2016年01月30日

「フィンテック」と呼ばれる金融改革の中で

本ブログで取り上げた経緯があるが、
NHKの朝ドラ「あさが来た」が絶好調である。
前作が余りに内容が薄かっただけに、本当に面白い。
いわゆるエキサイティングの展開である。
主題歌の「365日の紙飛行機」も、ヒットチャートの首位戦線で推移している。

江戸から明治という時代の大きな転換点で、没落して淘汰される両替商と、
時代の変化に機敏かつ柔軟に対応しながら、
業態を変えてたくましく生き残っていく両替商の姿が印象的である。
そして中央銀行としての日銀が誕生し、近代日本の金融システムが出来上がって
いく時代を的確に表現している。

その後の日本の金融業は、昭和の大恐慌等、数々の転換点があった。
近年ではバブル崩壊後の金融危機が発端となり、
96年に始まる「日本版金融ビッグバン」と呼ばれる金融制度改革が進行した。
結果的には銀行の統廃合が進み、「規制に支えられた金融システム」から
「市場原理に基づいた金融システム」への転換が図られた。

言ってみれば20世紀の金融の変革は政治主導だった。
だが現在進行中の金融改革は『フィンテック』と呼ばれる民間主導のものである。
フィンテックの語源はFinance(金融)とTechnology(技術)を
組み合わせた造語である。
インターネット、スマホ、クラウド、ビッグデータ分析、人工知能の発達が、
金融そのものを大きな変化に巻き込んでいる。
年初からの大波乱は、
そうした時代の変革を認識していないことが大きな要因に思える。

1月12日午前、
元売りに業を煮やした中国当局が大規模な元買いを実施した。
金融市場から元が消え、元の香港銀行間取引金利(翌日物)は
過去最高の66.8%に高騰した。
こうしたアナログの政治主導の力づくの論理がまかり通っているのも
現在の姿である。

結局、市場との対話に不慣れな国家資本主義の中国が、
世界の近代金融に絡み合っているという点が大きな問題には違いない。
米国の約3分の2の経済規模という大きさと、手荒い為替介入や朝令暮改の
市場対応策が混乱を深めている。
中国が絡むことによって、従来のような政策協調も困難を極めている。

そしてまた、未曽有の原油安も世界経済に大きな影響を与えている。
資源安は資源輸入国の消費を刺激し、これまでは世界経済にプラスに
働いてきた。
しかし資源収入に依存する新興国の存在が高まり、
世界は新たな局面に入っている。

「世界の債務は07年からの7年間で57兆㌦(約6700兆円)増加した」と
言われている。
米国発の「大量の緩和マネー は世界中の金利を引き下げ、
各国の政府や企業の債務が膨張するのを助長した。
中国が過剰債務を抱える要因にもなった。

本ブログで何度も申し上げてきたように、
「大きくしてはならない国(中国)を大きくしてしまった」感は否めない。
負の連鎖が行き着く先は見えていない。
時代の大きな流れに逆らう中国という存在がある限り、
世界経済の混乱は続いていくようである。

2016年01月23日

グーグルの野望 -急速に進む自動運転車の実用化-

1月14日、
米運輸省は自動運転車の実用化計画に今後10年で40億㌦(約4700億円)を
投じると発表した。
同支援策は、
オバマ大統領が2月に提案する2017年会計年度(16年10月~17年9月)の
予算教書に盛り込まれる予定である。

一連の支援策は、デトロイトでの北米自動車ショーでフォックス米運輸長官が
明らかにしたもので、同長官は
「自動運転は人命を救い、温暖化ガスの排出を減らし、交通を一変させる大きな
可能性がある」とし、
自動運転車の実用化が運転ミスによる事故の回避や二酸化炭素排出量の削減に
必至であり、自動運転車が公道を走るための指針策定を進めることを明らかにした。

同省は米自動車業界等と協力し、
車や道路に設置された機器同士が通信して運転を支援するシステムの実験計画を
推進する他、現在カリフォルニア州などが独自に策定している公道試験の指針に
ついてもひな型を策定する。
また自動車メーカー各社が開発している実用段階に近い技術が既存の安全規制を
満たすかどうかを確認し、自動運転技術の迅速な実用化を促進する方針も
明らかにしている。

こうした一連の流れの中心にいるのがアルファベット社(グーグルの親会社)。
同社の凄さは、行政をも巻き込んで実用化に向けたスピーディな展開を
繰り広げている点である。
もはや「IT企業の雄」ではなく、「次代の産業革新の雄」になり始めている。

安倍首相が「2020年の東京五輪までに実用化を目指す」と発言する中で、
日本においても(密かに)計画が策定されている。
昨年6月に閣議決定された「『日本再興「戦略』改定2015」がそれである。
同戦略の中で、
「完全自動走行(レベル4)を見据えた環境整備の推進」を
「日本産業再興プラン」のひとつとして掲げる。

こうした流れの中で、来月(2月)から神奈川県藤沢市で、
自動運転車に一般市民を乗せて走るという実証実験が始まる。
その実験では、公道における有人の自動運転(レベル3)を実施、
運転手や実験担当者も同乗して、安全確保やや緊急時の対応行う予定である。

