとの農協に自立と経営努力を促す方針が明確になった。

戦後、多くの農協が経営危機に陥ったことから1954年、
農業協同組合法が改正され、JA全中が発足した。
下部組織で都道府県ごとにある地方中央会と合わせて「中央会制度」として
位置付けられている。
約200人の小所帯で、総職員21万人、組合員(農家)460万人のJAグループを
率いている。

戦後の農政は食糧難に対応するため、コメ増産を最優先にしてきた。
コメの集荷を一手に引き受けたのが地域農協で、頂点に立ち指導・監督し、
統制してきたのがJA全中だった。
そして「農家の数の力」を背景に政治を動かした。
典型例が旧食糧管理制度時代の米価闘争である。
政府が農家に支払う米価を高止まりさせたのである。

しかし1970年以降コメ余りが深刻化。
貿易自由化の流れで国産の農産物は価格競争力で後れをとることになった。
こうした環境の変化の中でも
コメ輸入の部分開放を決めたガット・ウルグアイ・ラウンドの国際合意にも
大きな反対運動を展開、巨額の補助金を引き出した。
最近では環太平洋経済連携協定(TPP)の反対運動も目立っている。

今回出された改革は、
まずJA全中の監査・指導権をなくし、地域農協の経営の自由度を高め、
各農協の自立を促す。
次に行政に意見を述べる「建議権」もなくす。
かっては米価引き上げ闘争で農水省の審議会に委員を送り込んだり、
農業予算の増額を目指して農相に会を申し込んだりと、
“政治力の象徴”とされてきた。

そして農産物の集荷・販売を担う全国農業協同組合連合会(JA全農)を
株式会社に転換できるようにする。
経営力のある農協が出資を増やして発言権を高めることも可能になる。
つまりは「コメと農協」の改革に取り組み、農業の成長産業化に取り組む。

こうした改革のきっかけとなったのは1月11日投開票の佐賀県知事選だった。
与党の推薦候補が、農協の支援した現知事に敗れた。
以降「選挙運動ばかりやっている農協の改革」が大きなテーマとなった。
「江戸の仇は長崎で…」のパターンではある。

一連の流れを分析すると、
ここ60年の「選挙と農協」のドロドロした関係が明確になる。
新時代の農業に向け、根本的な改革が必要な時期と思うが、
何のかのと理屈をこねても、根本はやっぱり選挙か…
相変わらずのニッポンである。.


2015年02月08日

テロリスク

「イスラム国」が世界中を騒がしている。
中東の過激テロ集団と言ってしまえばその通りだが、世界経済をも動かすともなれば、
多少の知識を持っていなければならない。
諸般の文献から「イスラム国」の概要を浮かび上がらしてみたい。

まずは国の樹立。
2014年6月、中東のシリアやイラクの一部を実効支配するイスラム教スンニ派の
過激派武装組織が、厳格なイスラム法に基ずいて「国家」樹立を一方的に宣言した。
イラク出身のバグダディ現主導者は非イスラム諸国を敵視し、「聖戦(ジハード)」
を呼びかける。

ただ国際社会は「イスラム国」を国家として認めていない。
イスラム教徒を代表する国と誤解を招かないように
「ISIL(イラク・レバントのイスラム国)」と呼称するよう申し合わせている。

支配地域はイラク北部やシリアの一部約5万5千平方キロメートルで、
日本の九州・四国の合計に相当する。
構成員は過激派「イラクの聖戦アルカイダ組織」が母体。
現在1万~3万人とされ、欧米からも多数の若者が参加しているとされる。

資金源は原油の密輸や身代金目的誘拐、寄付などによる。
米軍主導の有志連合による空爆や原油価格の急落で資金が細っているとの指摘もある。

過激派が生まれた背景を探ってみたい。
2003年にフセイン元大統領を倒した米主導のイラク戦争後、軍は解体され大量の軍人
が失職した。大多数がスンニ派だった。
また06年から8年続いたマリキ前政権はシーア派に主要ポストを割り当て、
スンニ派を冷遇した。
雇用の大きな受け皿だった軍や警察に、スンニ派が就職するのは簡単ではなくなった。
こうしたマリキ前政権による冷遇に不満を募らせたスンニ派住民が、
生活のためにとれる選択肢は限定的だった。
かくして過激派への“就職”は最後に残された道だった。

