2017年02月25日

「日本政府は為替管理をしていない」のか?

トランプ新政権になって1カ月が経過した。
人事問題・外交問題・経済問題など、難問山積、今後はどうなっていくのか、
全く見えていない。
但し巷間で注目されている為替問題については、短期はともかく、
長期的にはある程度は方向を判断することが可能である。

よい機会なので、チャートをベースにした為替分析について復習してみたい。
為替のチャートには、日足・週足・月足そして年足が存在する。
チャートとは、日毎・週毎・月毎、そして年毎に出てくる高値・安値の
データを組成してできる“図面”である。

年足???と言われるかもしれない。
実はこれが重要なポイントである。
勝率9割を誇った伝説の相場師・W.D.ギャンは
「見過ごされがちだが、年足が特に重要である」と言っている。
そして「最低100本の足が必要である」と。

為替が変動相場制に移行するのは1973年。
つまりは「100本の足ができるのは2073年」ということになる。
為替の動向が今一つ明確に分析できないのは、
為替の年足が40本を超えたばかりの“未熟な相場である”からに相違ない。

日本にとっての基本の為替は何と言ってもドル・円。
米国が世界経済の中心にいる限り、その重要性は不変である。
創刊して20年超になった「週刊・びー・だぶりゅー・れぽーと」で
毎週分析を繰り返してきたが、総体的に言えば
「360円から始まったドル円は5分の1の72円(実際は75円)にほぼ到達し、
3分の1戻しの120円になった」
なんのかのと言いつつ、まずは理詰めな動きをしていることになる。

別にトランプ大統領の肩を持つわけでない。
が、日本の為替政策は「ドル円為替を円安誘導してきた」歴史を持つ。
安倍首相や麻生財務相を中心に頑強に否定しているが、
アベノミクスの大きな柱は「異次元緩和をベースにした円安誘導」だったのは
ご存じの通りである。

これもギャンの言い様だが、
「相場という大自然を人間の力で抑え込むことはできない」のであって、
「円安だと日本が有利(国益)、円高だと日本が不利(国損)」だから
「何がなんでも円安」という論理は、
輸出と輸入で成り立つ現在の世界経済環境において、
完全に時代遅れのアナクロな考えだと思う。
たとえ日本が輸出立国であったとしても。

参考程度にドル円の理論値を申し上げれば、
日米長期金利差とドル円の妥当値は2001年以降では106円。
購買力平価(生産者物価ベース、1973年基準)は97円。
市場が期待している米国の巨額の財政出動が期待外れになったり、
欧州の政治リスクが高まったりすれば、円の急騰=100円割れは十分にあり得る。

中期的な状況を申し上げれば、
昨年9月の安値100.09円からトランプ当選直後の高値118.65円の
3分の1戻しが112.47円。
現状は113円を中心にした「111.50~115.00円」のレンジでの膠着状態。

トランプ政権が不安定な中、
大枠の節目の値段を抑えた上でコスト計算をしておけば、
とりあえずリスクは軽減できる。
為替管理は近代経営の基本中の基本。
まことに厄介だが、世界統一通貨がない現状では致し方ない。


2017年02月18日

作・演出・自演“トランプ劇場”の今後は如何に?

2月14日、衆院予算委員会。
金田勝年法務大臣と稲田朋美防衛大臣の“火だるま”劇が繰り広げられた。
専門知識欠如が明白な、田舎の町会議員風(!?)のオロオロの法務大臣と、
日本初の女性首相候補最右翼と言われた“涙目連発”(!?)の”防衛大臣の、
ノーガードで滅多打ちされる姿。
野党のここを先途の“弱い者いじめ”の感の強い展開ではあった。
特に民進党・辻本清美議員の“つぼにはまった”時の弁舌は強烈で鋭く、
冷徹でサディスティック。“涙目”にもなりまする…

そんな中、アシストに動き回る安倍首相の疲れた様相も再々写し出された。
2泊4日の過密スケジュールの米国旅行を敢行し、
休日もとらずに走る回る安倍首相が少し可哀そうになった。
確かに任命責任はある。が、時差ボケもあろうし、さぞやお疲れだろうに…

世界が注目した日米首脳会談だった。
いきなりのハグに19秒も続く固い握手。
過激派トランプ大統領からどんな無理難題が持ち込まれるのかと、
日本政府ならずとも国民さえも戦々恐々としていた(と思う)。
ところが蓋を開ければ、同窓会で旧友に再会したごときの厚遇だった。
少々わざとらしい、過度と思えるくらいの演出ではあった。

日本時間11日の午前2時頃から始まった共同記者会見。
ライブで観ていたが、なんかむずがゆくなるような、予想外の展開。
だが結果的には(表面的には)世界に向け日米の親密度をアーピルした。
その実、安全保障で強固な同盟を確認はしたものの、
通商や為替での摩擦等、一連の“爆弾問題”をスルーした”胡散臭さ満載”
の会見だった。