この実験では、
買い物時に自宅とスーパーなどの往復や荷物の運搬が困難な高齢者も含まれる
予定となっている。
実験期間は2週間をメドとし、その後は利用者からの意見をも求めつつ、
断続的に実施されるとしている。

海外では
毎年年初に米ラスベガスで開催される世界最大の家電ショーで、
基調講演にダイムラーやフォルクスワーゲンといった自動車メーカーが
登壇するようになっている。
自動運転を始めとした近未来の技術をアピールするためである。

最近、何かにつけ「イノベーション(Innovation)」という単語が使われる。
その「イノベーション=(産業)革新」はある意味で「破壊的(Disruputive)」で
ある点は認識しなければならない。
既存の常識を完膚まで破壊し、通用させなくなるからである。
依然として、自動運転車??大丈夫か??と言われている。
だが自動運転車が世界を席巻する日が近いと思う。

原油安→株安に揺れ、中国発の第2のリーマン・ショックを恐れる現在の世界。
そんな時だからこそ、ググールの野望は一気に達成されそうな気配である。


2016年01月16日

原油は次世代でも主役足り得るか

まず現在の原油先物市場の実態について簡単に説明したい。
指標銘柄はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)。
米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループ傘下の
ニューヨーク・マーカンタイル取引所で取引されている。

NY市場の参加者は石油会社が2割弱、金融機関が2割強、ファンドが5割、
個人投資家は1割未満とみられている。
市場規模は0.1兆㌦に満たない額。
NY証券取引所の時価総額の約18兆㌦、東京証券取引所の4.6兆㌦等に
比較すれば問題にならない額であり、半数を占めるファンドの売買動向次第で
値動きが荒くなる傾向がある。

NY原油先物市場で1バーレル=30㌦割れが世界の金融市場を揺さぶっている。
原油先物が12年振りの安値に陥った原因は至ってシンプルで明確である。
需要の低迷と、産油国が制御不能に陥った供給過剰である。

2000年代の原油高は、中国やインドなどの新興国の旺盛な需要がけん引した。
中国が「新常態」と呼ぶ経済成長の減速の結果、
鉄鉱石や石炭などと同様の構図である。

ただ原油が1年半に4分の1の価格になった大きな要因は
米国のシェール革命だった。
米国発のシェール革命は、原油の需給バランスだけでなく、
地政学上のリスクも増大させた。
結果的に大産油国となった米国に対して、サウジアラビアやイランなどの
OPEC(石油輸出国機構)の足並みは乱れ始めている。

特にサウジアラビアは世界最大級の原油埋蔵量を持ち、
生産余力はダントツである。
だが1バーレル=30㌦を割り込めば国家運営にも深刻な影響を与える。
国際通貨基金(IMF)によると、サウジアラビアがこのままのペースで
金融資産を取り崩すと、5年で底をつくとしている。
福祉や教育を丸抱えしてきた往時の石油大国の面影はない。

「原油の暴落=金融資産の取り崩し=世界的な株安」の連鎖は、
オイルマネーで潤っていた世界の金融市場を一気に混乱に陥れている。
ここまでくれば「先物が現物をリードするのが正しいのか」という
単純な疑問は残るが、現在の金融システムがそうなっている以上、致し方ない。

年明けからデトロイトで北米国際自動車ショーが開催されている。
原油安で大型車の人気が高まっている、と(表面的には)言われている。
その一方で、米政府が燃費規制を強めており、2025年には米国内で売買する
車の平均燃費を53%向上させることを要求している。
要は「ガソリンをジャブジャブ使うな」という意味である。

結局、今回の自動車ショーの主役は新型電気自動車(EV)であることは
暗黙の了解である。
本欄では2020年を転換の大きな目標であるとしてきた。
同年に向け、
排気ガスをまき散らすガソリン車の時代が終わりに近づいているのだろう。

「石器時代は石がなくなったから終わったのではない」。
1970年代のOPECの時代を築いたサウジアラビアのヤマニ石油相の
残した警句である。
30㌦を割り込んだ原油はどこまで下落するか。
あくまで理論上ながら、大きな節目は10㌦台となるが….

石炭から石油へと主役が代わり、そして(多分)電気が主役の時代へ。
知らないうちに時代は変わりつつある。


2016年01月09日

大嵐の兆候・丙申年2016年

昨年12月、講演会に講師として招かれた。
大きなテーマを「円高」「株安」「中国」「金(GOLD)」とした。
円の売られ過ぎ、株の上がり過ぎ、不協和音満載の中国、下げ難い金
といった内容だった。
そうした講演内容が、新年早々揃って現実化した。

2016年最初の取引となった4日の金融・資本市場は大揺れとなった。
日経平均は600円近くの暴落、円の118円台等など…
要因は、実に簡単明瞭だった。
まず地政学リスク。
3日にサウジアラビアがイランとの外交関係の断絶を発表した。
「イスラム国」に揺れる中東は、サウジとイランの対立により
混迷を深めることになった。