またイスラム国は、シリア内戦でも力を蓄えた。
アサド政権と戦う反体制派武装組織の勢力を飲み込んで勢力増大。
13年、米国が軍事介入を断念すると内戦は泥沼化、
シリア全体の統治能力を失ったアサド政権は、
収監中の過激派構成員を釈放したとされる。

こうして成り立ったISILは「恐怖政治」を正当化し、酒、たばこは勿論、
音楽や映画などの娯楽を禁止し、男性はひげを伸ばし、女性は全身を覆う服装を
強要している。
「ヒスバ」と呼ばれる宗教警察が一般市民を監視、厳罰で住民に恐怖心を植え付け、
支配する体制を採っている。

現在の戦争は「国家VS国家」のそれではなくなっている。
地球全体を崩壊させかねない核戦争になりがちだからである。
「現代の戦争=テロ」の色合いが強くなっている。

二人の日本人がテロの犠牲になった。
これはイスラム国の仕掛けた日本への宣戦布告である。
日本語の「人道支援」という意味の翻訳が正確になされているのか。
日本の唱える「積極的平和主義」は余りに玉虫色である。

戦争を永久に放棄するとした日本国憲法第9条はもはや時代にそぐわなく始めている。
今後頻発するテロにどう対応するか。きれいごとでは済まされない。
考え直す時期であろう。

2015年02月01日

「欧州の量的緩和」の検証

1月22日、
欧州中央銀行(ECB)が日米英に続き量的緩和政策を採ると正式に発表した。
物価下落が賃金を押し下げ、さらに物価が下がるというスパイラル現象に
陥った欧州では、高い失業率とデフレに悲鳴が上がっていた。

ドイツ連邦銀行(中央銀行)を下敷きに生まれたECBはこれまで、
中央銀行が国債を買うことには慎重だった。
政府の財政規律が緩み、歯止めのきかないインフレにつながりかねないとの認識が
(特にドイツ国内に)伝統的に根強かった。

しかしこのままだとデフレが域内に広がり、
1990年代の日本のようになりかねないとの危惧が先行し、政策金利がほぼゼロの
状況の中で、(日米英と同様の)量的緩和しか手段がないとの考え方に収まった。

ただ欧州の場合、量的緩和の効果は日米英以上に不透明である。
最大の弱点はユーロ圏が19カ国の寄合い所帯であり、国債の買い入れ手法が複雑に
なることである。

そして加盟国の国債をECBが買い入れれば、それに連動して社債の利回りが下がり、
企業が金融市場で資金を調達(し易くなるのが通常のパターンである。
しかし欧州では独以外の企業に社債を発行する大企業は少ないのが現実。
「企業の資金調達は銀行融資に頼る」というアナクロな手法が依然まかり通っている。

かくして頼みの綱は「(金融緩和による)ユーロ安の進行」と「原油安」である。
競争力の弱いフランスやイタリアの企業が一息つき、収益力をを回復させるチャンス
にはなる。

EU(欧州連合)の人口は約5億人。
EUの採る「域内の移動の自由」の原則は、ユーロ圏最大の経済大国・ドイツに、
域内の優秀な人材が集まる結果となっている。
現在ドイツに滞在する外国人は今や800万人。
2013年のドイツの移民は52万人を超えた。
経済大国ドイツの“独り勝ち”である。

こうした歪な力関係の中で、ギリシャのような“反逆的な”スタンスを採る国が
出てくるのは、ある種致し方ない現象ではある。
経済危機で疲弊したギリシャを率いることになった急進左派・40歳のチプラス新首相の
発言は、“やけっぱち”に聞こえる。

「ECBはギリシャの国債を買うべきだ」という。
しかしEUやECBに約束した緊縮策は反故にするという。
全くにして虫のいい話である。
“欧州の盾”になって地道にコツコツ頑張るドイツにとっては
看過できない“なめた”スタンスである。

考えてみれば、5年前の欧州債務危機もギリシャの財政問題が発端だった。
ギリシャ問題がイタリア・スペインとドミノ倒しのように南欧を飲み込んだ。
危機から抜け出すため各国は過大な債務を減らし、
構造改革で産業の国際競争力を高めようとした。
だが痛みを伴う改革に政治が耐え切れない。

「たゆたえど沈まぬユーロ」。
質実剛健・ドイツの生き方が昔から好きだった。
考えれば考えるほど、頑張れドイツ!!というしかない。

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