極めつけは“ワンハーフ=27ホール”5時間のゴルフ。
うち最後の9ホールは両首脳だけだったという。
今回の訪米前、安倍首脳の祖父・故岸信介首相が、
当時のアイゼンハワー大統領とゴルフ外交をした様子が再三放映された。
“世界の舞台での外交”という一族の宿願が適ったことにはなったものの、
今後の成り行きは多数の「?」がつく。

自著で「私は全ての人々を喜ばせる外交官ではない。勝つまで戦い続ける」。
そんな「ゼロサム」の思考方法。
そしてレーガン政権の自由貿易を標榜しながら、
自動車や半導体の保護、ドル高の是正に動いた「「1980年代への懐古」を
標榜するトランプ大統領。

「日米摩擦の続きをやりたがる人たちが集う」トランプ政権の流通商政策は、
やはり危うい。
グローバ化や市場化が加速し、経済の相互依存関係が深まる現在の世界で、
超大国がゼロサムゲームに走れば、世界経済はたちどころに崩壊する。

一連のゴルフ外交をみながら自分が社会人になった当時を思い出していた。
事あるごとに言われたのは
「麻雀はできるか?」「即刻ゴルフの練習を始めよ!」だった。
まずは相手と親しい友人となる。基本中の基本ではある。
安倍首相の一連の対応は間違っていたとは思わない。
だが、「トランプと最も近い首脳」と張られたレッテルは今後にどう響くか。

フリン大統領補佐官から始まる側近の不祥事ドミノが続くトランプ政権。
正式な大統領就任からまだ1カ月も経過していない。
「米大統領選挙は完全に終わったわけではなく、
まだ途中ぐらいに考えた方がいい」。
月刊・文藝春秋での立花隆氏の指摘である。

さて何が起きるか。
大変動はこれからである。

2017年02月11日

政局混迷尻目に、粛々と進む「プロ化」の流れ

TBSラジオ・月~金のニュース番組「Dayキャッチ」の水曜日、
聴視者参加の川柳コーナーがあり、毎週楽しみに欠かさず聞いている。
ご存じのように川柳とは、
5・7・5の17文字の短詩で、生活や世態を風刺の立場から描写、
いわゆる「クスッ」とした笑いを狙うものである。
で、同番組の1月の大ヒットと評価が高かった作品は
「気がかりは トランプ小池 稀勢の里」。

稀勢の里は念願の横綱になり“気がかり”の中から消えていったが、
「トランプ大統領」と「小池都知事」が起こす“騒動”はこれからが本番。
2月10日からの(ゴルフ絡み)の日米首脳会談や、
石原慎太郎元都知事の都議会への参考人招致でこれからどうなるのか…
全く見えてこない。
双方共に劇場(激情!?)型パターンなので予断を許さない。

そうした日本の国内外の世界的な政局混迷の中で、
注目度が意外に低かったのは「松山英樹のフェニックス・オープン連覇」。
同大会は1932年から始まった伝統的な大会で、準メジャーの位置付け。
連覇となれば日本初は勿論、世界的で歴史的な偉業である。
トランプ&小池騒動なかりせば、
もう少し大々的に取り上げられた偉業ではあった。

NHKBS1の日曜日(5日)・月曜日(6日)、
早朝5時から始まるライブ中継放送を息を潜めて眺めていた。
最終日、4打差の3位から出て1イーグル・3バーディの66と伸ばした松山は、
昨年と同様のプレーオフを、
これまた昨年と全く同様に4ホール目17番ホールで決着。
今季2勝目、賞金120万㌦(約1億3千万円)を獲得した。
優勝した時点で堂々たる世界の賞金王である。

もはや「線でなく点で狙う」松山のゴルフは異次元。
TVでは見えないが現場で実際に見たら、
300ヤードを楽々超える飛距離は勿論、“寄せ”でも、
とんでもない高い球でピンをデッドに狙う世界になっているのだろう。
マスターズ等のメジャー制覇の期待が益々高まる。

“松山賛歌”になってしまったが、
衆知のように松山はプロゴルファーである。
ではスポーツの世界のプロとは一体どのようなものなのか。

プロスポーツの代名詞だった野球やサッカーのプロは、
競技には専念するものの、球団から給料をもらう形式だった。
だが最近では、体操の内村航平や水泳の萩野公介のように
今までに考えられなかった五輪種目での「プロ化」宣言が相次いでいる。
端的に言えば「何ら保証のない裸一貫」の世界。、
法的に言えば「プロ=個人事業主になる」ということである。