そして中国。
4日に発表となった2015年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が
好不況の目安となる50を下回る48.2となった。
また2011年5月以来の安値水準となった元安も投資家心理を急激に弱気に
傾けることになった。

そしてまた6日、
突然のタイミングで「北朝鮮が水爆実験成功」のニュースが飛び込んだ。
成功かどうかは定かではないにしても、北朝鮮の今回の暴走は
従来の「米国を対話に引きずり出す瀬戸際戦術」を超えたものだった。
怖いのは、
北朝鮮に核武装を許せば、核物質が中東にも流出しかねないという点である。

いずれにしても中東問題は奥が深くなり始めている。
サウジは世界屈指の産油国であるだけでなく、
メッカとメディナというイスラム教の二大聖地を領内に抱える。
その安定は中東域内だけでなく、世界の政治や経済の安定にとっても
極めて重要だった。

だからこそ米国の歴代政権はサウジと特別な同盟関係を続けてきた。
そこにはサウジが穏健なイスラム主義を維持し
、世界への石油の安定供給に責任を持つ代わりに、
米国が後ろ盾となる「暗黙の契約」があった。
ところがサウジなどの中東各国から見れば、
オバマ米政権がその約束を裏切ったと感じる出来事が相次いだ。

第1は2011年に中東各地に広がった民主化運動「アラブの春」で、
米国がサウジと親密だったエジプトのムバラク政権を見限ったこと。
第2には15年7月イランと米欧などが6カ国が達した核合意だった。
イランの核開発を一定期間制限する代わりに米国などの欧米各国が
イランに科している制裁を解除したしたことだった。
第3は米国発のシェール革命だった。
水圧破砕法(フラッキング)による石油増産で原油の需給は緩み、
価格が下がり、サウジは大幅な収入減に見舞われた。
かくしてオバマ政権の方針が場当たり的で一貫性がないと
中東各国が受け止め始めたのである。

こうした一連の動きの中心にいるのはやはり米国。
そして「米国の体力と気力の衰え」は否めない。
オバマ政権は「米国は世界の警察ではない」とも公言し始めている。
シリア介入をためらい、中国の人口島を巡っても及び腰。
結果的に米中の対立が深まれば、間隙をついて新興国経済も揺らぎ始める…

丙申年の2016年。大荒れ模様である。

2016年01月03日

謹賀新年

本ブログにアクセスを戴いている皆様、明けましておめでとうございます。
申年のお正月、如何お過ごしでございましょうか。

こちらは久し振りに東京での正月を過ごしております。
元旦が金曜日、2日が土曜日、3日が日曜日で、4日が仕事始め。
このような変則な日程で、例年の実家での正月はあきらめた次第。

北陸新幹線が開通し、以前に比べれば格段に便利になったとはいえ、
せっつかれるような日程では、単に疲れに行くようなもの。
こうなったら久し振りに東京で過ごしてみるか、ってなったわけです

今日は3日(日)になりますが、快晴の日々が続いております。
寒いのは寒いに違いありませんが、耐えられない寒さではない。
例年の隅田川のトレーニングでは、半袖1枚でも大丈夫といった具合です。
ランニングは当然ですが、
音楽番組を聞きながらバットの素振りを続けていますと、
しまいには汗ばんでくる。

こうした温暖な(!?)状況の中で、初詣は自転車で参りました。
最近、銀座(主としてビッグカメラ)、
築地界隈(行き付けの安価で美味い寿司屋)等、
近場の移動はもっぱら自転車を利用しております。
駐輪場の関係から、ここ2年、
もっぱら折り畳みのチャリを利用しておりますが、
最近の折り畳みのチャリは重量が10㌔程度で、組み立ても約30秒。
地下鉄の乗換やらエスカレーターの乗り降り、時間待ち等を考えますと、
チャリの移動は本当に便利です。

こうして考えてみると、とりあえず2020年の東京五輪までの最大のテーマは
「自動自動車」になるような気がします。
最近特に、高齢者のブレーキとアクセルの踏み違いの自動車事故が
問題になっておりますが、
「自動自動車」が世界的に普及すれば、世の中が一変します。
安全運転どころか、酔っ払い運転も可能になります。

米グーグルのGPS機能の精度の進捗や、
インド・タダ自動車の安価な一人乗り自動車の性能アップを考えますと、
高齢者中心の過疎地帯の“食料買い出し難”問題解決を含めて、
“革命”が起こるのも時間の問題のように思えます。
あり得ないと思われるかもしれませんが、あり得ないことが突然起きるから
革命なのであります。
年初早々小難しい話をしましたが、ここまでにしておきます。

ところで今年は雑煮にトライしました。
実家の雑煮にはほど遠いものの、
自己流の雑煮がそれなりに美味しく出来上がり、
餅が“ススム君”になって困っております。
この歳になると、過剰なカロリー摂取は強敵。
元旦にドンブリでデカイ餅を6個も食べたら、ウエストがスッときつくなりました。
従って運動せざるを得ないことになりますが、
今年もこうした“いたちごっこ”が続そうな気配ではあります。

本年も健康に留意して鋭意頑張って参ります。
変わらぬアクセスのほど、よろしくお願い申し上げます。

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