2017年04月29日

ロボットに勝てますか?

桜散り、青葉・若葉の季節の到来と共に、
男女を問わず、街中には「紺のスーツ+白いシャツ」姿が目立つ。
入社試験シーズンの到来、というより最っ盛り。

そしてマスコミでは、学生人気ランキングなどといった、
百年一日の、興味半分(!?)の報道を繰り広げる。
相も変わらず商社、航空会社、大手金融、マスコミ関連等の企業が連なる。
転職が当たり前の時代。
ひとつの会社に骨を埋めるという考えもないようだが、
名前の知れた有名企業から、どれだけ内定をゲットできるかが若者のテーマ。
10年後はどうなるかは全く考えないまま、ゲーム感覚の日々ではある。

本ブログで繰り返して申し上げてきたが、
まず考えなければならないのは、文系理系の区分けが無意味になり、
理系有利の時代になっているという点である。
ここから先は人工知能(AI)を使ったロボットが主役になり、
理系思考が優先される時代だからである。

米マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によれば、
820種の職業に含まれる2069業務の710(34%)の業務が
ロボットに置き換え可能という。
19世紀の産業革命に始まる製造業の歴史は自動化への挑戦だった。
従って、モノ作りに関しては既に7割超がロボットに任しても
大丈夫な時代になった。

旧文系の宝箱だった事務職系の職場にも自動化の波は押し寄せる。
顧客の注文の文書化やデータ抽出や数値計算に関し、
人間はロボットに勝てない時代になっている。
特筆すべきは法律関係で膨大な資料から証拠を見つけ出す作業にAIを
使おうとする動きである。

ホワイトカラーの象徴とも言える金融でも自動化が進んでいる。
事務職では65%がロボットにとって代わられ、
相場売買の自動化システムの普及によって、外資系大手で100人単位で
存在した専門トレーダーが、いまや10人未満という場合が少なくない。

自分はここ25年超、ギャン理論のサイクル理論を研究してきた。
相場の変化するタイミングを類推するのがサイクル理論の根幹だが、
ここ3年のうちに、主要通貨、株式指標、主要商品の日足(日毎の動き)が
全て“10日サイクル”になった。
従来の相場の世界ではあり得ないことだが、これは自動売買システム、
すなわちコンピュータのなせる仕業なのだ。
週足や月足にはバラつきがあるが、これも時間の問題と思われる。

同上マッキンゼーの試算では、自動化が可能な業務の割合は日本が55%で、
米国の46%欧州の47%も上回る。
農業や製造業など、人手に頼る職業の比重が大きい中国(51%)や
インド(52%)をもさえ上回る結果となった。

一部の職場ではすでに雇用が失われ始めるなど、
ロボット化には負の側面も確かにあり、
「ロボット税」を取ろうとする議論も出始めている。
笑い話ではなく、「大量の失業に備え、新税制を考える時期」には違いない。
特に従来の文系が、このまま(営業中心の)文系スタイルを踏襲すれば、
“使い捨て”の運命が待っている。少々きつい言い方かもしれないが。

昨今、宅配クライシスが大きな問題になってはいるが、
宅配分野のトラブルは「AI時代前夜」の単なる一過性の一コマだろう。
世の中は大きな時代の激流の中にいる。

2017年04月22日

宅配クライシス

現在の住まいから徒歩30秒の距離(約80メートル)に
ヤマト運輸(ヤマトホールディングズ=通称・クロネコ)の支店がある。
現住所に移ってから20年超が経過したので、20年超の付き合いとなる。
従って従業員の方々とはごくごく自然に馴染みになる。
出来高制給与体制とはいえ、彼らは実によく働く。
朝は8時前から夜は10時過ぎまで。
飲みに出かける際に「チワー」と挨拶を交わし、
ほろ酔いで帰った時にまた「お休み~」といったパターンもよくある。
特に決められた休日もないようだし、いつ休んでるんだ? って状態。
その宅配システムが、過剰サービス(!?)にギブアップ状態になっている。

日本の21世紀に向けての流通革命の尖兵はコンビニと宅配だった。
1980年代後半あたりから拡大し始めたコンビニと宅配だったが、
両者の大々的な拡大・進出により、日本の小売が壊滅状態になっていった。
徹底的に、完膚なきまで小売りを地方経済から駆逐してしまった。

双方とも24時間営業。
食料品から日用雑貨まで大凡が賄えるコンビニという小売システムと、
TVの通販番組等で好みの商品を選択・配送してくれる流通システムは、
間違いなく画期的であり、“歴史的な”流通革命に違いなかった。

かくしてコンビニが日々の生活の中心になり、
ネット通販市場が爆発的に拡大していく中で、
商品内容や価格での差異化が難しくなり、
行き着いた先が「当日配送」だった。
「注文から最短2時間半で届ける」という極端なサービスが恒常化し始めている。

