Let’s Make a Deal

「鉄・アルミ輸入制限」「エルサレムに米大使館移転」
「イラン核合意離脱」「パリ協定離脱」「TPP離脱」「大型減税」。
トランプ米大統領が行った最近の施策をランダムに上げてみたが、
全て異端のリーダー1人の人為的な決定である。

トランプ米大統領の行動には3つの法則がある。
第1に「相手に二者間の派手なディール(取引)を仕掛けて注目を集める」
第2に「過去の政権を徹底的に否定する」
第3に「迅速な結論を求める」。
こうした一連の流儀は、中国・習国家主席や北朝鮮・金委員長のような
絶対的な決定権を握るリーダーのそれである。

こうしたトランプ流手法が目立つ一方で、浮かび上がったのが
「面倒なルールや過去の経緯に縛られ、政治的な決定に時間がかかる」
(オバマ政権までの米国が加わってきた)西側の民主主義の手法である。
西側諸国が戸惑う(あきれる(!?))のも至極当然だ。

目先の雇用増となる鉄鋼輸入制限のように、
後にいかなる弊害が生じようとも、
「(米国民のためにと)闇雲に仕事をするトランプ」への共感が
米国内で出始めている。
確かに大型減税がなされた米経済は、表面的とはいえ好調に見える。
後にいかなる弊害が生じるかを考えないトランプ式に、
眉をしかめる者もいれば、賛同者もいるのが実情だ。

その実、トランプ政権への支持率は40%そこそこ。
格段、上がりも下がりもしない。
絶対的・安定的な数字ではない。
ただ米朝会談で「成功」を収め、中国から貿易面で譲歩を引き出したと
印象つけられれば、支持率上積みの可能性は否定できない。

大統領に就任以来この4月まで、
ランダムに発信してきた“情報=ツイート”は3千件を超えた。
驚くべきことは、ランダムに発信される大統領のツイートを、
直接・間接に見聞きする米国民は74%に及ぶとする世論調査もある。
正しいか、正しくないかは別にして、
大統領の発信を“楽しみ”にしている米国民は多いのだ。

こうした米大統領の下で大きなリスクが二つある。
まず、米国が自ら築いた世界秩序をないがしろにすればするほど、
その修復は困難になる。
二つ目は世界の至る所での武力衝突発生リスクである。
トランプ自身、過去の発言に縛られる傾向があるからだ。

ただこのリスクは、トランプ政権が1期で終わればリスクは軽減される。
一方で、仮に「歴史的な成果」の追い風を受け、
2020年に再選されることになれば、世界は民主主義の崩壊リスクと、
中露のような第三勢力の脅威に晒されることになる。

「自国優先」を掲げるトランプ大統領が誕生してから、
米国が営々と築き上げてきた戦後の秩序が崩れ始めている。
政治の世界に「make a deal」というやり方があっていいのか?
従来のように米国を頼り、そして信じていいのか?

世界も、そして西側や、中露のような新興勢力も、勿論日本も、
政権トップの動向で揺れ動いている。
現在の世界は、トランプ式やっつけ主義に右往左往する、
(世紀初め特有の)不安定な時期にいる。

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