2018年03月31日

官僚の未来予想図

自分の出た高校は全国有数の典型的な受験校だった。
当時は東大・京大など旧六帝大に合格する者100人超。
早慶等有名私立は(学部を複数志願する結果)延べ合格数300人超。
公立高校とは名ばかりの、いわゆる大学予備校だった。

当然にして天下の東京大学は常に注目されるが、
身近に知る東大合格者は、ごくごく当たり前に合格していった。
見えないところでは努力はしているのだろうが、
そんな雰囲気は微塵もみせず、
“艱難辛苦”などといった雰囲気とは無縁だった。
休み時間にはスポーツ紙や漫画などを読んで見せたりした。

そんな彼らは、大学受験で持っているエネルギーを使い切っていないから、
大学に入っても“(勉強時間を含めた)普段通りの生活”をする余裕があった。
彼らにとって大学生活は、それまで通りの生活スタイルの継続であり、
その延長線上に国家試験があった。

中央官庁に入るための国家試験は、
司法試験や公認会計士試験と同レベルの難関。
その中でも、外務省・入省試験は別メニューであり、
また旧大蔵省に入省できるのは国家試験の上位合格者。
従って、その時ばかりはさすがの秀才連も真剣に“受験勉強”を強いられる。
外務省が“異端”、大蔵省(現財務省)が“最強”と言われる所以である。

現在、全国区でその名が知れ渡った
(福島県出身・東大経済卒の)佐川宣寿・前国税庁長官は82年入省組でも、
トップコースを走る逸材であったのは言うまでもない。
何とはなしに元ドリフターズの仲本工事に雰囲気が似通って(!?)おり、
国会の予算委員会中継等で再三見かけるようになって、
ある種のファンになってしまった。

3月27日、
その佐川前国税庁長官長が「文書改ざん」で国会証人喚問に招致された。
応答では「何かを守る」ことに必死になっており、悲壮感が漂う。
確かに国家の決済文書の改ざんは、国家を揺るがす“大罪”に違いない。
だが頭脳明晰な人間が、そんな基本中の基本を理解していないはずがない。
何らかの圧力がかかった、とみるのが自然だ。

一連の森友問題は、
財務省関係者間では「安倍首相マター(関連事案)」と呼ばれているようだ。
安倍首相の夫人昭恵さんが関わっているからである。
「善意の暴走」という表現をされ始めているが、
いかなる言い訳がなされようと、
準公人たる首相夫人の“暴走気味の”関与は誰の目にも明らかだ。

故岸信介元首相の長女で、故安倍晋太郎元外相夫人にして、
安倍晋三現首相の母堂である洋子さんが
「離婚の可能性を匂わした」と言われている。
確かに自分の細君が、闇雲にあちこちと動き回り、
旦那の仕事の邪魔をする(!?)、少々厄介だ。
大概のオトコなら一喝するパターンだろう。
趣味で飲み屋を経営する首相夫人など前代未聞だ。

政治家と官僚の関係は、故松本清張が描いたように、戦前も戦後も、
「権力を盾に生き残る政治家VS切り捨てられる官僚」の色濃い世界。
内閣人事局が官僚人事を仕切るようになって
「忖度(そんたく)」という言葉が乱舞する。

官僚の世界は、一般社会からは崇拝度が高い。
だが衆参計4時間超の喚問を終えた後の
声もかすれ、疲れ切る高級官僚・佐川宣寿の姿を見て思った。
果たして官僚の世界に未来図が描けるのか?
勉学に励み、目一杯身ぎれいに精勤して、挙句が….
相変わらず残酷な世界だな、と。


2018年03月24日

崩れ始めた世界のパワーバランス

日本が森友問題に大揺れとなったこの3月、
一方で世界情勢が大きく動き始めた。

中国の習近平国家主席、およびロシアのプーチン大統領が
長期にわたる強権支配を固めた。
両者は共に「歴史的な大国の復興」を掲げ、欧米中心の秩序に挑み、
地政学的な野心を露わにし始めた。
かたや世界の警察(であるべきorであった)米国も「米国第一主義」を掲げ、
中露に一歩も引かない構えである。

三国共に強大な軍事力を背景に、それぞれの主張を曲げようとしない。
中国は南シナ海での領有権を強硬に主張し、
ロシアはウクライナ領クリミア半島を併合して、国境を武力で侵した。
負けずとトランプ政権も核兵器重視の転換を表明する。
かくして「自国利益が優先するためには何でもあり」の様相を呈し始めた。
今回の混乱は、IT中心の“産業革命”を交えて、
イデオロギーで二分された冷戦時代よりも複雑さを増している。