テニスやゴルフのような高額な賞金や出場料が望めない五輪競技の場合、
スポンサー契約が収入の柱となる。
この点から言えば、JOC(日本オリンピック協会)が一括管理して
マーケティング活動に活用していた肖像権は12年前に選手に返還している。

一般社会でも40歳定年制が言われる昨今、
「引退後は会社に残って社業に専念」という形式は完全に時代遅れ。
というか、現状で“絶対に永遠不滅である”と言い切れる企業は皆無。
従って「限りある選手人生をかけリスクある挑戦をする」のも理に適っている。

ヤンキースの田中マー君が年間20億超の収入を得る時代。
内村や荻野のような百万人に一人の稀有な逸材が、
マー君の半分くらいはもらっても何ら不思議ではない。

青年は荒野を目指す。
ドロドロした昨今だから尚更、才能ある若者が輝いて見える。
頑張れ!!陰ながら応援するよ!! と言うしかあるまい。


2017年02月04日

何を今更…日米自動車摩擦再燃やら為替論争やら…

1月20日の就任式以降、
朝・昼・晩と、米国大統領・ドナルド・トランプに纏わるニュースの連発。
いまや“米国発・金髪の国際的スター誕生”の感のする日々。
1946年6月14日生まれの70歳。
問題の多い桁違いの異端児だけど、まぁほんと、エネルギッシュですわ…
ま、あれだけエネルギッシュでなければ、二回り年下のグラマティスな美魔女とは
生活できないと思う次第で…
その点だけはつくづく感服致します。
………….

「我々には永遠の同盟国も永遠の敵もいない。あるのは永遠の国益だけだ」。
これは大英帝国が栄華を極めていた1884年、
当時の首相第3代パーマストン子爵の言葉である。
そして自国の外交政策について
「英国は独自の道を歩むだけの強さと影響力がある」と。

トランプ新大統領がパーマストンに倣っているとは考え難い。
ただ両人には自国を絶対とし、他国を頓着しない点では共通している。
現在の国際経済体制は元々が米国が設計したものである。
だが新大統領は「米国第一主義」という懐古主義を最大のテーマにした。
言葉を変えれば、全盛時の英国と同様に「米国孤立主義」打ち出したことになる。

そして「米国第一主義」を宣言すると共に
「米国を再び偉大にする」政策をも打ち出した。
ただこの一連の政策の中身と言えば、
経済ナショナリズム、反グローバル主義、反移民、イスラム過激主義の徹底拒否、
米国の利益を優先するゼロサム志向であり、
結局は直感と偏見の寄せ集めでしかないように見える。

1月23日、
新大統領は自動車貿易を巡り、日本を名指しして「不公平だ」と批判した。
米国での現地生産が進む現状を無視(or知らない振りを)し、
1980年代に逆戻りしたような批判をする背景には、
フォードやGMなどの米大手自動車企業の影がちらつく。

日本のメーカーが小型車の輸出攻勢をかけた80年代と異なり、
日系企業の米国生産が進んでいる。
米国内で販売する車のうち、北米での現地生産の割合は
トヨタが7割、日産が8割、ホンダは9割とされている。
また日本国内へのアメ車の輸入に関しては関税がゼロなのに、
米国は日本からの輸入車には2.5%の関税を課している。

日本自動車輸入組合(JAIA)に拠れば、
16年の外国メーカー車の日本での販売台数は前年比3.4%増の29万5千台。
登録車に占めるシェアは9.1%で10%が視野に入っている。
その中で、16年にはフォードが日本から撤退、GMの販売も1300台程度で、
メルセデス・ベンツ、BMW、VW、アウディ等、
独メーカーのほぼ独占状態となっている。

要は燃費が悪く、小回りが効かないアメ車は狭い日本には合わず、
人気がないということであり、
結局は米国メーカーの企業努力が足らないという点については論を待たない。
結局はないないづくしの米国の日本への“いちゃもん”に過ぎないのだ。

為替についての発言は余りに馬鹿げている。
米国は伝統的に「強いドル」政策を基本としてきた。
で、新大統領は「強いドル政策を採る」と宣言する一方で、
「ドルは強すぎる」などと言い放つ。
基軸通貨国の大統領が為替動向に関する発言をすれば市場はどう反応するか、
ご存じないのか?
そんなアドバイスをする側近もいないのか?

1月20日に大統領に就任して以降の連日の過激なパフォーマンスは、
世界が耐えてくれるギリギリの限界を確認する動きのようには見える。
だが内容が余りに単純・稚拙で、基本的知識の欠如の感は否めない。
百歩譲って、無知を装うのは、厳しい米国ビジネス界を生き抜いてきた
一流の作戦かもしれない。
が、ここまでくれば、“ど素人の一発屋”にも見えてしまうが…

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