確かに「配送の時間帯サービス」は便利である。
「午前中」から始まり、午後は2時間おきに5時間帯に区分されている。
だが日本の宅配システムは
「相手に直接手渡してサインをもらう」ことで完了する。
結局は希望の時間帯に不在の場合も多く、
配達する方は何度も足を運ぶことを余儀なくされる。

最近ではコンビニや一部ファストフードが
調理品、端的に言えば“(昔の)出前”サービスも始めている。
食品には「鮮度のリスク」がある。特に夏場は怖い。
すしやラーメンやピザなどはともかく、
セブンイレブンやデーニーズに出前を頼むかねぇ??とは思うが、
高齢化社会で、結構需要があるらしい。

ヤマト運輸の場合、年間の取扱荷物は19億個。
そしてそのうちのアマゾン関係の「当日配送」の荷物が3億個(約2割)。
アマゾンの当日配送は夕方の便で大量に持ち込まれる。
午後5時に仕分けされれば配達の残り時間は4時間を切る。
そしてクロネコの平均単価が570円台に対し、
アマゾンは300円を切ると言われている。
かくして人手不足は深刻化し、ヤマトは未払い残業代200億円を払い、
営業益の5割減(580億円→300億円)となり、アマゾンから全面撤退した。

高齢者向けの食品を中心とした“ソフト商品”の即日配送は致し方ないにしても、
電化製品や家具などを中心とした“ハード商品 ”に「即日配送」は本当に必要か。
日本は“おもてなし”を“売り”にする国ではある。
だが、どんなに時代が変わろうとも
「過剰なサービスを無理押ししない」という日本的なやさしさが必要であろう。

米国ではロボットやドローンに置き換える計画が進んでいる。
「盗難補償より再配達の時間の方がコストがかかる」との論理である。
要は、相手が在宅しようがしまいが、基本は玄関先でOKというスタイルである。
かくして多少のトラブルがあっても宅配サービスは、
ドローンを基本にした米国式に集約される気配である。

結局、最近の動きは全て、好むと好まざると本格的に到来する、
「ドローン+自動運転車の時代」に向けてのプロローグなのかもしれない。

2017年04月15日

永過ぎた春!?戦後第3位「アベノミクス景気」

春爛漫。サクラ咲く日本の春。そんなさなかの4月10日。
突然のタイミングで「浅田真央引退」の報が流れた。
そして12日、都内での引退記者会見。
元来が欧米のスポーツ、日本には縁がないと思われていた女子フィギュアを
ごくごく身近なスポーツに仕上げた国民的人気スケーターの、さわやか会見。
“散るサクラ”はいつもはかなげで、ことの他ウツクシイ。
うざったい会見が続いていただけに、洗われるような清廉な姿に魅入られた。

その一方で“サクラ満開”を告げる報道もあった。
2012年12月に始まった「アベノミクス景気」が戦後3番目の長さになった、と。
第二次安倍政権が発足した12年12月に始まった景気回復は、
17年3月までで52カ月となり、
86年12月~91年2月の51カ月間のバブル経済期を抜き、戦後3番目になった。
今年9月まで続けば、65年11月~70年7月の57カ月間に及んだ「いざなぎ景気」
をも抜き去ることになる。

ただ戦後最長となった00年代の輸出は8割伸びたが今回は2割増。
設備投資も1割増と00年代の半分。
賃金の伸びは乏しく、個人消費は横ばい。
総合して考えれば、「緩やかな」あるいは「低温」と表現するのが妥当なようだ。

ともあれ“満開のサクラ”を謳歌する安倍政権だが、
「アベノミクス」という短期志向の格好だけの中身の薄い政策を、
手を変え、品を変え、積み重ねて継続する中で、
国民はそのシナリオに慣れ、近未来に控える「リスク」に鈍感になっている。
例えば2020年には3つの「2020年問題」が控える。

第1は「高齢化の圧力」。
20年前半には戦後のベービーブーム生まれの「団塊の世代」が75歳以上に達し、
社会保障の支出が急速に膨らむ。

第2は「東京五輪の波」。
消費や建設需要の反動減に加え、日本を取り巻く高揚感の後退で、
海外投資家が日本離れを起こし易くなる。
ギリシャの長い苦境は04年の夏の五輪を境に始まった。

第3は黒田東彦総裁のもとで日銀が始めた異次元緩和の「手仕舞い」を
考えなければならない点である。
発行残高の4割の国債を保有する日銀は、
年70~80兆円のペースで国債を買い続けている。
欧米で金利が上昇し、その圧力が日本に及べば、ゼロ金利を維持するためには
更なる強力な買取を迫られる。
「長期金利をゼロに留めておけば金利負担は軽い」。
従って「借金が巨額でも財政は悪化しない」との論理だが、
17年夏にも買い入れの限界を迎えるとの試算もあり、予断は許さない。