中国は、欧米の市場を自国に向かせておく必要から、
地政学的な野望は抑え込んできた。
しかしAI時代を迎える中で、自国産業に自信を深め、
世界の大国・米国に対して、イデオロギーの面でも地政学的な面でも、
挑戦する姿勢を強めている。

この背景として、ここ30年の米国では過去30年間、
大半の労働者の実質賃金が横ばいか、あるいは減少してきたことが
大きく影響している。
米国が主張する
「グローバル化と自由貿易の推進が生活をより豊かにする」という考え方を
世界が信用しなくなったのだ。

そうした不信感の狭間に登場したのがトランプという異端の指導者だった。
トランプは、歴代の米大統領のように、自由主義的な国際主義を踏襲せず、
海外に民主主義を広めるような努力はしていない。
あろうことか「(時代に逆行する)米国第一主義」を掲げた。

こうした状況の中で中国は、
「米国主導の世界秩序はもう時代に合わなくなっている」と主張し始め 、
自国の新たな独裁主義を、中国に適した統治方法というだけでなく、
欧米の民主主義に代わる世界的な統治モデルとして提唱しようとしている。
それが「一帯一路」運動という、
ある意味で荒唐無稽な計画となって表れている。

強権支配をバックにした国家主義は、人権などへの配慮を後回しにし、
スピード感のある国家運営を演出し易い。
だが独裁が招く誤りは歯止めが効かず、
独善的な指導者の判断ミスがもたらす災危は格段に大きくなる。
現実にロシア経済は停滞に陥り、中国では過剰債務を抱え込む。
今後の世界は、いつ爆発するか分からない爆弾を抱え込んでいるのだ。

かくして(民主主義にとって異質の)保護主義と国家主義に転じた米国と
VS共産主義・中露という新たな組み合わせは、
「ある日突然に暴発する」リスクを秘める。
昨年完読した故船戸与一の渾身の遺作「満州国演義」が述べる如く、
第二次世界大戦直前の日本が現在の中露の姿だ。
始まったらどん詰まりまで、とことん崩壊するリスクを内包している。

民主政治&自由主義経済試練の時。
トランプという異端な米大統領作・演出の“第三次世界大戦”も否定できない。
トランプ頼みにしか見えない日本の方策は、果たして正しいのだろうか。

いずれにしても日本国第98代(63人目)内閣総理大臣安倍晋三の名は、
昭恵夫人の名と共に、日本の憲政史上は勿論、記憶にも残ることになりそうだ。

2018年03月17日

「QRコード」による金融革命 

商品パッケージ上に印刷された四角いゴチャゴチャした模様。
何だこれ??と思ってしまうが、実はこれが「QR コード」。
1997年、日本のデンソーが開発した世界的な技術で、
バーコードより多くの情報を格納できる2次元コードとして発案した。

ところがデンソーは、技術を囲い込みしなかった。
読み取り機を販売する際、コードを作るソフトウェアを無料で公開した。
今になってみれば有料にしておけば(例えば1コード10銭程度)との
声もあったが、無料にしたからこそ世界に普及した。
ちなみに米マイクロソフトは「QRコード」に似たコードを開発したが、
課金したため失敗している。

この「QRコード」が爆発的に普及し始めている。
大きな要因は、カメラで読み取れるからだ。
中国ネット通販大手のアリババが採用して以降、
わずか数年で毎日1億3千万回もの取引を生む強大スマホアプリに成長し、
審査が難しいクレジットカードを駆逐し始めている。

背景にはデビットカードの普及も見逃せない。
従来のクレジットカードは、買い物をした際にクレジット会社が一旦支払、
それを後ほど請求する。
それはすなわちクレジットカード会社の消費者に対する「貸付」であり、
相応の審査が必要となる。

一方、デビットカードは「預金から直接引き落とす」ことから審査は無用。
スマホを使った「QRコード」はその延長線上にある。
専用口座から直接引き落とすことになる。
残高がなければ、買い物はできない。キッパリ審査無用の世界である。

これまで日本の銀行は「社会の公器」だった。
ユニバーサルなサービスを提供するとの名目で、店舗の拡大を図ってきた。
しかし21世紀の爆発的なデジタル化で、
店舗の絶対的な必要性はなくなり始めた。
スマホの画面で、
日常的な大概の作業は全て完結できる時代になったからである。