黒田総裁は
「物価が上がると思えば企業の資金は設備投資に、家計の資金は消費に回る」
との考え方が基本だった。
しかし最近では
「予想物価上昇率の引き上げには不確実性があり、時間がかかる」と、
ギブアップ状態になっている。
日銀の繰り出す金融政策は、論理に論理をかぶせる結果、分かり難くなる一方。

元来、経済学者の論理は実際の金融市場あるいは実世界にはそぐわない。
何故なら「基本数値を不変なものとする」論理だからである。
「コンピュータが描く理想的な美人と、生身の女性は全く別物」なのである。

森友学園事件から以降、絶対安泰かに見えた安倍長期政権に陰りが見え始めた。
確かに安倍首相本人の責任ではないかもしれない。
だが“満開のサクラ”に安心し過ぎた感もする。
散るサクラ 残るサクラも 散るサクラ 

“世界最狂”の北朝鮮を巡る緊張が高まっている。
本当に戦争が起きるのか?まさかな…


2017年04月08日

カルロス・ゴーンの流儀

ルノー・日産アライアンスの総帥、カルロス・ゴーン。
1954年3月9日生まれ63歳。レバノン系ブラジル人。
フランスで教育を受け、欧州・米国、
そして日本の自動車産業で成功を収めたことはご存じの通りである。

当初、あの見るからに濃ゆい顔は日本には馴染まないと思わせた。
年間給与が10億という超破格な待遇も、日本企業から猛反発を食らった。
だが、その腕前は年毎に見直されている。
CM上で、成り上がりを“売り”にする、うるさ型のロック歌手・矢沢永吉に
“やるな!!ニッサン”と代弁させ、納得させてしまった。

巷間では同氏は、
日々の業務管理や、キャッシュフロー経営に厳格と言われている。
一方で、その燦然と輝く成果から、同氏の掲げる長期投資や事業戦略が
欧米のビジネス界で研究対象になっている。
根幹の方針にブレがなく的確だからである。
社内の猛反発の中で進めた「中国進出と成功」や、
リーマンショックでも止めなかった「電気自動車開発」がその代表例である。

車には「移動価値」「体感価値」「所有価値」の3つの価値があるとされてきた。
だが、グーグルやアップル等のIT企業の新規参入で、
「(複数で保有する)カーシェアリング」や
「ライドシェアリング(乗合い)」の普及拡大は必至で、
従来から掲げてきたテーマが徐々に陳腐化し始めた。
結果的に自動車業界は、限られた販売台数をテーマにせざるを得なくなった。

最近のカルロス・ゴーンの最大のアジェンダ(論点)は、
「IT(情報技術)と自動車融合」。
IT技術の進捗により、
世界の自動車需要は現在の6割程度まで減少すると予想され、
また大型車が得意の米の自動車生産が半分以下に減少する予想されている。

産業界全体をみても、人工知能(AI)の進歩を背景に、
既存産業(=既得権益)を揺るがす破壊的技術(ディスラプション)が
生まれ易い状況にある。
自動車業界に関しても、自動運転車が中心になれば、
自動車産業から多分野に流出するのは止めようがない。
自動車産業もやはり100年に一度の転換期を迎えているのである。

今年1月、カルロス・ゴーンが仕事始めに向かった先は
恒例のデトロイトの自動車ショーではなく、シリンコンバレーだった。
日産が米航空宇宙局(NASA)と進める自動運転の共同実験の視察だった。

米大統領に就任したドナルド・トランプが、
日本の自動車市場が閉鎖的との議論をし、為替問題を蒸し返し、
大型車の多い米国自動車メーカーに配慮した燃費規制の緩和策まで
検討している中で、カルロス・ゴーンは、
「政権が変われば政策も変わる。それだけのことだ」と、
泰然自若としていたのは当然といえば当然の姿だった。
国内回帰を志向し、アナログな車の生産や、反グローバルを叫んだりしても、
結局は失敗するとの確信があるのだ。

16世紀以降の大航海時代を経て、東インド会社、蒸気機関などを中心と
したグローバル化やイノベーションの潮流は誰も止められなかった。
「国内回帰」を最大のテーマに、時代に逆流するトランプ流儀の運命は
言わずもがなであろう。

日本では巨象・東芝の行く末が憂慮され、連日の大報道である。
だが内実が明確になればなるほど見えてきたのは
戦後の日本を力強く支えた弱電の雄・東芝の姿ではなく、
あるのは原発事業で大きな損失を出した準国営企業・東芝の姿だった。
過去の栄光にすがる経営陣の、既得権保持に汲々としている姿だった。
ここまできたら潰すに潰せないだろうと居直る、慢心満々の姿だった。