銀行は、預金はあってもマイナス金利では付利しない(できない)。
つまり現在は「金庫番」。
で、逆に“(預金の)預かり手数料”を徴収する時代。
また金融技術の進歩で、資金調達方法が多様化し、
「必要な資金は銀行から借り入れる」という常識も、絶対的ではなくなった。
かくして
預金&貸出を主業務とする従来の銀行では生き残っていけない時代となった。

もう一つ、いわゆる「仮想通貨」の登場も見逃せない。
ただ仮想通貨には誤解が多い。
昨今問題となっている仮想通貨は
「ネット上の実体のないものを絶対的なものとして」取引する。
ある意味で先物取引の一種だが、リスクばかりの“まがい物”。
本来の仮想通貨とは、スイカやパスモのように
「現金に代わり、ある一定の世界でのみ流通する専用通貨=電子マネー」。
最近では『デジタル通貨』と呼ばれるようになり始めているが、
それが本来の姿である。
従ってこうしたデジタル通貨に対して「利鞘を狙った動き」が出る余地はない。

モノの売買やサービスを介在した“電子マネー”は、
キャシュレス化が進捗するにつれ益々拡大していくのは必至。
従来のクレジットカードも駆逐しそうな気配だ。
仮想通貨という不可思議で曖昧なネーミング(翻訳)自体がまずい。
ただ電子マネー自体は勿論有用だ。

日本の三大銀行(三菱UFG・FG、みずほFG、三井住友FG)も
統一QRコードを使った「スマホ決済19年実用化」に向け舵を切った。
かくして銀行業は、情報を提供を主とするサービス業になりつつある。
結果、現状のような有象無象の多くの銀行は必要でなくなる。
有無を言わせない金融業の自然淘汰の時代が到来する。
いや既に到来している。これも時代の流れだ。


2018年03月09日

権力集中・強大化する中国の恐怖

平昌冬季五輪での日本勢のメダルラッシュの大活躍に浸り、
世界が動きを止めたような錯覚に陥っていた。
だが、ここ1カ月の動きを振り返ってみれば、世界は確実に動いていた。

1960~70年代、文化大革命で中国が大混乱に陥ったのは、
建国の父・毛沢東の権力集中が行き過ぎたためだった。
改革開放で建て直そうとした鄧小平は、文革の悲劇を繰り返さないよう、
ひとりの人間に権力を集中し過ぎないための集団指導体制の制度化に注力した。
それは
「10年毎に秩序ある政権交代を実現するための仕組み」として完成した。

現在の世界の最高権威者のひとりと自他ともに認める習近平現国家主席は、
時間をかけて念入りに周囲を固め、国家主席の任期を撤廃する憲法改正を提案、
有無を言わさず実施する流れとなっている。
習近平が5年前に最高権力を握った時、
中国は憲法に基づく統治へと移行するものと多くが予想した。
だがその幻想はものの見事に砕け散った。

ソ連崩壊後、西側諸国はソ連に次ぐ共産主義国だった中国を、
世界経済に迎え入れた。
中国を世界貿易機関(WTO)等の西側機構に参画させれば、
第二次大戦後に成立した規則に基づくシステムで縛れると高を括っていたのだ。

確かに西側諸国は、中国を世界の市場に組み込むことには成功した。
中国は世界の市場をバックに、世界最大の輸出国になり、
全体の13%強を占めるまでになった。
進取的で機知に富む中国企業は、世界で時価総額の大きい上場企業100社の
12社を占める。

ただ当初の目論見の中で大きな誤算は
「経済統合で市場経済への転換が促進され、中国国民が豊かになるにつれ、
民主主義的な自由や権利、法の支配を渇望するようになるだろう」
との予測が外れた点だった。

そして中国は、米国と肩を並べる世界の経済大国にのし上げっていく中で、
独自のシステムを構築し始めた。
その代表例が「一帯一路」構想である。
100兆円超を投じると喝破する同計画は、最初は“眉唾(まゆつば)”的な
見方をされてはいた。
しかし時間が経つにつれ、
徐々に欧州の戦後復興を支えたマーシャルプランを凌ぐものだと言われ始めた。

中国は、急速に経済力を増強するのに並行して
軍事力の急速な強化と、近代化を図った。
こうした絶対的な軍事力を背景に、
参画する気があるどの国にも中国資本の網をかけようと画策し始めた。
かくして東アジアにおける米国の優位性は薄らぎ始めた。

現在の世界経済の軸となっているIT産業の勢力図は
「米国VS中国」を軸に動いている。
アップルやグーグルをテンセントやアリババ等の中国勢が猛追する態勢だ。
中国は2030年にAI(人工知能)で世界一になる国家目標を掲げ、
米国を超えを目指す。
「中国ITの成長は、所詮は膨大な人口を抱える自国頼み」の時代ではない。

本音は「やはりあの国は特殊だ」「あのやり方にはついていけない」。
が、事ここに至っては無視できない。
独裁体制に入り始めた中国に、瞬間クラッシュのリスクを秘める。
だが少なくとも現状の結果論から言えば、
経済大国(であるはずの)日本は、中国に2周~3周遅れになり始めている。

東日本大震災から7回目の春を迎えようとするタイミングで、
松本清張作サスペンスドラマ仕立ての展開を見せ始めた森友問題。
無敵だった安倍長期政権が崩壊するのか???