「従来の常識が非常識」の時代。
新時代を生きる私企業は、時代の大きな潮流を見定めて先に進むしかない。
好むと好まざると、カルロス・ゴーンの流儀に学ばざるを得ない。
軍門に下る感は否めないが、それも時代の要請なのだろう。


2017年04月01日

ポスト真実(Post Truth)

現在の住まいから両国国技館まではチャリで15分ばかり。
国技館近辺には昼から営業している飲み屋が多数あり、昼食兼ねて軽く飲って、
末席も末席の最安価な最上段で、ほろ酔い気分で幕下あたりから相撲観戦する。
桜が散った後の青葉の季節の、隅田川を吹く五月の風が江戸前で実に心地よく、
酔いを醒ましつつゆったり帰る、というのが密かな楽しみだった。

その大相撲がいつの間にか超人気になって、満員札止めが続くようになった。
相撲はもはや日本ばかりでなく、国際的な人気である。
予約も即日完売とかで、当日券も手に入らない。
格段構えることなく、散歩がてらに国技館に寄り、相撲を観戦するという
“芸当”ができなくなった。

大阪での春場所。
表彰式で君が代の大合唱の途中から、稀勢の里は涙でくしゃくしゃになった。
13日目の日馬富士戦で左肩を痛打し、怪我には強いと定評のある稀勢の里の、
苦痛にゆがむ表情を初めて見た。
強行出場した14日目は鶴竜になすすべもなく寄り切られた。
まともな相撲を取れる状況ではなかった。
それが千秋楽に、怪物大関・照ノ富士に、本割と決定戦で2度勝利した。
紛れもない奇跡だった。

2001年夏場所、膝の大怪我を押して強硬出場し、優勝した貴乃花は、
その後7場所連続休場に追い込まれ、再び賜杯を抱くことはなかった。
優勝した事実をもって今回の稀勢の里の強行出場を「正しい選択だった」
とは言い難い。だが感動は、往々にして「正誤を超えたところ」で生まれる。
それもまた真実ではある。

最近、英オックスフォード大出版局が2016年の「今年の言葉」に選んだ単語、
「ポスト真実」が盛んに言われ始めた。
客観的な事実よりも、
「感情や個人的信条への訴えかけの方が世論形成に影響がある」ことを指すという。
英国の欧州連合(EU)離脱の国民投票と米大統領選挙で、英国民が離脱を選び、
米国民がトランプ大統領を誕生させ、その後双方間違いだったと考え始めている、
という状況を「ポスト真実」と位置付けるのである。

「死なばモロトモ?」と揶揄される日本を騒がす森友学園事件。
野党は、
「安倍昭恵首相夫人が名誉校長の小学校の開校を延長したら、
役所は首相に恥をかかせることになると考える」と指摘し、
一方安倍首相は、
「忖度(そんたく)の事実がないのにまるで事実かのように言うのは
典型的な印象操作だ」と反論する。

忖度。広辞苑は「他人の心中をおしはかること」とする。
しかし実際に使われる際には
「力を持つ上の者の気持ちを先取りし、機嫌を損ねぬよう処置すること」
になる。
今回の森友学園事件は
「重層的な忖度メカニズムが」働いたと見るのが順当だろう。

29日付の日刊スポーツは、
新横綱稀勢の里をモチーフにした錦絵版画がベネチア芸術展に出品され、
好評だと伝えた。なぜ白鵬でなく稀勢の里なのだろう。
19年振りの日本人横綱という意味もあろうが、
ある意味常識をはずれた無謀とも言える稀勢の里の一連の行動が
純日本的に映ったのだろう。
だが「横綱だから何がなんでも勝つしかない」とする、
単純明快なメカニズム=一途な必死感が、海外でも評価を得たと思われる。

日本中がどす黒い欲望をテーマにする「籠池劇場」に右往左往する中で、
救われるような、清々しい気持ちでいる。

【追伸】
全く蛇足ながら、チャリで7~8分の至近距離(=江東区清澄)に所在する
錣山(しころやま)部屋の阿炎(あび=元十両・現幕下=春場所全勝優勝)
の隠れファンである。
当初は堀切洸助という本名のしこ名が何気に可愛くて注目・応援していたが、
十両昇進時に、こともあろうに、阿炎政虎という、
聞いたら笑ってしまうような、ギャグっぽい、いかついしこ名にされてしまった。
だが本人は、187㌢の長身で、ジーンズが似合いそうなジャニーズ系美形。
力士にしては細身で不必要に足が長く、腰高で、なかなかメジャーになり切れない…
そんな隠れた魅力のある力士の成長を見守るのも大相撲の醍醐味と思うが…


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