一寸先は闇。(平和ボケの)日本に油断があるように見えてならない。


2018年03月03日

現代スポーツ報奨金

2月25日(日)午前、所要あって門前仲町界隈に出かけた。
春は名のみの冷たい風が吹いている。
そんな中、季節外れの“神輿”が用意され、
短パン・生足のお兄さん連中がたむろっている。
なんで??考えてみればその日、東京マラソンの日だった。
永代通りは午後4時くらいまで全面通行止めになる。
この界隈は早く脱出しなければ…

同日は平昌冬季五輪の閉会式の日。
前日には“おまけ”のような女子スケート・マススタートの金、
女子カーリングの銅で日本中が沸き返っていた。
2020年の東京五輪を控え、格好の景気付けになっており、
日頃の憂さも晴れる思い…

そうした中での東京マラソンだった。
興味も期待も持たれていなかった。どうせまた平凡な記録だろう。
主催者側も選りによってこんな日に…。
五輪中継もほぼ終了で、マラソンでも見るかとTVをつけた。
まさに終盤の、ゴールの東京駅が射程距離に入った頃。
ところが中継アナが妙に興奮している。
はぁ??16年振りの日本記録更新だって!?

ご存じマラソンは42.195㌔を走る耐久レース。
単純換算で百メートルを18秒フラット以下で走れば
2時間6分台での記録になる。
2時間6分台の記録は1999年犬伏孝行(2時間6分57秒)、
2000年の藤田敦史(2時6分51秒)、
そして日本記録の2002年高岡寿成の2時間6分16秒の3名。

その日本記録を、設楽悠太が16年振りに5秒更新した。
16年振りというくらい、日本のマラソンは長期低空飛行の真っ最中。
設楽悠太(26)は東洋大学出身の箱根駅伝ランナー。
兄啓太と共に双子ランナーとして話題となった。
だが現在の本人は青白さが目立ち、一流アスリートのオーラは感じられない。
平坦なコースで、気温も走りには絶好の条件下で新記録を叩き出した。

まことにめでたいが、世界記録の2時間2分57秒にはほど遠い。
百米平均を18秒から17.5秒と、0.5秒短縮すれば事済む話。
だが、それを40㌔続けるとなると、簡単ではない。
今回の記録も、単なる“まぐれ”か、はたまた“一発屋”か。

東京マラソンの話はそれで終わり。の、はずだった。
ところがマスコミが騒ぎ出した。
日本記録更新で「1億円の報奨金が出る」というテーマになったからだった。
この報奨金は、東京マラソン第2位の賞金と日本記録更新のボーナスを合わせ
計900万円とは別に、日本実業団陸上競技連合から贈呈される。

日本の陸上陣は、男子400米リレーを除いては準決勝進出が目一杯。
マラソンが日本のお家芸と言われたのも昔の話。今や黒人選手の独壇場。
とは言え、2020年の東京五輪を控え、
“ニンジンをぶら下げても”記録向上に邁進しなければならない。
しかも、今回の平昌冬季五輪で、メダルラッシュとなっては、
手段を選ばず(!?)か…

今回の平昌冬季五輪のメダルラッシュで突然のように報奨金が話題になった。
日本オリンピック委員会(JOC)は、金500万、銀200万、銅100万。
日本スケート連盟はJOCに準拠して同額。
ただ加盟団体によって報奨金はバラつきあり、
一躍有名になった女子カーリングチーム・LS北見にはJOCの報奨金の他に、
選手各自に全農から米100俵贈呈だそうで…

過去の五輪は「アマチュアで金銭が絡まない」ことが前提だった。
それも今は昔の話。
選手の幾多のご苦労を思えば、多少の報奨金はごくごく当たり前。
選手生命も限られている。もらえる時にはもらっとく。

でも、ほんのチョッピリだけ、こんなんでいいんか、と考えてしまう。
スポーツに対する冒涜、なんて考えるのは時代遅れなんでしょうね。

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